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第八話Bパート 赤い騎士 A Red Knight

雄介視点。


 桐生たちと別れた俺は、さっき新しく合流した毛利と篠原という名前の高校生とあの赤井と行動することになった。俺たちはまず西館を片端から探索することになった。西館の間取りをある程度知っている俺が他の二人を案内する役目として一番前になった。


「小鳥遊さん。怨霊には気をつけてください」


 毛利という名前の男子高校生は俺に話しかけてきた。俺は任せとけと返し、数日前まで潜伏していた西館の廊下を先に進んだ。


「そういえば小鳥遊君。あなたは西館をどれぐらい探索したのですか?」


 俺が歩き続けている時に不意に赤井が話しかけてきた。俺は内心少しイラつきつつ答えた。


「一階を少し回っただけだ……生存を第一にしていたからな」


 俺の言葉を聞いた赤井は「そうですか」とだけ返してきたが、内心イラついているようにも俺には取れた。


(やっぱりこいつ信用出来ないな。絶対に使えないと判断したら俺たちのことを切り捨てるだろうし……だからってどうすればいいかなって俺には浮かばねえし……糞っ!)


 俺は内心悪態をつきつつふと扉に気付いた。


(あれ……こんなところに扉なんかあったか?)


 二人は少し警戒しつつ周り部屋に入ろうとしていた。俺は一度二人を制止し、自分が代わりにドアを開けた。


 中は小さな部屋とあからさまな下に降りるための階段があった。俺が入ろうとすると、赤井が俺を制止した。


「待ってください。ここは私が行きましょう。大体の怨霊や並みの妖魔ならどうにかできますからね」


 赤井は得意げな様子で下に降りて行った。俺たちはそれをしばらく見守っていると下から「降りてきても問題ないですよ」という声が聞こえてきた。その声を聴いた俺たちは階段を下に降りた。



 下は牢屋になっていた。腐臭が激しく、周りをよく見ると、腐食の程度が異なる死体が複数転がっていた。


「きゃあ!!」


 死体を見た篠原は悲鳴を上げ、顔を手で覆って隠していた。毛利も嫌悪を隠せない様子であった。俺も正直見ていていい気に何て全くしないし、早くここを出たいと思った。ただ赤井は対照的に冷静に死体を観察していた。


「足枷が付けられていますね。おそらく逃げられないように何者かにここにつながれていたようですが……どうやらここの死体の腐敗具合と、牢屋自体の状態を考えるとここは使われていないようですね」

 

赤井はそれだけ言うと階段の方へ向かった。俺たちも上に戻ろうとした時に篠原が何かを見つけた。


「今、牢屋の端の方で何かが光っていました。少し見てきます」


 そう言うと篠原は死体を可能な限り見ないように奥の方に進んで行った。


「篠原。奥には何があった?」


 毛利の声を聴いた篠原はしゃがんで何かを取ってこちらに戻ってきた。


「えっと……何処かの部屋の鍵が落ちていました。どこで使うのか分かりませんけれど、持っておいて損は無いと思います」


 そういうと、篠原は鍵をブレザーのポケットに入れた。それを確認した後、俺たちは今度こそ上の部屋に戻った。



 地下の牢屋がある部屋から出た俺たちは、さらに一階を探索することにした。いくつかの部屋をすでに見たけれども、特別に目ぼしいものは無く、一階で残ったのは俺と桐生が潜伏していた部屋と厨房だけだ。厨房の近くには確かあの赤い騎士が居たはずだ。


