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ゆうしゃ様とまおう様~勇者と魔王の再国譚~「えっ?社畜の俺が魔王の国を復興させる!?無理無理っ!」  作者: 団栗珈琲。
第四章 神と仕事と大災害と

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第17話 神々の思惑

「神もまた騙されたものの一人なのだ」


 神が騙された?

 どういうことだ?


「クロス。主は教会を知っておるか?」


「流石に俺でも知ってるぞ」


 ……まあ、行ったことはないが。

 神とは縁がなかったし、結婚もしてない。


 なんてったって、彼女いない歴=年齢だからね。

 縁がなくてもしょうがないね。


「そうか。じゃあ教会の神への祈りが神に聞こえているのは知っているか?」


「いや、知らない」


「だろうな、なぜか主には神の鬱陶しいオーラが全く見えぬ。大体、どの世界の人間も、大小あれど神のオーラを纏っておるのに」


 え?嘘?


「いや、そんなことはないと思うがな」


 だって、12~1月間で日本神道、仏教、キリスト教と三つの宗教に関わるのだ。


 なんでオーラが出てないの!


 だが、ベーゼルも噓を言う意味などないため、もうわけわかんないよ……。状態におちいる。


 まあ、いいか。どうでも。


「そうか?だが、オーラが出ていないからな……。まあ良い。それでさっきの続きだが……」


「神も騙されたってやつか」


「そうだ。人々の願いは神に伝わる。人々の思いは神に伝わる。人々の悪意は神々は知らない」


 どういうことだ?


 俺がそう思うと、ベーゼルはやれやれと首を振る。

 なんでだよ!


「わからんかぁ……。まあ、端的に言うと、人々の悪意によって神が騙されたのだ」


 なるほど!

 わからん。


「まだわからんかぁ……。そうだな…人々の魔王を滅ぼしたいという願いは神に届き、人々の暴れた魔王に怯える気持ちは神に届き、それが神に伝わり、神は人に恐れをなしている、魔王を、魔王の国を、諸悪の根源を、滅することを決めたのだ」


 やっとわかった。


 いや、小難しい口調で、小難しい説明をされたら、わかるものもわからないんだよ。


 つまりベーゼルが悪い。


 ……違いますか。

 違いますよね、俺の理解力と読解力が足りないだけですよね。


「神々は人のためを思って、サルジニルグに雷を落としたのだ」


「だが、それは違った。もう暴れた魔王は死んでいる。まっとうな政治、まっとうな外交をしていたルナの世代のサルジニルグに雷は落とされた。神々は選択を誤ったのだよ」


「だが、人々には喜ばれ歓喜された。だから神は起こした間違いに気づかない。だが、それを憎む者もいる。そう、まっとうな政治を続けてきたルナとかは特にな」


 ルナは神を今でも憎んでいる。

 なのに、俺の世界は神として崇められている。

 何とも皮肉な話だ。


 神として崇められること、それがルナには苦痛だろう。


 だからだろうか、ルナが神の話をしている時、表情が暗かったのは。

 あれは気のせいではなかったのだ。


 魔王が神を憎んでいる。


 ありがちな構図だな。と失礼にもそう思った。


「ルナも薄々気付いているのだろう。魔王を嫌った国民も、国を壊した神も、暴れた元魔王も、全員悪くないということに」


 暴れた魔王も悪くない?


 何か理由があったのか?


「ああ。あったさ、理由はな。というか、元々ルナたちは魔王なんて呼ばれいなかったんだよ。俗にいう種族は、魔族」


「魔族?魔族ってモンスターのことじゃないのか?」


「ああ。そうだ。それで間違っていない。魔族っていうのはモンスターの総称だ。だから、ルナたちも、モンスターと人々から呼ばれていたようなものだ」


 魔王がモンスター……。

 魔王だと響きがいいのに、モンスターだと何だかな……。


 魔王がヤクザだとすると、モンスターはチンピラみたいな。

 そんな印象を受ける。


 なんか弱そう。

 まあ、弱くないんだけどね。


「それで?」


「ああ。魔族はモンスターだからという理由で迫害されていた。寧ろ、ほかのモンスターと比べて、人型なのにモンスターという理由で迫害され続けてきた。だから、魔族だけの国を創ろうとし、創ったのだ。だが、国として成り立ち、武力もあり、経済にも余裕がある。そんな理想的な国だった」


 大成功じゃん。それ。


「だが、人々はそれを許さなかった。今まで下に見てきた者に負けるなんてこと」


「だから迫害したのか?」


「そうだ。だから、人は魔族を迫害した。各国では、魔王への貿易、外交の中止を呼び掛けた。それにより、すべての国がサルジニルグとの貿易、外交を中止した。それにより、サルジニルグは失業者で溢れかえり、経済不調に陥った」


 最悪の状況じゃん。


 その状況。俺だったら逃げ出しちゃうね。


「だが、そんな状態のサルジニルグを助けてくれる国など存在しなく、サルジニルグは破滅をたどるしか道がなくなったのだ」


「ん?でも破滅してないぞ?」


「ああ。一つの道を除いてな」


「一つ?」


「そう。戦争だ」


 ああ~戦争か。

 だから大暴走したんだな。


 確かに、戦争を起こしてはいけない。なんて教訓が存在するが、戦争をするということはその国にとって、よっぽどの賭けだろう。


 もちろん、正当な理由がない限り、戦争が正当化されることはないだろう。


 だが今回ばかりは、その戦争は正当化されるべきものじゃないだろうか。


 人間の醜い感情によって、迫害されたのなら。

 怒りの矛先が人間に向くのは当たり前だ。


「ところで、話は少し変わるが、お主がパミフクランドの話をしたとき、ルナの顔がおかしかっただろう」


 おかしかった?

 ……。ああ!確かに、ルナが何かを覆ったような笑顔をしていた気もしなくはない。


「あのパミフクランドはサルジニルグから強奪した材料で出来ているんだ」


 ん?どういうこと?


「雷によって焼け野原になったんじゃなかった?」


「そうだ。だが焼け野原とはいっても、鉄骨や窓枠はよっぽど高い温度じゃないと燃えない」


「だからその鉄で作られたのがパミフクランド?」


「そうだ。ルナを監禁している間に、鉄を回収したのだ。強奪に来たうちの何人かは、ルナの手によって殺されたが、被害が数人の上、数十万トンの鉄を回収できたのだ。かなりの大儲けだろう」


 今の話で、パミーフクスへの心象がガクッと下がった。

 そんなことをしていたなんて……(戦慄)。

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