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第十四話 開かずの間

健二視点。


 俺たちが片山さの後を追っていると、俺たちが追いかけていたはずの片山が目の前から走ってきた。


「おいお前どこいってんだよ!?みんな心配してたんだぞ!」


 俺の声を聞いた片山は申し訳なさそうに「ごめんなさい」と言うと後ろを振り向いた後に話し始めた。


「あのね……赤井さんがあの娘のことを説得して、それは成功したんだけれど……怨霊が現れて……赤井さんが時間を稼いでいてくれて……それで……私に逃げろって……」


 片山の言葉を聞いた俺は慌てて片山が走ってきた方向を見た。するとそこは今までに見たことがないくらい真っ黒に染まっていた。


「高本くん。ここは一度エントランスに戻った方が良さそうだ……」


 俺は桐生さんの声に気が付き、俺は頷いた後に片山の手を引いてその場を走り出した。桐生さんと朝倉さんも俺たちについて走ってきた。



 それからしばらく走り続けても後ろの黒い空間も同時にこちらに追いすがってきた。俺たちは何時追いつかれるかという恐怖にかられながらもなんとかエントランスまで到着することができた。


「健二。片山は無事だったか?」


 朝斗の問いかけに俺が答えようとするといつの間にか戻ってきていたのかあの双子が代わりに答えた。


「「うん。片山さんは無事だったみたいだけれど……どうやら別館から怨霊が湧いてきたみたいだね……こんなこと今までなかったのに……」」


 俺の言葉を聞いた朝斗は青ざめた顔をしつつ口を開いた。


「やっぱり此処も危ないんじゃないんじゃないか?正直このまま本館に居続けるのはまずいと思うんだ」


 朝斗の言葉を受けた双子は複雑そうな顔をしつつ答えた。


「「その通りだね……ここに貼ってある結界も持たないだろうね……あまり乗り気はしないけれど、今からでもこの屋敷の外に移動するんだ。しばらくならそれでやり過ごせるはずだから……」」


 俺たちは双子の言葉を受けて悩んだ。


(本当にこの屋敷から出ても大丈夫なのか?このまま出たとしても奴らがまた追ってくるんじゃないのか?)


 俺が考え込んでいると篠原が口を開いた。


「ここから出て戻ってこれるのですか?ここから出ること自体で屋敷には戻れるかどうかも分からない所に飛ばされる可能性だって有りますし、それを考えるとまだ他の館に逃げ込んだほうがまだ良いのじゃないのかと思うのですが」


 篠原の言葉を受けた双子は驚いた様子でいた。俺たちもその言葉を受けて驚いた。


「今までだってすぐにこの屋敷から離れないようにさえすれば戻ってこれた人だっていましたよね?それなのに一度この屋敷を出た人が一人も戻ってこなかったなんておかしいですよね?それを考えればこの屋敷をでた時点異空間のどこか別の場所に飛ばされると考えられませんか?」


 篠原の意見を聞いた双子は驚いた様子で答えた。


「「そうか……言われてみればそれもそうかもしれないね……」」


 双子の言葉を受けたあとに桐生さんが口を開いた。


「じゃあ、東館に行ってみよう。あそこには別館の鍵があるらしいし……三階は全部探索したわけじゃないし……」


 桐生さんの言葉を受けた俺たちは特に否定する理由も無いこともあって、頷いた。


「なら急ぎましょう。そろそろエントランスにアイツ等が押し込めてくるはずよ」


 朝倉さんにも急かされた俺たちはそのまま東館に慌てて移動した。



 東館に移動すると、そこには小柄な鬼のような何かの死体が複数散らばっていた。


「ウッ!なんだよこれ!?」


 俺が吐きそうなのを抑えていると、女子たちは一斉に悲鳴を上げた。


「っく。急いで三階に移動しよう。」


 朝斗の言葉を受けた俺たちはすぐに階段に向かって移動した。階段を移動し終えると、そこには俺は一度見たことがある廊下が広がっていた。


「奥の方に進もう。多分前に言っていた騎士の部屋や鍵もここにあると思うから……」


 それから俺たちは奥の方の部屋を探索しつつ、安全な場所を探し始めた。大半の部屋はごくごく普通の部屋であったけれども、一番奥の部屋には鍵がかかっていた。


「ここには鍵がかかってるな」


 俺が試しに蹴り破ろうとしたけれども、扉は開かなかった。俺が四苦八苦していると小鳥遊さんが俺に声を掛けてきた。


「これは俺たちが西館を探索していた時に見つけた地下独房にあった鍵なんだけど、ここで使えるんじゃないかと思うんだが」


 小鳥遊さんに渡された鍵を受けたとった俺は鍵を使ってみた。すると扉の鍵はカチャリという音と共に開いた。


「開いたな……入ってみるか?」


 朝斗に入るかどうか聞かれたとき、俺は迷うことなく頷いた。


「俺が先に入るぞ」


 俺が先に入るとそこは明らかに他の部屋と比べて装飾に力が入っている部屋だった。ただそれだけではなかった。


「なんですかここは。血の匂いで充満していますし、その上にこの禍々しい気配は一体……」


 この部屋は東館のどの部屋よりも赤黒く、その上で今までにないぐらいおぞましく重苦しい雰囲気であった。


「ここはなんだ……西館よりも雰囲気がまずいぞ……」


 桐生さんは顔を青くしつつ部屋を見回していた。


「どうやらここは誰かの個室らしいな……それにここまで妙に装飾が凝っていることを考えると……、まさかこの館の主の部屋か……?」


 朝斗の発言に俺たちは驚いた。それと同時に何故かはわからないがこの部屋が館の主の部屋であるという確信が芽生えていた。


「調べてみよう……何かこの館そのものについてもわかるかもしれないし……」


 片山の言葉を受けた俺たちは最初は調べることを躊躇したけれども、すぐに調べる事になった。みんな直感的にでも何かがここにあると思ったのだろう。



俺たちがこの部屋を調べていて驚いたことは本棚の本のほとんどが真っ黒な怨念の込められた本しかなかったことであった。


「これじゃあ見れないわね」


 朝倉さんはそう言うと本を取り出して次の本を取り出して確認していた。

 そんな風に確認していく作業を続けている途中に片山が一つの本を見つけた。


「これ……見かけはここにある黒い本と同じだけど……怨念が弱いのにかなり強い残留思念が宿ってる……」


 片山がそう言うと本に手をかけて「開けてみるね」と言った。俺と篠原は慌てて止めて、俺が開けると言うと片山に何故か俺が怒られた。


「霊感や霊的耐性を持ってない高本くんがこの本を開いたらどうなるか分からないんだよ!残留思念が強いってことはどんなことが起きるのか私でもあまりわからないのに……そんなことできないよ……だから私が開ける」


 俺が何度も言っても聞かないことから妥協して二人で本を開けることにした。最初こそ片山は納得しなかったけれども、結局は折れてくれた。


「じゃあ開けるぞ。みんなは少し下がっててくれ……」


 俺がそう言うと、周りのみんなは頷いて一歩下がった。それを確認した俺は片山と同時に本をあけた。すると本から何か途轍もない物が頭に流れ込んできた。

                        

 続く


 どうもドルジです。

 以前大学の夏休み中に完結させると言ったのですが、このペースだとそれもかないそうにありません。本当に申し訳ありません。

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