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第四話Bパート 十字架 The Holy Cross

健二視点


 館に生前から仕えていたらしい執事、セバスチャンと別れた俺たちは、一階のより奥の部屋を探索することになった。厨房近くの廊下に近づいた時、片山は何処か青い顔をしていた。


「どうしたんだ片山?何処か体調が悪いのか?それとも何かの気配を感じたのか?」


 俺は片山が心配になって声を掛けてみると、片山は心配を掛けないようにとどこか作ったような笑顔で笑いかけたとに


「私の体調は大丈夫だよ。ただこの近くに……多分悪霊だと思うんだけど霊の気配がして……」


 俺は片山の話を聞いた後にふと十字架を見てみた。十字架はどこか弱弱しい銀色の光を帯びていた。


「確かに気を付けた方がいいな……十字架も反応しているしな」


 俺は片山を背中に隠し先に進むことにした。しばらく進むと厨房の入り口が見えてきた。厨房の中は、屋敷の中よりも赤の強さが弱く、他の場所よりも比較的安全であるということが分かる。


「とりあえず、生存者の痕跡と食料の探索をしよう」


 片山はどこか落ち着いた様子で、厨房の中に進んでいった。俺も先に進もうとした時に部屋の端にある窓の下に何かが倒れているのを見つけてしまった。嫌な予感がした俺は、俺とお同じように気づいた片山がその何かを見る前に片山を制止した。


「片山、見るな!」


俺は片山の目を手で隠した後にその倒れている何かを確認した。

そこに倒れているのは……



比較的最近のものであろう死体であった。



俺は一瞬ゾッとした後に、なんとか叫びそうなのを抑えた後に、本当はあまり見たくなかったけれども死体の特徴を確認した。死体は俺たちよりも少し年上の女性の死体だった。死因はよく分からないけれども、死体に目立った外傷はないが、かなりやつれていた、おそらく死因は餓死だろうと思った。


「高本君……今隠したのって死体だよね?」


 片山は俺が眼を隠していた手をのけた後に自分から死体の方に歩み寄った。片山は死体に手を合わせて黙祷を捧げていた。一分くらい経つと黙とうを止めこちらに戻ってきた。


「本当はあまりこういうことはしないほうがいいんだけどね……私たちとあまり変わらない年齢みたいだし、ほっとおけなくて……ごめんなさい」

 

なぜか俺が起こっていると思い込んでいる片山は謝ってきた。顔を覗き込むと今にも泣きそうな顔をしていた。俺は片山の目元に溜まっている涙をぬぐった後に


「お前が謝ることじゃねえ。大体俺がなんでお前が死者に黙祷したからって俺は怒ったりしないとい


 俺の言葉を聞いた片山は何が起きたのかよく分からない顔をした後に逆に号泣しだした。何で逆に泣き出したのか分からない俺が焦っていると片山は


「ごめんね。嬉しくて逆に涙が出てきちゃって……心配させてごめんね」


 俺は泣きながら謝り続ける片山に内心逆にイラッと来てしまった。俺が気付いた時には片山に怒鳴っていた。


「お前……悪いことしたわけでもないのに何でさっきから謝ってばかりなんだよ!!そうやってウジウジしてるのが俺は大嫌いなんだよ!!」


 片山は俺が怒鳴ったのにびっくりしたのも相まってか一層泣きじゃくってしまった。


(まずいな……逆に泣かせちまった。マジで俺最低だな)


 俺は泣き続ける片山にハンカチを押し付けると思われても同然の状態で渡し、泣き止んだ後に片山と厨房を再度探索した。



厨房を探索した後にふと十字架を確認してみると十字架の光が一層強くなっていた。不安になった俺は廊下の奥に目を凝らして見てみると、ピンクにしては赤が強い赤と白の中間の色をした光を帯びた俺たちと同年代の少女が立っていた。目を合わせてしまったのもあってか、その少女も俺たちの方に近づいてきた。俺は逃げないといけないと分かっていたのに体が動かなかった。


(体が動かせねぇ……これが金縛りって奴か……)


 片山が必死で俺に声を掛けてきているが返事さえもすることが出来ない。こうしているうちにも奴がもうすぐ目の前までに迫っていた。悪霊の目は今までの怨霊みたいなすべてを憎むような目とどこか違う、どこまでも淀んだ、死んだ魚のような目をしていた。


「ねえあなたたち……私の【彼】をどこに隠したの?」


 俺の目の前まで来た悪霊はなんだかわけのわからないことを言って、俺に詰め寄ってきた。片山は顔を青くして震えていた。さっきひどいことしたし言ったのもあるし片山だけでも逃がさないといけないのに……


「私を絶望のどん底から助けてくれた彼は……私にそんなひどいことは言わない……絶対に言わないもの……私は正気だもん……悪いのは私を殺したあいつらだもん……」


 悪霊は訳の分からないことをブツブツ喋りながら俺を睨み続けていた。俺は今までにない経験に腰が抜けてしまった。どうやら金縛り自体は無くなっているらしいけれど、俺は動くことが出来なかった。俺は内心このまま殺されることを覚悟していたが、そんな俺の前に片山が立ち上がっていた。


