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そして夜は明ける  作者: 轆轤輪転
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踊場

鏡神(かがみ)くんは、学校行ってないの?見た感じまだ義務教育生のようだけど。」

と、(さだめ)は旧約聖書なるものを読みながらかけてきた。

私はそれをすっかり綺麗になった長旅を共にした羽織に袖を通しながら解く。

「あー・・・、行ってないね。」

生徒というか、(かつ)ては教える側に立っていた身だが学舎というのには一度も脚を踏み入れたことがなかった。

それに、私は今まで山に引き籠りながら()()をしていた訳だから

・・・っね?(笑)

「えぇ、それ大丈夫なの?今後は行く予定はないの?」

窓に隙間を造り、不純物の濾過(ろか)を試みる。

「今後は、どうだろう・・・、近くにあるの?その、学舎っていうの。」

私は二人分のコップに麦茶を注ぐ。

「あるよ。ここからだと、(しゅう)(だい)(ちょう)(ぞく)小学校が一番近いかな。ちなみに私立ね。」

「へぇー。そうなんだー。」

私が皆に知恵を与えていたのも確か私立だった。

そう懐かしみながら定の要望に応え、茶の中に大匙(おおさじ)一杯分の蜂蜜を投入する。

定は旧約聖書なるものに(しおり)を挟む。

「あれっ、興味無さそう?」

「うん。あんまり。」

私は不老不死。今後もきっと何千年、何万年と行き続ける訳だから六年七年の思い出なんてどうせ忘れてしまう。忘れて、悲しみに野垂れるくらいなら最初からそんなの作らない。

