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あるべき場所

結局、全ては元通りになり、維心は龍王として龍の宮、将維は前龍王として月の宮へ滞在し、そこへ収まった。

将維は友の炎託と共に、軍の指南をしたり、遠出をして遊び回ったりと、皇子の頃でも出来なかった事をしてのびのびと過ごしていた。

思えば将維は、生まれてこの方強大な力を持つ父の後を継ぐべく、毎日精進してばかりだった。

楽しみと言えば立ち合いぐらいのもので、何もなかった将維にとって、友と遊び回るなど生まれて初めてであったのだ。何も気に病むこともなく、追わされた重い責務も無く、ただ将維は毎日を、やっと生きているような気持ちで過ごしていた。

時々に月の宮へ帰って来る維月は、やはり嘉韻と共に過ごすのだが、その三日が終わったあと、十六夜が維月と過ごすのを許してくれる時が多かった。

なので将維は、その時にそれまでにあったことを維月に楽しげに話し、共に過ごして、平穏な気持ちで毎日を過ごしていた。

神威は、時に同じように月の宮を訪れて、気ままに過ごして帰って行っていた。最近は龍の宮にも現れることがあるのだと維心が言っていた。

十六夜が言った。

「なんかな、前世なんか関係なく、オレ達は一緒に居たから、別に記憶が無くても大丈夫だったじゃねぇかと思ってたんだが、あの出来事でそうじゃないことが分かったよ。」

十六夜が、部屋で維月と並んで座って月を見上げながら言った。

「そう?でも、覚えているからこそある強い絆みたいなのがあるわよね。でも、別に覚えて居なくても大丈夫だったと、私は今でも思っているわ。」

十六夜は不思議そうに維月の顔を覗き込んだ。

「ほんとか?お前のほうが大変だったんじゃないのか。今度のことだって、オレ達の記憶がなけりゃ、維心と出会うのに、何百年掛かってたかわからねぇぞ?」

維月は苦笑した。

「うん、わかってる。でも、例え何百年掛かっても、きっと出逢っていたのよ。神威様が、心の力で無い縁を繋ぐ者も居るって言ってらした。お父様も、同じような事を。だから、いつかはその縁を作って、また一緒に居たのよ。きっとそう思うわ。」

十六夜は笑った。

「そうだな。オレ達だって、記憶が無くても一緒で、兄弟なのにお互いをそれは好きで、小さい時から来たもんな。」

維月はフフっと笑った。

「そうよ?私、いつでも十六夜を頼っていたわね。ずっと一緒だったから、一緒に居ないと落ち着かなくて。大好きな兄で…何でも話して。記憶が戻ったから、前世と同じような心持ちに戻ったけれど、でも、あのままでも支障はなかったと思うわ。とっても好きなのは変わりないもの。」

十六夜は維月を抱き寄せて頬を擦り寄せた。

「…あの頃はオレも記憶が戻ってなかったから、いろいろ大変だったんだぞ?部屋を分けられたらお前は寂しいと忍んで来るし、でもさ、あの頃の何も知らないお前を何とか出来るほどオレは鬼畜じゃねぇしよ。」

維月は赤くなった。

「あれは…悪かったと思うわ…だって、誰も教えてくれないでしょう?神の世って変な所でクリーンだから、婚姻云々誰も教えてくれないんだもの。お母様もそんなこと教えるものだと思って居なかったみたいだし、十六夜だって、だから言いにくかったのよね?」

十六夜は頷いた。

「オレが最初に知ったのは、学校の奴らと話してる時だった。部屋がまだ一緒なのを聞いて、オレが、父親とかに言わねぇだけで、とっくに維月と婚姻を済ませてるだろうと聞かれて、一緒に寝て口付けるだけだと思ってたから、そうだと答えたら…その話になったんでぇ。びっくりしたが、確かにあれが婚姻ってのがおかしいと思ってたところだったから、妙に納得したのを覚えてる。で、実はその日、オレはお前にそれをしようかと思ってたんだ。」

維月はびっくりした。知らなかった。

「…え、でも十六夜は何もしなかったわよね?だから私、あの歳まで知らなかったんだし。」

十六夜は頷いた。

「しなかった。というか、出来なかったんだ。お前があまりに何も知らねぇ顔でオレを見上げてるから、どれだけびっくりして怖がるかと思うと、とても出来なかった。だからそのあと、お前に何か分からないけどしようと言われた時も、やっぱり出来なかった。心がまだ子供だと思ったから、待とうと思ったのさ。ま、結果維心がお前に教える形になったんだがな。あの時はまだ記憶が戻ってなかったから、そりゃあ悔しかったもんだよ。」

維月は気遣わしげな表情をした。

「十六夜…。」

十六夜はフフンと笑った。

「なんだよ?オレは何とも思っちゃいねぇぞ?記憶が戻ったしな。それにオレはアレ自体をそんなに重要視してねぇしよ。記憶のないお前がそうだったろうが。」と、十六夜は、維月の頬に唇を寄せた。「だがなあ…確かに嫌いじゃねぇんだよなあ…。」

十六夜は、そのまま維月を寝椅子に押し倒した。

「十六夜…。」

「維月…。」

二人は強く愛し合った。

そしてそれが、その後どんな騒動になるかなど、その時は考えてもなかったのだった。

ありがとうございました。次は、続・迷ったら月に聞け3~誕生 http://ncode.syosetu.com/n2386br/です。いろいろな話を平行して書いているので、なかなかに進まなくてやっとこっちが終わったと言った感じです…。次もよろしくお願い致します。6/8

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