『お地蔵様と子供と速記文字と庄屋様』
掲載日:2026/10/08
昔は、医者も薬もない村が多かったので、子供がちょっとした病気にかかって、幼いうちに亡くなってしまうということがよくあったものです。まあ、そのかわり、生まれる子供もたくさんいたわけで、幼い子供を亡くした親たちは、亡くなった子供の後生をお地蔵様にお願いして、そのお地蔵様の周りで、元気に育った子供たちが駆け回るという光景が見られるのでした。
あるとき、子供たちがお地蔵様に縄をつけて引きずり回したり、筆で落書きをするのを見て、たまたま通りかかった庄屋さんがしかりました。何ということをするんだ、ばち当たりめ。
庄屋さんは、その夜、夢枕に立つお地蔵様を見ました。いわく、子供たちがわしを引きずり回してできた軌跡が速記文字であったことに気がつかなかったのか。子供たちがわしに書いていた筆の文字が速記文字であったことに気がつかなかったのか。わしが子供と遊んでいるところをじゃまするでない、と。庄屋さんは恐れ入って、一見子供たちの遊びが乱暴に見えても、止めないことにしました。
教訓:お地蔵様は、後日、行き過ぎた子供を止めてほしくなった出来事があって、少しだけ後悔したという。




