タイソン様が見てる
最強は誰だ?最強の格闘技は何だ?それを題材にした漫画とか小説とか大好きで夢枕獏さんの小説を読みながら「このむさ苦しい格闘家達が全員美少女なら最高だよな~」等馬鹿な事を日々考え、誰も書いてくれないのなら自分で書こう!と思い立ち
こんな馬鹿な小説を書き始めてしまいました、もし同じ志を持つ人が居たら嬉しいです…最強を目指す少女達の物語をご期待ください
一話:タイソン様が見てる
桜の季節
柔らかいな春の陽射し
新たな出会いに小さな胸を弾ませる少女達
初々しい笑顔に包まれた
ここは豊蘭女子高校、そこそこのお嬢様から入学が可能で地元では有名な少女達の秘密の花園
桜庭加奈もこの陽射しの下、華やかだが品が有る校門を潜り少女達の花園へ歩みを進めていた
周囲の生徒と同じく加奈の心も今日から始まる学生生活の事を考えると希望に満ちていた
「ご…ごきげんよう」
「ごきげんよう」
恥ずかしそうに、されど誇らしげにお嬢様な挨拶を交わしあう少女達を見て、
内心(キタ━(゜∀゜)━!)な顔になりながら加奈は胸に込み合げてくる熱い思いを顔には出さず
周囲を冷静に観察し、
自分もお嬢様な挨拶は恥ずかしいが、やはりここは周りの生徒達と同じように挨拶をしようと覚悟を決め
その初々しくも可憐なお嬢様道を一歩踏みだそうと、挨拶を口にした
「ごきげんよ…」
「アップワァァァァーカットーーーー!!!」
加奈にとってのお嬢様道一歩目は神谷明節の効いたシャウトと強烈に迫ってくる殺気
そして下顎に感じる鈍く重い衝撃を身体を後方にスウェーしその衝撃を殺す事から始まった、
お嬢様道を歩んでると思ったら、いつの間にか修羅道を歩んでた
何を言ってるかわからねーと思うが、私も何をされたのかわからなかった…
そして人間は何百時間と言う気が遠くなるような鍛錬の末
無意識でも身体が反応し反撃を行う事が可能だ!
唐突に現れた殺意の塊のような突き上げを後方に流し瞬時に間合いを取り相手が次の攻撃に転じる前に中段蹴り
ひと呼吸でこれを行うのが重要だ、加奈の中段蹴りは相手にガードされたが確実に相手の動きを止める事が出来た
そして動きを中段蹴りによって止められた爽やかな春の暗殺者、その正体は加奈の幼馴染、花川紗綾だった
紗綾はこの豊蘭高校が建つこの船崎市の市長で日本では有数の会員数を誇るボクシングジム花川ジムの会長
花川武一郎の一人娘、端正な顔立ちにボーイッシュな短髪と外見通りのサバサバした性格、そして強い正義感
正に同性に持てる女を絵に書いたような女子で有るが小学生時代からの付き合いで幼馴染の加奈は知っている
正義感が強いと言えば聞こえは良いが、こいつの本性は正義という大義名分を振りかざし弱気を守り強気を蹂躙する
心優しき戦闘狂だ、加奈は瞬時に思考をフル回転させえ考えた
この場でこいつを埋めてしまいこの一瞬の攻防を何もなかった風に振舞、そしてお嬢様として学生生活を再スタートするのは
まだ手遅れじゃないか?
…空気の流れそして感情の流れを読むように素早く丁寧に周囲を見渡した…
そんな訳ない無いじゃん、手遅れな訳ないじゃん!!周囲のお嬢様達はドン引きだった
中には涙目になってる子も居る、当然だ入学式初日に神聖な秘密の花園で異種格闘技戦が繰り広げられたのだ
(このままだとヤバイ、何とか取り繕わないと私の女子高生ライフが)
そんな加奈の苦悩を知ってか知らずか紗綾の方から声をかけてきた
「おぅ!加奈やん卒業式ぶりだな!」
「ごきげんよう紗綾さん、相変わらず元気なご挨拶ですわね、後加奈やんって言わないでくださいません?」
「ごきげんようだぜ加奈やん、その言葉使い気持ち悪いよ?何か変な物でも食べたの?
それとも空手の試合で頭でも打って馬鹿になっちゃった?」
そう、これは紗綾の挨拶なのだ、間違っても暴力行為では無いし乱闘騒ぎでも無いのよ~…
と周囲にアピールをしている途中、紗綾のあまりにあまりなトラッシュトークに
加奈の思考はブチィと鈍い音をたて切れ、被ってた猫が断末魔の絶叫を上げながら逃げて行った
「馬鹿は己じゃぁぁぁぁ!!!!どこの女子高生が登校中に挨拶がわりのアッパーカットを繰り出すのよ?
何?アンタの前世は辻斬りなの?」
「とんでもない、アタシの前世はマイク・タイソンだぜ!」
馬鹿だった…お嬢様どうこう以前に高校生として人間として馬鹿な返答だった
そんな馬鹿なやり取りに時間を使っていたら、入学式場へと新入生を促す校内放送が流れた
加奈と紗綾は先ほどの激しい暴力のやり取りが丸で無かったかのように、通常の挨拶を済ませた後のように並んで
入学式場である体育館に向い少し歩みを早めた
「まっ、アンタの前世が何だろうがどうでも良いわ、それより何でアンタが此処にいるのよ、
ここは一応お嬢様学校よ?」
「アタシはお嬢様だぜ?市長の娘で地元の名士の一人娘だぜ、もしかしたら加奈やんよりお嬢様だぜ」
「へぃへぃそうでした、アンタは良い所のお嬢様なのよね…世の中って不公平だわぁ」
「でも、本音言うと女子高なんて初めての体験だし心細かったから加奈やんに会えて嬉しかったぜ」
「アンタは嬉しい時にアッパーカットすんのか?それに女子高が初めての体験て当然でしょ?
私達は今日から女子高生になるんだから……それと心細かったのは私も同じだし、会えて嬉しかったわよ」
「おっ加奈やんがデレたぜ~!」
「誰がデレたか!後加奈やんって言うな」
幼馴染との再会を喜びながら入学式へ向う2人
それを遠くから見つめている獣のような視線にこの時は2人とも気が付かないので有った