第十六話Aパート 乱戦 Confused fight
赤井視点。
目の前の騎士達へと距離を詰めつつ手に血刀を作り騎士達に斬りかかった。
「フン!!」
しかし私が振りかざした血刀は大盾を持った騎士が密集する陣形、【ファランクス】で防がれた。
(陣形を組んだ!?)
私が驚いていると大盾の隙間から複数の槍が飛び出してきた。私は体を液化させようとしたけれども、全身を完全に液化させることが出来ず、何箇所か槍を直接受けた。
「どうやらさっきの戦いで霊力を使いすぎたようですね……」
私は一度後退し相手の戦力を確認した。そこで私が驚いたことは先程ファランクスを行っていた騎士たちの武器が全く違うものに変化していたことだ。
「まさか武器をある程度変化させることができるのか?」
私は今までの騎士団とは明らかに違う驚きを隠せなかった。私は一瞬このまま逃げるとも考えたが、何故かそうすることができなかった。
「何故でしょうね……今までなら逃げようと思えば逃げたのですけれどね……やはり私も焼きが回りましたか……いや……」
私が自虐的にそう考えていると【あの時】の光景が頭をよぎった。
(そうだ……アイツはまだ生きている……あの黒騎士を殺すにはここを通るしかない……そのためならば……!!)
私は自らのうちに再度溢れ出した憎しみを一度奥にしまいこみ、赤い騎士団に飛びかかった。奴らは先程同様にファランクスの陣形になったけれどもそれは想定していた通りのことであった。
(武器の変化や陣形に不意を突かれたが今までの騎士同様知性は幾分落ちているようですね……なら)
私はすかさず陣形の側面に方向転換した。騎士団は慌てて陣形を変えようとしたけれども既に遅いことだった。
「あなたたちの霊力をいただきますよ」
私は右手を槍に変えて騎士団のうち4人ぐらいを貫き、そのまま貫かれた騎士から根こそぎ霊力を吸い尽くした。
「ごちそうさま。これで少しは霊力が回復しましたね……さて次は誰から来ますか?」
私の挑発を受けた騎士たちは一瞬こちらに殺意を向けたけれども、すぐにそれを抑えこちらに各々の武器を向けて陣形を再度組み直した。
「おやおや。どうやらこの程度の挑発に流石にのらないようですね……ではあまりこちらも時間がありませんし決着を付けさせてもらいますね」
私はそれだけ言うと赤い騎士たちとの距離を詰めるために再度飛びかかった。私はまず一番近くにいたサーベルと盾を持った騎士に斬りかかった。騎士は今までのモノみたいにすぐに切り裂かれることなくこちらの血刀を弾き返した。数度切り結んでいると今度は側面から他の様々な武器が襲いかかってきた。私はそれを自らの体を液化することで回避しつつ、切り結んでいた騎士の資格に回ったあとに硬化した手刀で心臓に相当する部分を貫き絶命させた。
「貴様!!」
怒りに駆られた一体の騎士が私に切りかかってきた。しかし私は騎士が冷静さを失って力任せに振り下ろしたクレイモアを回避しつつマントを変化させた鎌で首を刎ねた。敵がひるんでいるのを見計らった私はすかさず血で鞭を作り、複数の敵から霊力を奪いつつ胴体を切り裂いた。そのまま私は別に騎士に斬りかかったが、今度は三人がかりでこちらに応戦してきた。私はすかさず飛び上がり敵の攻撃を回避し、着地と同時にマントを360度切り裂く大鎌に変化させ周りにいる敵の霊力を吸収した上で真っ二つにした。
(これで半分か……)
私が一度少し距離を取ろうとすると今度は騎士たちが私に切りかかってきた。
「ほう。今度はそちらからきますか……いいですよ。相手になりましょう」
私は距離を取るのを止め、応戦するために今度は血鎌を生成した。私に切りかかってきた騎士はなかなかの速度で斬撃と刺突を繰り返してきた。私はそれに対して距離を詰め過ぎられないように血鎌を振るい応戦した。私は切り結んでいる騎士の後方から飛び出してきた槍を回避し、後ろに一気に跳躍しつつソの最中に鎌を変化させた槍を騎士に投げつけた。そのまま内側から発生した小さな槍で貫かれている騎士を無視しつつ残っている騎士の方に後ろの壁を蹴って跳躍した。左手に手にした血刀ですれ違いざまに数人の騎士を切り裂きつつ右手で作った鞭で3人程の騎士を拘束した後に一気に霊力を吸い尽くした。
「貴様、また我らの同胞から霊力を……!」
私は口でネチネチ言っている騎士を無視しつつ他の騎士に切り掛かった。
「っち!コイツ!!」
敵の槍を持った騎士は私に槍の間合いよりも近いところに踏み込まれたことも相まってたやすく首をはねることができた。その後すかさずもう一振り血刀を作り二刀流で騎士に斬りかかった。
(やはりどうやったかは知らないが知能こそ上がっているが今までの騎士と比べても単純な戦闘能力は変わらないようだな……)
私は心の中でそう分析した後、近くにいた騎士と数回切り結んだ後に首を撥ね、周りにいる騎士数体を鞭のように変化させた血刀で切り裂いた。
「どうやら残っているのはあなただけのようですね」
最後に残った騎士はサーベルと盾を持っていた。
「来い……最後まで戦ってやる……!!」
騎士はそう言うと盾をサーベルに変化させこちらに切りかかってきた。私はそのまま相手の斬撃を迎撃しつつカウンターで左手を切り落とした。
「グハッ!!」
相手がひるんだ瞬間に私は両手に持っていた血刀を鞭のように変化させ相手を拘束した。
「これで終わりですよ」
私はそれだけ言うと相手から霊力を全て吸い取った。
続く
どうも読者の皆様。ドルジです。
今回は少し更新が遅くなってしまいました。後来週はおそらくほぼ更新できないと思います。(出来れば今週はもう一度は更新したいと思っています。)