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第九話Bパート  対峙 Facing

雄介視点。


 二階についた俺たちは赤井について行きつつ黒騎士とやらを探すことになった。俺はそいつのことがどんな奴なのかが分からないのもあってか内心楽観している部分もあるけれども、毛利と篠原は歩きながら何かを考えているような様子だった。


(そういえば二人はその黒騎士とやらに一度会ったことが有ったんだったな……ここは俺の柄じゃねえけど何か気の利いたことを言ってやるべきだよな)


 意を決した俺は二人に話しかけることにした。


「お前ら何か考え込んでるみたいだけどよ、俺に何かできることは無いか?相談ぐらいには乗るぜ。」


 俺の言葉を聞いた二人は歩きながら少し悩んだ様子でいたけれども、毛利が答えた。


「俺たちは一度あの黒騎士に遭遇したのを知っていますよね?あの時あいつは逃げ切った俺たちに去り際に【次は殺す】って言ったんです。正直その時のことを思い出すと……」


 まさかとは思ったけれども、二人ともその黒騎士に怯えていたのだ。さっきは答えなかった篠原の方も同じようだった。


「大丈夫だって。今までだって何とかなってきたんだし大丈夫だ……」



「気安く大丈夫だなんて言わないでください!!」



 篠原の突然の大声に驚いた俺は一瞬固まった。それを見越したかどうかは分からないけれども、篠原はそこからさらに叫んできた。


「どうしてそんな簡単に大丈夫だって言い切れるんですか!!私たちあの黒騎士に殺されるかもしれないんですよ?それに赤井さんだって私たちのことを見捨てかねませんし……」


 篠原が赤井に見捨てられるかもしれないという点を心配していると思った俺が何とかするから心配するなと返した。でも篠原は逆になお怒った様子で返してきた。


「何とかするから心配するな!?どうして何とかできるって言い切れるんですか!?あの赤い騎士も見ましたよね!?私たちにあれがどうにか出来ると思いますか!?無理ですよね!それよりも強いはずの黒騎士をどうにかするなんてなお無理ですよ!!小鳥遊さんはどうしてそんな無責任なこと言ったりするのですか!!」


 叫び続ける篠原を毛利が落ち着かせ、俺の方を向いて口を開いた。


「小鳥遊さん……俺たちを元気づけるために今の発言をしたのは分かりますけれども……出来たらあまりデリカシーにかけるような発言はやめてくれませんか?」


 俺は内心ショックだった。同時に自分の無責任さになお歯がゆくなっていた。


(俺は最低だな……戦力としても役に立たねえし、元気づけようとしても、逆効果だし……やっぱり桐生みたいには上手くいかねえか……でも俺にだって何か出来ることが有るはずだ……俺にしか出来ないことが)


 俺がそんなことを考えていると、赤井が廊下の向うから走ってきた。


「随分遅いようですがどうかしましたか?今は急がないといけませんし先をに進みますよ」


 赤井はそれだけ言うと、最初着いて行っていた時と同じ速度で先に進んで行った。俺たちも赤井にそのままついて行くことにした。



 俺たちがある程度先に進むと、赤井は曲がり角の手前で待つように手をかざしてきた。


「赤い騎士が一体います。君たちはここで待っていてください。」


 それだけ言うと赤井は凄まじい速度で赤い騎士の懐に踏み込むと、硬化した足での回し蹴りで胴体を切断した後に、赤い騎士の顔を掴んだ


「やあ赤い騎士。突然の不意打ちの後で悪いのですが、あなたたちの首領の黒騎士を知りませんか?」

 

赤井はさっき赤い騎士に尋問する時と同じ態度で質問した。赤い騎士は赤井のことを睨みつけつつも、こちらにそれ以上に俺たちを憎らしげに睨んでいた。それに気付いた赤井は今度は騎士に話かけた。


「そういえば前から疑問だったのですがなぜ人間を殺しているのですか?一部の人間以外は殺してもあまり大した霊力にはなりませんよね?」


 その言葉を聞いた騎士はボソボソと話し始めた。


「生きている人間が憎い……我らはここで死んだのにノウノウと生き続けている人間が憎い……何故我らがこのような場所で死ななければならないのだ……だから生きている人間を殺して我らの仲間に引き込み……」


「もういいそのことは喋るな。お前たちが嫉妬に縛られた非生産的なグズだということはよく分かった。それよりも黒騎士はどこにいる?」


 赤井の言葉を受けた騎士は口を開かなかった。そんな様子を見ていたその時、篠原が声を出した。


「あの……上からすごく重くて深い気配がします。おそらくですがそこにあの黒騎士が居ると思います」


 その言葉を聞いた赤井は一瞬驚いたような顔をした後に騎士の方を向くと


「どうやらあなたはもう用無しでした。私に霊力だけ分けて死んでください。」


 そう言った瞬間騎士が干からびた後霧散した。


「ごちそうさま……あいつの気配がよく分からなかった……何かしらの気配遮断能力を持っているのか?」


 赤井はどこか何かを考えるような様子を見せた後に篠原に話しかけた。


「改めて確認ですが、三階から気配がしたのですよね?」


 赤井の質問に篠原は首を縦に振り肯定した。それを見た赤井の顔は人間じゃないというのを差し引いても異常な表情をしていた。


「そうですか……やっとあいつに会えるのですか……奴をこの手でやっと肉片の一片まですべてを切り刻める。沙織が味わった苦しみを……いやそれ以上の苦しみを奴に味あわせられる……」


 基地外みたいなことをしばらくブツブツつぶやいた後に我に返ったような様子で俺たちに話しかけてきた。


「それなら奴が移動しないように三階に向かいましょう。道は分かりますよね?」


 そういわれた俺たちは軽くうなずいた後に来た道を戻り階段に向かった。


 

階段を上って三階に行くと、廊下が今まで見たことの無い、赤黒い色になっていた。俺は驚愕しつつ赤井は黙々と先に進んで行った。

 

奥に進めば進むほど黒の度合いが増していく廊下進んで行くと、あっけなくその存在は見つけた。

 

漆黒の霧を纏い、霧の下から見える姿は、鎧の形は一緒だがその鎧の色は漆黒で、手には剣と槍を持っていた。


「やあ黒騎士。前に会ったのは私がこの世界に来てすぐの時でしたね。あの時はよくも……」


「どけ赤マント。そこにいる人間を殺す」


 黒騎士の言葉に一瞬俺たちは固まったが赤マントが意外にも俺たちを庇うように前に出ると


「私には最初から興味無しですか。まあいいですよ。あなたは

ここで私の手で殺して見せますから、黒騎士デュラハン」


 それだけ言うと赤井は黒騎士に向かって駆け出した


                         続く


 こんばんわドルジです。

 なんとか一日中に二話投稿することができそうです。これからは可能な限り更新の間を開けないようにしたいと思います。

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