「高本君を離してください……っ!」


 片山が叫んだのに反応した悪霊は片山に向き直った。悪霊が俺を睨めつけなくなったことも相まって声が出せそうになった俺は、


「片山!俺はいいから先に逃げろ!!」


 俺が叫んでも片山は逃げずに悪霊と目を逸らすことなく前に立っていた。


「あなたも私の邪魔をするの……?私の邪魔をするなら……マズアナタカラコロシチャウヨ?」


 悪霊の呪詛が混じった言葉にも一瞬気弱そうな顔をした後に再度気を引き締めたような顔をして悪霊に見合っていた。


「高本君を解放してください。こんなことを続けてもあなたに救いは有りませんよ?」


 片山が言った【救いがない】という言葉が気に障ったのか悪霊の赤が増したと思ったら、悪霊……いや怨霊は片山の首を絞めていた。


「か……はっ……」


「お前に私の何が分かるの……?お前のような生者に言われたくない……死ね……」


 首を絞められている片山を見た俺は慌てて立ち上がり、片山から怨霊を引きはがそうとしたが、怨霊の手に触れることが出来ず空を切ってしまった。


「邪魔をするな……お前はそこで見ていろ……」


 俺が再び立ち上がろうとすると、奴は俺に再び金縛りを掛けたらしく体が動かせなくなった。


「あ……がっ……た……かも……とくん……逃げ……て……」


 首を絞められながらも俺に逃げるように言う片山を助けられない俺はただ叫ぶことしかできなかった。


「頼む!俺は構わないから片山を離してくれ!!お願いだ!!!」


 俺の叫びを聞いた怨霊は片山の首を絞めながら俺の方を振り向くと地響きするような声で喋った。


「何であんた達みたいな奴等のいうことを聞かなきゃいけないの?お前らみたいな私をいじめた屑はさっさとシネヨ」


 奴が俺たちを殺すと宣言したと思ったら奴は片山の首に一層力を込めた。


「このまま窒息死させようと思ったけど気が変わった。苦しめたうえで首をへし折ってや……」


 怨霊が吐き気を催すようなことを言っている途中で突然片山のポケットが光ったと持ったら怨霊が壁の向うに弾き飛ばされた。怨霊から解放された片山はそのままその場に倒れこんだ。俺は慌てて片山に駆け寄り、無事を確認した。


(よかった、呼吸はちゃんとしている……)


 片山の呼吸を確認した後に俺はふと怨霊が吹き飛ばされた方向を見ると、さっきの怨霊は消えていた。


(とにかく片山をエントランスまで運ぶか)


 俺は片山を背負った後に俺はエントランスに向かった。


エントランスに向かう途中で片山は目を覚ました。


「高本君?私……一体?」


 少し記憶が混乱しているらしく、片山は下してくれと言ったので、俺が片山を下すと、片山は何処かぐったりしているように見えた。


「片山……何処か痛い所は無いか?」


 片山はコクッと頷くとしばらく考え込むと、探索を再開しようと言った。


「今なら多分さっきの悪霊もいないはずだから……それにまだ重要な手がかりを一つも見つけていないし……」

 

理由を説明した後の片山を見ていた俺はさっきの謝罪をしようと思った。今を逃したら多分いう機会がないだろう。


「片山……さっきは悪かった。怒鳴ったりしてごめん……それとさっきは助けようとしてくれてありがとう」


俺が声を掛けると片山はきょとんとした後に片山は


「高本君は悪くないよ。それにあれは私が勝手にしたことだから……」


「いや、それだけでも俺は助かったし……ただお前を助けることが出来なかったのが自分で歯がゆい」


 俺の言葉を聞いた後に片山は何度も謙遜し、俺もまた謝るやり取りを延々と続けた。


 変なやり取りを止めた後に俺は気になることを聞いた。


「そういえば、さっきお前のブレザーのポケットから光が出てきたあとにあいつを吹き飛ばしたんだけど、ポケットに何を入れていたんだ?」


 片山はポケットに手を突っ込んで何かを探していた後に、驚いたような表情をしていた。


「どうしたんだ?何かあったのか?」


 俺が話しかけると片山は震えながら「これ……」と言ってとあるものを見せてきた。



 それは粉々に砕けた銀色の十字架だった……

                              続く


 おはこんばんちは、ドルジです。

 次ぐらいに他の生存者を出そうと思います。


幽霊紹介

厨房の廊下の前の女子高生の幽霊

種別 怨霊

思考 不安定(誰かを探しているらしい)

霊力 やや強い

危険度 赤みがかったピンク~赤(やや危険)

獲物 無し

特殊能力 金縛り

原点 日本

イメージCV 田村ゆかり

説明

 厨房の近くの廊下に出没する少女の幽霊。

 原因は不明であるが、生存者の中でも比較的派手な同年代の男女を狙って取り殺そうとしている。

 

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