「この先……なんだか気持ち悪い気配がします……気を付けてください」


 篠原はどこか顔を青くしてそう言った。赤井も何か感づいたのか、さっきまでの柔和な表情ではなく無表情に廊下の奥を見据えていた。


「そうですね……おそらく赤い騎士が奥に居るみたいですね。ここは私が奴をどうにかしましょう。あなたたちは足手まといにしかなりませんからね」


 そういうと赤井は赤いマントを纏った次の瞬間に凄まじい速度で走りだした。俺たちは慌てて赤井を追った。


 しばらく走ると赤井は厨房の前であの赤い騎士の前で対峙していた。騎士の人数は三人……赤井にとってこの人数は敵ではないのだろうか。


「三体ですか……奴を相手にする前のいい肩慣らしになりそうですね」


 それだけ言うと、赤い騎士に飛び掛かった。赤い騎士は自分を覆っていた霧で【赤】の力で硬化した手刀を受け止めた。次の瞬間赤井が纏っていたマントがひとりでに翻ると、刃化し騎士を斬りつけた。他の騎士は驚いた様子であったが、次の瞬間にそれぞれ持っていた剣や槍で赤井に切りかかった。しかし、赤井さんにあたった剣や槍が逆に折れた。赤井は最初の騎士に踵落としをした後にマントを360度薙ぎ払った。他の二人の騎士は霧を使って盾にしたけれども、赤井さんのマントは敵を一度に切り裂いた。二人の内の片方は上半身と下半身が切り裂かれ、下半身は霧散して消え去った。最初に切りかかった騎士が再度切りかかって来た。砕かれた兜の下は顔の特徴は典型的な西洋系の金髪の男であったけれどもその顔は狂気に歪んでいた。


 赤井は切りかかってきた男の顔を掴むと次の瞬間騎士は干からびた後に霧散した。赤井は静かに一言


「ごちそうさま……屑の割には足しにはなりましたよ」


 そういうと、先ほどのマントで切り払われたもう片方の騎士が逃げようとしていた。赤井さんは落ち着き払った様子で手を逃げる騎士の方にかざすと、手から巨大な血の塊の弾丸が騎士の方に飛んで行った。巨大な血の弾丸は騎士に着弾すると、その身を切り刻み、騎士が立っていた場所を血の海に変えた。


 あっという間に騎士を切り裂いた赤井さんは最後に上半身だけになった騎士の頭を持ち上げ、質問し始めた。


「お前は怨霊を元の霊に戻す、または成仏させる方法を知っているか?」


 聞かれた騎士はそんな方法は知らないとだけ言った、すると赤井は次に別のことを聞き始めた。


「なら黒騎士はどこだ?お前たちなら多少なりとも知っているだろう?」


 騎士は淡々と答え始めた。


「隊長なら今はおそらく、この西館の何処かにいる。詳しい場所は私も知らない」

 

赤井はそれだけ聞くと騎士の顔を粉砕し、高笑いを始めた。


「ふははははははははははははははははははははははははははははは!!なんだアイツはすぐ近くにいたのか!何十年も探し続けたが……」


 俺を含めた三人が震えていると赤井は俺たちに気付いて声を掛けてきた。


「何だいたのですか。まあいいですけど。それよりも探索に戻りますよ。あまり時間もありませんからね」


 それだけ言うと、赤井は階段があるはずの最初にあったエントランスに戻って行った。



 俺は戻りながら、正直このままだと本当に殺されかねないとも考えていた。俺は顔を青くして震えている篠原と、複雑そうな顔をした毛利に話しかけた。


「なあ……正直このままじゃ俺たち赤井に殺されるんじゃないかと思うんだが、お前達はどう思う?」


 俺のあまりにもはっきりした発言に驚いた二人はそれぞれ異なった反応をした。


「いえ……私と毛利君は以前赤井さんに助けてもらいましたから……だから殺されるというのはさすがに……」


「小鳥遊さんは赤井さん……赤マントが信用できないと言いたいのですよね?なら居ると居ないとで、どれだけ違うか考えてみてください」


 俺は特に毛利に言われたことから少し、グサッと来た。確かに俺よりもあいつの方が俺よりも居て意味がある。知識もあるし、強力な怨霊相手にも戦える。それに対して俺は今まで続けてきた中国拳法を全く生かすことが出来ない。どちらかがいなくなるべきなら間違いなく俺の方だ。


 俺は二人に変なことを言ったことを謝り、それからしばらくすると、赤井は二階に向かうから来てくれと言ってきた。俺たちはそれを聞いて上の階に上る階段に向かった


                          続く


 どうもドルジです。

 今回はわずかながら戦闘描写を入れました。自分で言うのも変ですが、稚拙でつたないものであると思います。

 これからも少しづつでも更新していきたいと思います。


怨霊紹介

赤い騎士

種別 怨霊

思考 危険(生者への怨念と憎しみに満ちている)

霊力 強力

危険度 赤(非常に危険)

獲物 剣 槍 赤い霧

特殊能力 纏っている赤い霧を凝固させることで作る360度カバーできる簡易的な盾

原点 イギリス(中世)

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