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第六話Aパート  協力 Cooperation

朝斗視点


 仮面を外した赤井さん【赤マント】が目の前で怨霊の首を刎ねた後にこちらに先ほどまでと変わらない柔和な笑みを浮かべながら歩み寄ってきた。


「赤井さんが……赤マントだったなんて……」


 篠原も驚愕を隠せないのか言葉にかなり詰まっているようであった。俺自身もさっきの鎧の部屋にあった本で少し怪しいとは思ったが、確信を得ていなかったのもあって、どんな言葉を掛ければいいのか分からずに固まっていた。


「やはり私の正体に関する確証は無かったようですね。まあ毛利君の方は薄々感づいていたようですが」


 気が付くと赤井さんの姿は最初に逢った時の黒いスーツの姿に戻っていた。赤井さんは俺たちに「そろそろ一旦エントランスに戻った方がいいのでは無いですか?」と言って一階に下りるための階段の方に歩み出した。俺たちもそのまま赤井さんの後について行った。



 赤井さんの後について行き、そのまま一階のエントランスについた時、まだ健二達の姿は無かった。赤井さんはふとエントランスの手近な床に触れると目を閉じていた。


「赤井さん何をしているのですか?」


 興味深そうに篠原は赤井さんに尋ねると赤井さんは目を開き篠原に答えた。


「部屋に残っている残留霊力を確認していたのですよ。今見た範囲ではおそらくさっきまであなたたちの友人を含めた四人の人間とあの双子の幽霊が居たみたいですね。今はある程度ここで待っておくことが得策だと思いますよ。」


 赤井さんはそういうと俺たちが座っているソファーとは別の椅子に座りどこか物思いにふけるような表情をしていた。俺はふと赤井さんの表情が気になり声を掛けてみた。


「赤井さん……赤マントはどういう目的でここに来たんですか?もし可能なら話せる範囲でこの洋館に来たんですか?」


 俺の質問に赤井さんは一瞬今までに見せたことのない鋭い目つきをしたけれどもすぐに柔和な笑みに戻ったと思うと、答えた。


「まあいいですよ。私が最初に言ったようにとある人物を探しているのですが、まずその前にとある虐げられ続けた少女と、人を殺せなくなった妖魔についての昔話をしなければならないですね……」


 赤井さんは何処か遠くを見るように話を始めた。



赤井視点


 当時の私は都市伝説に知られる通り、主に小学生を中心に人間を殺して、その霊力を糧にして力を付けていました。そんな生活を続けて数十年たった時でした。私はとある小学校のトイレでいつも通りに中に居た少女に話しかけました。


「お嬢ちゃんは赤色と白色と青色の何色が好きだい?」


 私の存在が認知され始めたここ数年は違い色言う子供もいて、その点は注意しているのと同時にその抵抗を内心楽しんでいたのですが、その少女はすぐに


「赤色……」


 あまりにも早く答えたことに驚愕した私は咄嗟に出てきてその少女に声を掛けてしまいました。


「あなたはなぜすぐに答えるのですか!?それじゃあつまらないでしょう!?」


 私が怒鳴るとその少女はビクッと怯えてしまい、私は内心どうすればいいのかに困ってしまいました。それからその少女をなだめた後に少し話しをしてみることにしました。


「お嬢ちゃんの名前は何ていうのですか?」


 私が問いかけるとその少女は小さな声ではありますが答えてくれました。


「山田沙織……小学六年生……」


「私が何かは分かっていますか?」

 

私はまずそもそもこの少女は私が何者なのか分かっているのかが気になり、自分が何者かを聞いてみることにしました。すると……


「知っているよ。赤マントでしょ?」


 知っていると分かったが、逆に何故すぐに答えたのか逆に分からなくなり確認してみると、


「どうせ生きていてもパパやママも元からいないし、みんなからは嫌がらせされるし……ここに来たのも赤マントの噂を確かめてこいって命令されたからなの……だから赤マントさん私を……」