それが私の意見ではあるが、普通の人間に言う訳にはいかない。

「そっかぁ、そっかぁ、まぁ、私も小学校は行ってないけどね。」

「あっ、飛び級だけっけ?すごいよね。そんなこと出来るんだぁ。今時。」

定は蜂蜜入りの麦茶を可憐な貴女の様な仕草で啜り飲む。赤くなった頬が甘味な麦茶と長い髪の隙間からハッキリ見える。私は軽く咳払いをする。

「それで、家隣だったよね。何時頃帰る予定?」

「・・・帰ってほしいの?」

「えっ!?いやっ、そんなつもりは滅相も・・・!?」

定はだんごむしを摘まむように笑う。

「ふふっ、いい反応。そうだね、さすがにこれ以上ご厄介になるのもあれだし、今日中には帰るよ。家隣なんて、奇跡だよね。」

ちなみに定はあの一件から三日三晩もの間昏睡状態に陥っていた。

目を覚ましたのは曇天が空を包む午前11時頃。色々事情聴取をしているうちに約6時間にも及ぶ雑談に発展し、

今に至る。

途中見た雲間から火照る光の柱は綺麗で見物だった。

聞き出した情報によると両親は出張中で一週間くらい前から留守にしてるのだとか。

夕刻の象徴させる日差しが私たち二人を照り付ける。

さすがは天才児。今の今まで話が途切れることはなかった。そうしてこの瞬間も話は紡がれていく。

「今思ったけど、その服って結構派手だね。」

「あぁ、まぁ、確かに。ずっと着てたけど生の生地見たの久しぶりだ。」

この羽織は大昔、とある生徒が私に編んで贈ってくれたものだ。

右半分はまるで囚人服のような黒と白の縦縞たてしま模様をしていて

左半分はカラエコンの花が表裏、袖先まで含めて一面に咲き誇っている模様をしている。

「どう?似合う?」

私は椅子から降り、その場で一回転を披露してみた。長髪が旗めく。

「うん。似合うと思う。多分それ、鏡神くんが着るからこそ輝くんだと思うわ。」

「ありがと。でも定って私と顔似てるからさ、定も似合うと思うんだよ。」

これも事情聴取も兼ねて判明したことだ。私と定は瓜二つだった。

血縁上の繋がりがあるのではないか、そう錯覚してしまうくらいに似ている。

「んぬぅ、そうかなぁ・・・?」

「まっ、一遍(いっぺん)着てみなって。」

そう私はたたった今着込んだ羽織を早くも脱着し、定に着せる。

そして定も一回転を披露する。

「どう?」

私と大差ない背丈、膝辺りまである羽織を試着した定は異様な雰囲気を(かも)し出していた。ようするにーー

「おぉ、似合うじゃん。超、似合う。」

私も短髪にすればこんな感じなのだろうか。


既視感が脳裏を(くすぶ)り、セル画の映像フィルムが再生される。

その録画には同じ羽織を着た幼い女の子の姿があった。

(すす)で汚れた敷物の上を羽織を旗めかせながら蝶のように舞っている。

懐かしいな。


恐らく不器用なのだろう定は半ば強引に袖から手を引っこ抜きながらまた一つ話題を変える。お後がよろしいようで。

「・・・っで、学校の話に戻るけど、行っておいた方がいいよ。行ってない人が言うのもあれだけど、少なくとも義務教育は授けておいたほうがいいよ。」

「うん・・・、行けることなら行ってみたいけど・・・。」

蝶番(ちょうつがい)の金切り声と共に喉仏の轟音が耳に厳しく八つ当たる。

不意打ちを食らった私と定は一切の時差なく肩を震わせ、音の出所に身を翻す。

「鏡神!心配ご無用!言わずとも明日から学校に行けるよ!!」

そこには輝華(きか)が入学届けと書かれたプリントを片手で高く掲げ、健気に仁王立ちをしていた。




「・・・っで、私の行く学校名はなに?」

(しゅう)(だい)(ちょう)(ぞく)小学校だ。ここからだと歩いて15分くらいだな。」

夜、定を含む千光姉弟は集結し、私の小学校への入学の件について総じて会議が行われた。

「入学に関するに至った理由だけど、純粋に鏡神が義務教育生なのと、後、引き取り手が我々だから変な目で見られるのは嫌だからだな。」

「あっ、懐のほうは大丈夫だから。」

視野の端から輝全(てるま)の主張を阻害するように輝華が割り込んでくる。

輝全はそんな輝華の頭を鷲掴みにして押し戻し、荒い吐息を吐きながら続ける。

「お前が言うなよまったく、後、鏡神の身元をこっちで確認したけど、どういう訳か目ぼしい情報が一切なかったんだ。」

