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1-2 生贄たち

「おい、上からどけよ!重たいだろ」


「いや、ルディが僕を引っ張るから!!」


「みっともないから早く起き上がれ2人とも」


彼らは、入ってきて早々大きな声で騒ぎ始める。

なんだこの騒がしい奴らはと思ったが

ふとその中に、記憶を無くす前に見た金髪の女がいることに気がついた。


「あ、あんた…あの時の!!」


俺が指を差すと彼らはこちらを見てピタリと固まった。

そして身を寄せ合いヒソヒソとこちらを怪しみはじめる。


「誰か知り合いなのか?」


「いや、僕は知りませんよ」


「じゃあ誰の知り合いなのよ」


「…あたしだよ」


そういうと金髪の女がこちらに向かって歩いてきた。


「やあ、目が覚めたのか。その様子だと表面上から傷が消えただけだから身体はとてつもなく痛いだろう?」


「え、あ、ああ。あの時は助けてもらったみたいで」


「別に大したことはしてない、クルセイダーとして当然なことをしたまでだ」


光輝く長い金の髪に暗闇でも光りそうな赤い目

俺の世界にいればきっと「痛い」だの「コスプレか?」などといわれるであろうその見た目は

この世界では普通のことで周りを見渡してもエルフの耳を持った女性や獣の耳を持った青年、

夜空を彷彿とさせるような青い髪と星のような金色の目を持った青年しかおらず

俺の普通とは違う見た目に異世界に来てしまったことを実感せざる得なかった


見慣れない人々に呆気に取られていると獣の耳をもつ青年が理解ができないというように

声を上げた。


「ちょ、ちょっと待って…バーバラ、そいつ知り合いなのか?」


バーバラと呼ばれた金髪の女は振り向いて彼を見るとこくりと頷いた


「ああ、カタストロフィーの被害者だよ」


「なるほどな、通りでボロボロなわけだ…あんた災難だったな」


「え…ああ」


彼は同情した目でこちらを見ると座り込んだままだった身体を軽々と起こし

同じく隣に尻餅をついていた青い髪の青年を引っ張り上げた。

近くにいたソフィーは、そんな彼らを見つめ「はぁ…」と息をつくと徐に口を開いた。


「聞き耳たてていたのは後でしっかり話を聞くとして…

紹介するわ、彼は斉藤時也私たちと同じサクリファイスよ。」


獣の耳を持った青年は俺の名前を聞いた途端目を見開いたが、すぐに元に戻りこちらを見た


「えーと、時也っていったか?俺はルドルフだ。まさか輝夜と同じような人間が現れるとはな。」


「かぐや?」


初めて聞く名前を無意識に口に出す

彼はそんな俺を見て少し悩むと”かぐや”という人物について説明してくれた。


「ああ、前までここにいた人間だよ。お前と同じような喋り方をするんだ。」


「今は、いないのか?」


「色々あってな…まあ、そんなことはいい。俺のことはルディって呼んでくれ」


「わ、わかった」


かぐやについての話題を避けるように話題を逸らされた気がしたが、今その人物について聞いたところで俺に理解ができるわけもないと思いこの話は忘れることにする。


「次はあたしね」


今度は金髪の女がベッドから立ち上がると、にこりと微笑みこちらに手を差し出した。


「一度会ったことあるけれど。あたしの名前はバーバラ・フェルミア。愛称はあるが、個人的に好きになれないからバーバラと呼んでくれ」


俺は「わかった、バーバラだな」とその手を握ると彼女は満足げに握り返してきた。

…思っていたよりも強い力で


「いっっつ……」


「すまない、どうも力の加減ができなくて」


「おい、バーバラいい加減力の加減くらいしろよ」


ルドルフは赤くなった俺の手を見て怯えながら彼女に注意する

彼女は申し訳なさそうにして俺の手に口づけすると再度ベッドに腰掛けた。


「は、今なんで!?」


驚きを隠せず真っ赤になった俺の顔

ルドルフは「リンゴみてぇだ」と笑うと「あれは挨拶みたいなもんだよ」といった。


「…そ、そうなのか」


少し納得できない部分もあるが、とりあえず最後の1人の自己紹介も聞こうと青髪の青年に顔を向ける

彼はおどおどしながらこちらを見て深く被っていた帽子を外し胸の前に添える

すると先ほどまでの弱々しい表情が一瞬で引き締まった。


「初めまして、僕はライナー・ステラードです。多分気になっているであろうこの目はとある神様から貰った目なんだ。」


「目をもらう!?」


「そう、星の銀貨という先代から引き継いだ伝説の銀貨を持って人助けをしながら旅をしているんだけど、そこで僕の目を神様と交換したんだ。」


星の銀貨…

確か、昔グリム童話にそんなような話があった気がする


「どうしたの?何か気になることがあった?」


ライナーは不思議そうな顔をして俺を見る。


「ああ、俺の世界で星の銀貨という物語があって…それに似ている話だなと」


俺がそういうと、ライナー以外は顔を見合わせてキョトンとした顔をするが

ライナーだけは少し笑って

「君が知っている星の銀貨の物語であっていると思う」といった。


「え?ライナーがあの物語の子だというのか?…でも主人公は女の子じゃ」


確かに俺の読んだ「星の銀貨」の物語はとても貧しい女の子が自分の持っているものを分け与えながら人々を救い最終的に全てをあげてしまった少女のもとに空から銀貨が降ってくるというストーリーだったと思う。

もしその主人公がライナーだったというのならば…と彼を見ると

彼は少し困ったように笑った。


「うーん、そうだね。少し長くなるけれど説明するね。まず、この町は面白い役割を担っていているんだ…」


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