「お断りします」


 私は自然とその言葉を口に出していました。それを言われた少女はとても驚いていましたけれども、正直言った自分で一番驚いていました。


「とにかく、何かしら自分で動いてみるしかありません。誰か信頼出来る大人に頼ることも間違いではありませんよ」


 私がそういうと少女……沙織はとても驚いた顔をした後にこう続けました。


「でも……いじめは自分で解決するもので、大人の力を借りるのは弱いからだってみんなが……」


「そんなことは自分たちが大人に知られたくないことがあるから言っている詭弁ですよ。大体そうやって嫌がらせしている相手の言っていることを真に受けるのですか?」

 

私の言葉を受けた後、少女はしばらく考え込んだ後に「分かった。がんばてみる」と言って、その日はトイレを後にして行きました。



 それから数週間して沙織はまたトイレに来て、いじめが無くなったと嬉しそうな顔をして言っていました。


 その後も私はほぼ毎日沙織と話をしました。沙織と話を初めてから、なぜか私は今まで人間を殺すことで増やしていた霊力が増えていくのを感じましたがその時は、ただ沙織と話すことがとても新鮮でした。沙織は小学校を卒業してからもちょくちょく私の居るトイレに顔を出してくれました。


 沙織と出会ってから四年経ってある時期から彼女は顔を出さなくなりました。最初こそ私は彼女が飽きてしまったのかとも思いましたが、ある日私は沙織が行方不明になっているという事実を知ってしまいました。


 それから調べ上げてこの異界の存在を知って乗り込んで見たものは……



 生気の無い瞳で血の海沈んでいる沙織の姿でした……



 明らかに死んでいる沙織の傍には血塗られた剣を持った黒い騎士が立っていました。私は怒りに駆られそのままその黒騎士に飛び掛かりましたが、冷静さを欠いた私では妖魔の領域に至ったあの怨霊に逆に死ぬ寸前までの傷も与えられました。後で知りましたが、そいつは一度妖魔を殺したことが有るらしいのですよ。それから傷を癒した私は再びこの異界に向かい、最初に沙織の幽霊を探すことでした。しかし私が出会った時にはすでに原因はわかりませんが怨霊と化していました。

 

それから私はこの異界で、怨霊化した幽霊を元に戻し成仏させる方法を探すことと、黒騎士【デュラハン】をこの手で殺すことが私の目的となりました……



朝斗視点


 俺たちは赤井さんの話を聞いた後、正直複雑な気持ちになった。篠原はふと赤井さんに質問した。


「そういえば赤井さん。怨霊を少なくとも成仏させる方法としてその怨霊の無念を晴らすことだと聞いたのですが、その点はどうなったのですか?」


 篠原の質問に赤井さんは何処か困ったような様子で答えた。


「それが……彼女は私にはそれに関することを言ってくれないのですよ。私としてもそれが分からなければどうにもできませんからね」


 赤井さんはそう何処か自嘲的に答えた。そんな話をしている時にふとエントランスの方から扉が開くような音がした。

              

                                           続く


 どうもドルジです。

 自分で改めて見直してみると全体的に誤字、脱字が多いことに気が付きました。

 今後は気を付けていきたいと思います。

キャラ紹介


名前 山田沙織

性別 女

年齢 享年16歳(高校一年生)

身長 157cm

体重 41kg

髪型 パッツンロング(黒髪)

趣味 お話

所属部活 帰宅部

成績 中の上

特徴

赤マントが知り合った少女。

洋館に囚われ、黒騎士に惨殺された。現在は怨霊かしており、本館一階の厨房の近くの

廊下を徘徊しており、一度高本たちは遭遇している。

生者を狙う特徴として、生前自分をいじめていた人間に似た人間(クラスのまとめ役)や、

自分に楯突いた人間を優先してねらう。

イメージCV 田村ゆかり

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