表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/59

第十六話Bパート 無名の騎士団 Nameless Knights

貴志視点


 目の前に乱雑に積み上げられている血濡れの鎧を見た俺たちは後ろに下がった。


「おいおい。何だよこれ……」


 小鳥遊さんは冷や汗でも書いているかのような様子で鎧の山を見ていた。他のみんなも大体同じような様子で鎧の山を見ていた。その時、桐生さんが俺たちに話しかけた。


「コイツは……おそらく東館の本に書いてあったあの騎士団の死体じゃないかな……」


 桐生さんの言葉を聞いた俺は東館を探索していた時に見つけた本のことを思い出した。


(あれには確か東館のどこかに騎士団の死体がある部屋があるって書いてあったはずだ……)


 そのことを思い出した俺は周りに発言をしようとした。


「なあ。ひょっとすると此処に何かしらの手がかりがあるかもれないし、探索してみたほうが……」


 しゃべっている途中に俺はふと俺たちが入ってきた方とは正反対にある入口にあの騎士が一人佇んでいるのを見てしまった。


「みんなやばい!!俺たちが入ってきた方と逆の入口に騎士が一人立っている!!」


 俺の言葉を受けたみんなは逆側の入り口の方を向いた。全員がその騎士を確認した瞬間、さっき来た道の方へと走ろうとした。しかしその時声がした。


「待つのだ少年たち……私は君たちに危害を加える気はない……」


 俺たちは声をした方を振り向くとそこにはさっきの騎士が立っていた。俺たちがしばらくその騎士の方を凝視していると片山が口を開いた。


「大丈夫だよ。この騎士は怨霊じゃないよ」


 その言葉を受けた俺や他のみんなはその場に崩れ落ちるように座り込んだ。よく見れば騎士は手に剣も槍も何も持ってはいなかった。


「少年たちよ。済まないがそちらに近づいても構わないかな?」


 俺たちは騎士の言葉に頷いた。すると騎士はこちらから2メートル離れたところまで歩いて来て、そのままその場に再度制止した。


「あの……一つ聞いてよろしいでしょうか?」


 篠原が立ち上がった後、騎士に向かって話しかけた。騎士は平然と「どうかしましたか?」と答えた。騎士が答えたのを確認すると篠原は騎士に問いかけた。


「ひょっとして……あなたは誰かを此処で待っているのですか?」


 篠原の言葉を受けた騎士は一瞬黙り込んだあとに答えた。


「うむ。私は生きている人間を探している……私や私の仲間の話を聞いてもらうために……」


 騎士はそう言うと鎧の山の方をどこかさみしげに見つめた。すると篠原はある提案をした。


「あの……よろしければそのことを私に話してくださいませんか?」


 篠原の言葉を受けた騎士は一瞬驚いた様子であったがすぐに口を開いた。


「本当にいいのか……?思念で見せることになりますが霊的な負担も大きいぞ?」


 騎士の言葉を受けた片山は頷きながら「はい」と言って答えた。それは見た俺は自然と言葉が出た。


「俺も構わないぜ」


 俺の言葉に続いて全員が同じように答えた。それを見た騎士は嬉しそうに口を開いた。


「ありがとう少年たち。君たちに感謝する」


 そう言った後、俺たちは騎士からどうすればいいか説明を受けた。


「別に大したことをする必要はない。全員が手をつないだ状態で円になればそれだけで十分です」


 そう言われた俺たちは手をつないだ円のような状態になった。


「では始めますよ……」


 騎士がそう言った次の瞬間目の前が真っ白に光った。


 騎士の思念

 光が晴れるとそこは薄暗い森だった。ふと周りを見ると朝斗たちが消えていた。


「みんなどこに行ったんだ!?」


 俺がみんなを探しているとそこにさっきの騎士が現れた。


「心配しなくても良いぞ少年。ここは私の思念。言うならば記憶だ。すべてが終わればまた戻ってこられる」


 そう言われた俺はとりあえずもう一度思念の方に集中することにした。辺りの森を見渡していると焚き火のような明かりが見えた。俺がその方に近づくとそこには森が開けた場所に作られた騎士団のキャンプが存在した。俺がそこに近づくと鎧を脱いだ騎士たちの何人かが焼いた肉のような物を食べていた。

(そういえば俺が近づいてもまったく反応しないな……こいつらは俺を認識できないのか?)


 俺がそんな風に考えていると仮設のテントらしき建物から鎧を着た一人の男が出てきた。俺はそいつの鎧を見て驚愕した。


(こいつは……あの黒騎士か!?鎧の色が白銀で甲外しているけれど形一緒だし)


 俺は内心驚きを隠せずに再度辺りを見渡すと騎士の中に見覚えのある鎧を着た者が多数混じっていた。


(じゃあこれは生前のあの騎士団か?)


 俺が思考していると一人の別の騎士が白騎士(今は鎧が真っ黒じゃないし白騎士と仮に呼ばせてもらう)に話しかけた。


「隊長……明日の夕方には本国に帰還できそうです……」


 騎士の言葉を受けた白騎士は答えた。


「うむ。此度の戦の勝利はさず国王陛下も喜んでくださるだろう」


 白騎士は満足気にそう答えた。俺がそんな騎士達のやり取りを見ているあいだに突然異変が起きた。


 

そう……世界のすべてが赤く染まったのだ……


                          

続く


どうもこんばんはドルジです。

 来週はほとんど更新ができないと思います。ですがこれからも頑張ってゆきたいと思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