安堵に胸を撫で下ろす。

「このまま大人になると最終学歴が皆無になっちゃうからその辺も根拠の一つとして決断したんだ。でだ、昼間っから何故輝華のテンションが高いかっていうと・・・。」

私と定は同時に相槌を打つ。それを見た輝華はまたも輝全の発言を阻害して身を乗り出す。

正直、怖い。

「私、一人で入学に手続きできたんだよ!すごくない!?」

輝華の目が下心を露出させて神々しい。

将来、悪人に騙されないか心配だ。

「す、すごいなー!さすがは私のお姉ちゃん!私のために、ありがと!」

一応本心ではある言葉が漏れ出て、自然と表情が嫣然となる。

煌めく眼中にそんな私を視認した輝華はさらに身を乗り出し私を抱き寄せる。

「かわいいっ!大好きっ!最高の弟っ!」

「おい、危ねぇよ!」

「はわわ・・・!」

ーー(しばし)しのどんちゃん騒ぎーー

輝華を逆海老固めでの意気消沈に成功した輝全が定に語りかける。

「それとだ、定。両親が帰ってくるまでここに居な。例の殺人犯に目ぇ付けられてるかもしれない。」

「やはり、そうなりますよね。」

()()()はこうなる運命すら見透かしていたらしい。

輝全に言及され、少し目に光が灯る。

安心感が沸いたのだろうか。

そんな微量の変化に気がついた輝全は軽く微笑み、思い出したかのように表情を歪める。

「あっ・・・、大学・・・、単位いるよな・・・。」

それを聞いた定は眼に宿った光を瞬きで消灯させ、次いで冷や汗を流し始める。

「あっ、大学は普通に行かせてください。本当に。」

「でもなぁ・・・。」

「目を付けられてるなら毎度使っている道を変え、別ルートから登校すればある程度は大丈夫かと。」

「ぬぅ、安心はできないなぁ。」

定が毎日使っている道は毎朝タクシーが大勢止まっているらしいが金銭的に余裕がないし、時間的にヒッチハイクで停まってくれるかも曖昧なため効率が悪いのだとか。

私の目の前で定と輝全は懊悩(おうのう)に苦難する。

そんな中、微睡みの(ふち)から舞い戻った輝華が助け船の舵をきる。

「定の大学って確か、私と同じ方向にあったはずだから途中までは友達と一緒に護衛できるよ。学校同士もそんなに距離が空くわけでもないし。」

「あぁ、あの子か。まぁ、いないよりマシかな。じゃぁ、任せてもいいか?」

「任せんシャイっ!据永(すえなが)陛下、御安心を。(わたくし)(ども)が全力で護衛致します!」

紳士な会釈をお披露目し、安心感を注る。

素晴らしい才能だとつくづく思う。

「ふふっ、頼りにしてますよ。我が忠実なる(しもべ)達よ。」

随分平和な会議の末、定は両親が帰宅するまで今暫く居候(いそうろう)をすることに、そして、私は明日から小学校へ入学に決定した。





夜、私こと据永定は鏡神と共に就寝に就いていた。

中々、寝付けないという私の我儘に応じて、鏡神が御話をしてくれたがそんな子守りの声音もいつの間にか寝息に変わって、静寂の空間に一人取り残されたのだ。本来鏡神はいつもソファーを寝床にしているらしいがさっきのこともあり、今は私と添い寝状態である。

鏡神の顔を至近距離で凝視する。

改めて自分と似ていると実感する。

ドッペルゲンガー説を懸念するも振り払う。

鏡神は私を救ってくれた。覚醒直後、私の問いかけに振りかけた彼の答えはこの生涯、決して忘れることはない。

もう二度と聞くことのできないであろう言葉を彼はくれた。


「君もそうだよ。」


思い出す度に胸の内の溶鉱炉が活性し、その焔の(ふき)(とう)は目尻にまで滝登る。

自我が無意識に脳髄を伝い、両手に命令を下す。鏡神の顔を引き寄せ、私の額と彼の額を接触させる。

胸の内の蕗の薹が大きく揺らめく。

痛覚とも圧迫感とも感じ取れる痛々しい快楽。

幸福の賜物(たまもの)だ。

私は鏡神の五本の指と私の五本の指とを絡め、互いの掌を付け、少し強めに握りしめ、出来損ないである私の精一杯の愛を

小声で伝える。

「ありがとう!」


ーそして夜は明ける。ー



早朝一発目の輝華からの情報は私立のくせに制服の生産は一切ないといった割とどうでもいいものだった。ランドセルは輝全が昨日のうちに用意していたらしく、出発直前に赤いランドセルを差し出してきた。

