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第十五話Bパート 地下道 Under ground

健二視点

 

 俺たちが再度屋敷の主の部屋を探索したけれどもこれといって重要そうなものを見つけることはできなかった。


「何も重要そうなものが無いな……」


 朝斗は冷静にそう言いながら手に持っていた本を机の小さな本棚に戻した。


「やっぱりどこか他の所を探したほうがいいのでしょうか……?」


 篠原はどこか困ったような様子でそう言うと新しい本を探すために本棚を探し始めた。俺はふと探索の途中に開かなかった机の棚の一つに手をかけた。すると開かなかったはずの机の棚が何故か開いた。


「あれ……さっきは此処開かなかったよな?」


 俺は驚きつつも机の棚を開こうとした。でもその前に俺は桐生さんに止められた。


「待つんだ高本くん。罠かもしれないのにどうして開こうとしているんだ?開けるなら僕が開ける」


 俺は最初止めようとしたけれども、桐生さんの静止を止めるための言葉が思いつかず、危険ではあるけれども桐生さんに任せることになった。


「じゃあ開けるよ」


 桐生さんはそれだけ言うと棚をあけた。棚の中にはやや大きな紙切れが入っていた。


「何だろうかこの紙切れは?」


 桐生さんはそう言いながら紙切れを開いた。後ろから覗いてみると何かが書いてあった。


「【緊急時のための地下通路への入り方】」


 俺は驚いてその場で固まった。桐生さんや俺と同じように後ろから覗いていた他のみんなも同じような様子であった。しばらく固まった後桐生さんは口に出して紙切れに書いてある内容の続きを読み始めた。


「まずこの部屋の本棚の【我が国の成り立ち】という本を棚から引き出すのだ。すると本棚が横に動くはずだ。本棚のあった場所の裏側に地下へと続く大きな階段があるはずだ。そこが緊急時の脱出用の地下通路だ。ただ途中には屋敷の人間以外が通れないように鍵がかかっている。鍵はこの館のマスターキーとは別に渡したものであるためくれぐれも間違わないように。後、中にあるハンドルを回すことで内側からでも通路の入り口の開け閉めが可能であることにも注意して、使用後は扉を占めるようにして欲しい」


 紙切れに書かれてあった内容を読み終えた桐生さんとそれを聞いていた俺たちはすぐに紙切れに書かれていた本を探すために部屋中の本棚を探し始めた。


「おいこれじゃねえか!?」


 本棚を探し始めてすぐに小鳥遊さんが本を見つけたらしく、俺たちはすぐに集まった。


「これだな……棚から引き出してみよう」


 朝斗がそう言うと本を棚から引き出した。すると本棚が右にスライドしていき、そこには梯子と小さな赤い明かりがあるだけの狭く薄暗い空間があった。


「ここから降りられるのよね?でももし何かがここにあったら……」


 朝倉さんが少し何か罠があるのではないかと気にしているような様子であった。その時片山と篠原がこの部屋の入口の方に振り向いた。


「待って……この部屋のすぐ前までもう来てる……」


 片山が顔を青くしてそう言ったあとに篠原も同じような様子で口を開いた。


「ここにあまりいない方がいいです……早くこの部屋から出ないと……」


 俺は二人の尋常では無い様子に驚いて一瞬言葉に詰まったけれども、すぐに今考えていることを言うことができた。


「このはしごを降りよう。今ここにいても殺されるだけだ」


 俺の言葉を受けたみんな頷いた後に、はしごの方に向かっていった。最初は一人男子が降りるべきだと俺が言ったけれども、女子に反対され女子から降りることになってしまった。そして最後にはしごを降りることになった俺はハンドルを回して扉を内側から占めてからはしごを降りた。



 はしごを降りるとそこは薄暗いランプが点々と点在する一本みちの通路だった。


「とりあえず先に進むしかないね」


 片山はそう言うと奥の方を少し覗いていた。俺がどうかしたのかと聞くと片山は「誰かいるような気がして」とだけ言って奥の方をさらに覗き込んでいた。


「片山、奥の方に誰がいるんだ?」


 朝斗の言葉を受けた片山は少し難しそうな顔をして答えた。


「なんて言えばいいのかな……この奥に何かがいるような気がするの……とりあえず今は先に進むしかないよね……?」


 それだけ言うと片山は奥の方を覗き込むのをやめた。俺たちはそれを確認したあとに奥に進むことにした。


 奥の方に進むと鉄格子のようなモノがあった。桐生さんは前に出て鉄格子の扉を調べ始めた。


「これがさっきの紙に書いてあった地下の扉か……小鳥遊。お前たちがさっき拾った鍵使えるかな?」


「いやいや。試してはみるけど流石にここで使えたら都合が良すぎ……」


 小鳥遊さんはそう言いながら鍵を鉄格子の鍵穴に指すと、鍵は綺麗に鍵穴に入った。


「マジかよ……いくらなんでも都合が良すぎだろう?」


 小鳥遊さんは唖然とした様子で扉に刺されている鍵を回すと扉の鍵は開いた。


「鍵開いたわね」


 朝倉さんはそう言うと未だに唖然とし続けている小鳥遊さんの肩を「小鳥遊くん大丈夫?」と言いながら揺すっている。俺たちはそんなやり取りしつつ先に進んだ。



 さらにしばらく進むと大きな部屋らしき場所にたどり着いた。


「ここは一体……?」


 俺がしばらく周りを見渡すとそこにはとんでもないものがあった。


  それは部屋の端に乱雑に倒れている血濡れになった複数の鎧だった。               

                                            続く


 こんばんわドルジです。

 今回は部分的にですが少し明るめの内容っぽい何かを書く事が出来ました。これからも頑張っていきたいと思います。

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