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赤い髪留め 6

 「竹内さんは私と一緒になると、そう約束したんです。彼も嘘偽りないと言ってくれていました。それなのに、自分で会いにも来ないで、手紙とかお金で済まそうなんて…。そんなの、許せますか?」と顔をくしゃくしゃにして泣きじゃくっていた。

 「竹内さんは、貴方に会いたいと言っていました。でも会うと、自分の決心が揺らぐからと、僕に手紙を託したんです」と高志は彼女をなだめようと必死になった。でも、彼女の気持ちは十分すぎるほど分かるのだ。こんな手紙一つで、相手は納得できるはずないんだ。自分の離婚の経験でもそうだったからだ。

 「とにかく、竹内さんに自分から説明に来るように言ってください。そうじゃなきゃ、私…」

 「山田さん、変な気を起こさないでください。竹内さんには貴方の気持ちをきちんと伝えますから、だから」

 「だから?」

 「あの、竹内さんに会いに来るように説得しますから」

 「分かりました。高橋さん…でしたよね、こんな二人のいざこざに巻き込んで申し訳ございません。あの、これ私の電話番号です」と裕子はペーパーナプキンに携帯の電話番号と名前を記述した。

 「竹内さんに会いに来てと伝えてください。もしも、何か揉めるようだったら、連絡をもらえますか?」と涙を抑えながら、ペーパーナプキンを高志に渡した。

 「分かりました、きちんと伝えます。もし、何か問題があったら、連絡するようにしますから…。ごめんなさい」と高志は何故か謝っていた。

 「何で高橋さんが謝るのですか?」

 「いえ、なんでもないのです。すみません」

 高志は名刺に携帯電話番号を書いて、裕子に渡した。

 「何かあったら、僕に電話ください。何でも聞きますから」と言って、では、今日は失礼します。

 と言って、コーヒーを飲まず、高志は席を立った。


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