6 選んだ理由
森の中を抜けて、ふたりは歩き続けていた。ボクは前を歩くサーシャの背中をじっと見つめ、思い切って声をかけた。
「ねえ、サーシャ。どうして君は魔法を使えるようになったの?」
サーシャは足を止め、振り返る。小さく息を吐いてから、静かに話し始めた。
「……私ね、生まれたときから、他の人には感じられない何かを感じていたの。それがどんどん強くなって、いつしか魔法として現れるようになった。でも、その力を使うと、みんな私のことを怖がって、『悪魔の子』なんて呼ぶようになったの」
サーシャの赤い瞳が、どこか寂しそうに揺れる。
「でも、森の奥で古い魔道書を見つけたの。その本には『この世界の力は破壊じゃなく、守るためにある』って書いてあって……初めて、自分の力に意味があるって思えた。だから、誰かを守るために魔法を学び始めたの。でも……村を襲った魔物のときは、私の力が暴走してしまった……」
ボクは静かにうなずき、自分の手元の剣に目を落とした。
「ボクはね、前の世界でいじめられて、ずっと弱かった。だから転生してからも、自分が強くなれるなんて思えなかった。でも村が襲われて、両親も村人も守れなくて……自分の無力さを痛感した。だから剣を握ったんだ。今度こそ絶対に、誰かを守れるようになりたいって」
ボクの言葉に、サーシャの表情が少し柔らかくなる。
「……シエルなら、きっと強くなれるよ」
「サーシャの魔法も、絶対誰かを守れる力だよ。ボクは信じてる」
ふたりの間に、静かな絆が生まれる。
やがて、道は次の試練が待つ峠へと差し掛かる。ふたりは足を止めて、目を合わせる。
「……行こう、サーシャ。ボクたちはもう、選んだんだ」
「……うん」
ふたりは覚悟を新たに、険しい峠へと踏み出した。
未来への旅が、確かな決意とともに始まったのだった。
森の中を抜けて、ふたりは歩き続けていた。ボクは前を歩くサーシャの背中をじっと見つめ、思い切って声をかけた。
「ねえ、サーシャ。どうして君は魔法を使えるようになったの?」
サーシャは足を止め、振り返る。小さく息を吐いてから、静かに話し始めた。
「……私ね、生まれたときから、他の人には感じられない何かを感じていたの。それがどんどん強くなって、いつしか魔法として現れるようになった。でも、その力を使うと、みんな私のことを怖がって、『悪魔の子』なんて呼ぶようになったの」
サーシャの赤い瞳が、どこか寂しそうに揺れる。
「でも、森の奥で古い魔道書を見つけたの。その本には『この世界の力は破壊じゃなく、守るためにある』って書いてあって……初めて、自分の力に意味があるって思えた。だから、誰かを守るために魔法を学び始めたの。でも……村を襲った魔物のときは、私の力が暴走してしまった……」
ボクは静かにうなずき、自分の手元の剣に目を落とした。
「ボクはね、前の世界でいじめられて、ずっと弱かった。だから転生してからも、自分が強くなれるなんて思えなかった。でも村が襲われて、両親も村人も守れなくて……自分の無力さを痛感した。だから剣を握ったんだ。今度こそ絶対に、誰かを守れるようになりたいって」
ボクの言葉に、サーシャの表情が少し柔らかくなる。
「……シエルなら、きっと強くなれるよ」
「サーシャの魔法も、絶対誰かを守れる力だよ。ボクは信じてる」
ふたりの間に、静かな絆が生まれる。
やがて、道は次の試練が待つ峠へと差し掛かる。ふたりは足を止めて、目を合わせる。
「……行こう、サーシャ。ボクたちはもう、選んだんだ」
「……うん」
ふたりは覚悟を新たに、険しい峠へと踏み出した。
未来への旅が、確かな決意とともに始まったのだった。