心なしか、輝全の差し出しかたが宗教団体のそれだった。

それを定は不思議そうな眼で、輝華は解せない眼で、と二人からの多種多様な視線が私とランドセルを貫通する。

「ねぇ、お姉ちゃん。何で鏡神のランドセル赤色にしたの?男の子だよ?」

そんな問いに輝全が少し顔を赤らめ、皆から目を逸らしながら弱々しく告げる。

「いやぁ、赤色ってかっこいいからさ、良いかなぁって。」

「ピュワかっ!!」

輝華は次に私を哀れみの礼の意を込めた表情で口角を上げる。

「あのっ、鏡神、女の子っぽく見えちゃうけど大丈夫?」

元から見てくれが女の様な私は別に何とも思わない。むしろ、今までに見たことも触れたこともない新種の鞄に背を委ねることができて新鮮な気分で気持ちが良い。

「ううん。むしろ嬉しい!ありがとうっ!」

輝全は下手に照れ隠しをしながら胸を張り、仁王像に擬態する。

「だろぅ?///」

「まぁ、いいか。さっ、定ちゃん、先行こうか。」

「はい。」

「おっ、鏡神、私たちも行こうぜ。」

「うん。」





 道中の交差点で輝華と定と別れた私たち一行は雨上がりの湿気ったアスファルトを歩く。

「輝姉ぇもそうだけど輝華姉ぇ、優しいよね。明るいし。昔からあんな感じだったの?」

話す私を見ていた輝全が不意に顔を背け、明後日の憧憬を見つめながら言った。

「いやっ、昔はあんな感じじゃなかった。むしろその逆。」

「へぇ、意外・・・。良い方に成長したね。」

「そうだな。まぁ、あんなことがあればな・・・。」

輝全は目を細める。それに平行して私も眼を細める。

「あんなこと?」

すると輝全は表情に御菓子(おめかし)をして向き直る。

「ここだよ。秀代長続小学校だ。私と輝華の母校でもあるんだ。」

元祖とも本家とも真打ちとも言い難い風貌を纏った大きな学校だった。

広大な砂地は勿論のこと、遊具も数多保有している様だった。

馴染みのある風景の欠片もないこの時代の代わりように呆気にとられていると輝全が私の肩に手を優しく置く。

「じゃっ、私は急ぐから。昔と大差なかったら校長が直々に案内してくれるはずだ。また、後でな。」

輝全はそう告げ、来た道を逆流する(かたち)で行ってしまった。

季節にそぐわない冷やかな北風が身を撫でた。

「あっ・・・、行っちゃった・・・。」

「今の千光輝全さん・・・、(たくま)しく成長を遂げましたね。」

背後からの当然の誉め言葉に全身があからさまに跳躍する。

漫画でしか見ることのできない宝の光景に触れた後ろの人は少し吹き出し、

流れるように咳払いし、毎日のことのように真摯なお辞儀を披露しながら押し出すように挨拶を促す。

「おはようございます。そして、はじめまして。(わたくし)本校の校長、

(つえ)(いえ)(かせ)()(すけ)でございます。以後、お見知りおきを。」

礼儀作法自体は昔となんだ変化のないことに少し安心感が込み上げる。

これが劣化後のものだとは信じたくはない。

「御初にお目にかかります。()()()は千光鏡神と申します。

どうぞ、(よろ)しくお願い致します。」

私も長らくの封印から解かれた会釈を披露し、跪こうとするが()()

では控えておく。

枴廈先生は一瞬、関心の眼差しを向けた後、優性な老人のように温暖な微笑みを投げかける。

「宜しくお願い致します。千光姉妹様の弟君様でございますね。お話は(うかが)っております。さぁ、我が校を案内しましょう。」

外見とは非対称な無駄に華奢(きゃしゃ)な廊下を二人の世間話をしながら進む。

「それにしても驚愕の至りですよ。まさか千光姉妹様に弟君が存在していたなんて。初耳ですよ。」

「お姉ちゃん達を知っているのてすか?」

中央に(そび)え立つ金箔塗りの二宮金次郎像を双手に分裂してかわす。

「えぇ、もちろん。お二人とも校内では人気でしたし、輝全様に関しては教え子です。」

「確かに、お姉ちゃん達顔整ってますものね。それにしても、先生は生徒の呼び名が独特ですけどなにか意図があるのですか?」

彼の黒淵(くろぶち)目がねの輪郭が太陽光を帯びる。

「敬意ですよ。」

私は先端が槍のように尖っている長髪をいじる。

「敬意・・・ですか。」

やがて先生は六年一組と書かれた鉄板の(もと)の部屋の入り口にて足を止め、(すこ)やかな顔で一時の別れを告げる。

「ここですね。君との雑談は実に有意義でした。それでは千光君、またいつか語り合いましょう。授業、頑張って。」

弱々しくあるものの歴戦の人特有のオーラを纏う体躯(たいく)は時間を追って縮んでいった。雛鳥の巣立ちを見守る母の心情に共感の意を見いだしていた最中、外開きの扉が開かれ激痛を与えられる。

