黄色い自由帳
誰かの似顔絵を描いたノートの一ページをくしゃくしゃに破り捨てた。
ひまわりみたいに笑う。そう言われていた彼の顔を、私はそんなに上手に描ききれなかった。
誰よりも彼のそばで見ていたはずなのに。
どうして、私はこんなにも絵が下手なんだろう。
有名な画家や、芸術家ならもっと彼を生かせられるはずなのに。
所詮私は私で。笑う彼を描いて、私は笑えなくなった。
もう少し、本当の彼の笑顔を近くで見ることができたなら。
もう少しくらい、私は上手に描けたかもしれないのに。
見えなくなったその笑顔を、その笑顔で。
笑って。笑えるのなら。
そう願って、私は次のページにペンを押し付けた。
黄色い押し花みたいに。
Twitter:@dakusanno