第十五話Aパート 無限連鎖 Infinite chain
赤井視点。
幾体とも分からない怨霊の首を怨霊の首を刎ねた。だが周りには明らかに今までの比ではない数の怨霊がまだ立っていた。
(40……いや50か……数だけは対したものですね……先程も数体ほど後ろを抜けていきましたよ……)
私は心の中で悪態を付きつつ両手に持った血刀を改めて構え直した。
「ギギッニクイ……ニクイ……!ドケ……ニンゲンコロスコロス……!!」
「やれやれ。まともな言葉を話すだけの頭も持ち合わせていないのですか……数だけ集めたところでどうにかなると思っているのですか?まあそこまで考える知性も持ち合わせていないようですけれどね……!」
私はそれだけ言うと再度怨霊の群れの方へ駆け出した。動きの鈍い怨霊達を擦れ違い様に切り刻んでいった。
「グギャ!?」
敵を切り刻みながら奥の壁際まで到着した私はマントを無数の槍へと変化させ後方にいる怨霊を貫いた。霊力を吸収するためだ。さらに私は跳躍した。跳躍した私は一際体が大きな怨霊に狙いを定めた。
(狙いはあの図体の大きい奴だ……)
私は狙いを定め両手に載っていた血刀を融合させ巨体の怨霊に投げつけた。私の投げつけた血刀は強力な血の鎌になって怨霊の体を縦に一刀両断した。しかしこれで終わりではない。
「爆ぜろ!!」
巨大な怨霊の体を一刀両断した血の鎌は私の命令を受けると周囲に小型の鎌に成って飛んでいった。小型の鎌は周りに密集していた怨霊の体を切断した
(霊力を多少消費したがこれで3分の1は削り取ったはずだ……)
私が周りの様子を見ていると今までよりも明らかに多くの数の敵を殺したことが分かった。だがまだ足りない。こいつらを殲滅するためには【あれ】を使うしかない……
「……やむを得ないか……」
私がそう考えていると後ろから怨霊が持っている槍に貫かれた。しかし私は体を気化させて敵の攻撃を無効化した。
「!?」
驚いたままその場に立ち尽くしている怨霊を無視して私はそのまま体を気化させたことで変化した赤い霧で周囲にいる怨霊を覆った。
「霧を介して霊力も回収できるはずだ。さあ散れ!!」
私の掛け声とともに赤い霧が無数の刃へと変化した。赤い霧で出来た無数の刃が霧に包まれていた怨霊たちを切り刻んだ。しかしそれだけではない。私はすかさず体を液化させ近くに血の水たまりを作り出した。
「ガッ!・ドコニイッタ!?」
私が姿を消したと思っている怨霊たちが私を探し始めた。
(無駄なことを。悪いがお前たちがバラける前に一気に刈り取らせてもらうぞ……)
一箇所に集まっていた私を探すために怨霊たちが散り始めた。私はその前に自らの体を巨大なかつ高密度の大鎌に変貌させ、怨霊どもに飛びかかった。自分自身の体をそのまま変化させることは高密度かつ高い硬度を誇る上に、体の一部を分離させて投げつけるよりも格段にコントロールが自在に効き、しかも速度も比では無いとっておきだ。
「ナンダコレハ?」
不意を突かれ動けないでいる怨霊をそのまま切り捨てていった。怨霊の中でも頭一つ抜けた霊力を持った個体が真正面から私の大血鎌を受け止めようとした。だが私はすかさず体をバラけて目の前の怨霊を切り刻んだ上で再度大鎌に体を戻した。そして部屋の端まで付いてもまだ生きている怨霊を補足した上で体を細分化した無数かつ高密度の小鎌で切り刻んだ。
「グギャ!?」
無数の小鎌へと変化させた体を集めた上で周囲を見渡すと周りには怨霊はいなかった
(何とか殲滅することはできましたか……だが霊力をかなり消費しましたね……)
私が戦闘形態を解除してその場に座り込んで少し考え事を始めた。
(この別館の奥に黒騎士が……いや……今は回復に専念した方がいいですね……)
私は冷静に自分自身を見直せることができていることに内心驚愕した。
「やれやれ……私を彼らに毒されたというべきか何というか。まあ彼女を引き戻せたということもあるかもしれないけれどもな……」
ふと別館への扉を見るとそこからは怨霊どもの気配がした。
「チッ。まだ居るのですか。しかも数こそさっきよりは少ないが霊力の質がさっきの怨霊の比じゃ無いようですね」
私は改めて血刀を作り構えた。そして扉をすり抜けて黒騎士の部下の赤い騎士団たちだった。数はザッと見ただけでも20から30体ぐらいはいるのが見てわかった。
「お前は我らが同胞を複数殺した。理由はどうであれお前はここで仇として討たせてもらう」
赤い騎士たちは手に各々の武器を持ちこちらににじり寄ってきた。
(やむを得ないですね。どうせならこいつらから少しでも多くの霊力を吸収しておけばいいでしょうね……)
心の中でそう考えた後、私はただ目の前の無限に湧いてくる怨霊どもにのみ意識を向けた。
続く
こんばんはドルジです。
今回からはまたAパートとBパートに分かれます。おそらくここから最終局面に入ると思いますので、これからも頑張っていきたいと思います。