ガチャンっ。

「ぁうばぁ!!?」

「あぁあぁあぁ!ごめんなさい!本当にごめんなさい!」

慌ただしく女性教師が私を抱え上げる。もろ全身の左側面に御見舞いを食らった私はしばらくの間、平衡感覚がが狂い、鎮座を余儀なくした。

今日は厄日かもしれない。

「ごめんなさい!!×23」

「あぁ、だっ、大丈夫ですよ。全然、大丈夫ですよ。」

あれから長くも短くもの間、内心もがく続けていたが正直、まだ目が眩む。

いつまでも動かぬ山でいる訳にもいかないため、酷く重く感じる身体を持ち上げのらりくらりと教室への入り口へ向かう。

「ほっ、本当に?本当に大丈夫なの!?」

まだまだ新米なのだろうか。この手の事態には手慣れてないような慌てっぷりだ。

「本当に本当に大丈夫ですよ。さぁ、私を皆に紹介するのでしょ?」

「はっ!?そうだわ!?」

先生は目先の生徒達だけを見ながら駆け足で入っていった。その際、丸太のような太股が私の顔を蹴り飛ばしたがこれに関しては気づいてもらえなかった。

ドジに鈍感。だっ、ダイジョブかなぁ・・・。




 教壇を舞台に展開された自己紹介では脳内の空想にして仮想の生き立ちを語っり、今後の目標を即興で思い巡らせやや早口で駆け喋った。

ものすごく真顔で聞いてる子もいれば、息ピッタリに超神妙な眼差しを向けて聞いてる双子もいれば、終始、(えん)(ぜん)として顔のパーツ(ひと)ピースたりとも微動だにさせず相槌を打ってる子もいた。

きっと出任せだと気づいていたに異論ない。


そうして自己紹介を終えた私は指定席へと向かい、腰を降ろす。

当然のことだが一時間目の授業が始まっても尚、視線の五月雨が止むことなくそれどころか授業後の休憩時間時には一種の嵐となって渦を成していた。

全方位からの指し指と質問の嵐だ。

幼さ故の好奇心なのかその酷似を帯びた各々の質問は止まることを知らなかった。

「どこから来たの?」

「髪長いね女の子?」

「男の子?」

「身長は?」

「体重は?」

「特技は?」

「名前の由来は?」

「いつ生まれ?」

「どこ出身?」

決して不快ではない。憤りも鬱陶しさも欠片もない。ただ、色々な意味で部が悪すぎる。突きつけられた質問の大半が答えることができない。

頭の回転を加速させる。

私が口を開いた瞬間に雑多な質問責めが止まる。

「あー、えっと・・・、まず私は男だよ。えぇと、誕生日は6月1日、名前の由来は・・・、ま、万華鏡由来?かな・・・。で、出身地だけど・・・。」

数ある質問の中でこれが一番皆の反応が激しく揺らいだ。

なんか、申し訳ないな。しかし()かせてもらう。

「忘却の彼方に咲く一輪の()()。」

てへっ、っと舌先を出すとさっきまでの状況と群がる心情が新規一転し、漫才だか落語だかの混合の空間が形成される。

「んだよぉぉ!!(涙目)」

「ぬおおぉ!!府に落ちねぇ!!(像目)」

「てへっ、かわいい!(変態眼)」

今度は十人十色の瞳をした多方面の双眸(そうぼう)から歓声を浴びるのだった。




 不思議と流砂の劣る時間をひた走り()け速くも遅くも六時間目。

今授業では「道徳」。そして、「人間の証とは?」のテーマの下に進行していき、今は四人班一致団結して比肩していた。

「ほら見ろ、俺のこと「手の暖かいことが人間の証。」が一番良いんだって。」

「ありがちじゃんかよ。なんなら俺の「表には絶対に出ない密やかな配慮ができる人こそ人間の証。」の方が正当性高いでしょうよ!」

・・・。双方、随分とお口の回る元気な子達だこと。そう思えばこの子達は確か、自己紹介時、淡々と語る私を煌めく目で見ていたあの双子だ。

数あるボヤ騒ぎの中でも飛躍して騒音を轟かせている班の班長と副班長が私で言葉を武器に半狂乱になっていた。

私は考えを巡らせながら呆然と目先の喜劇を堪能していた。

「カチカチな言葉だなぁ、だから身体の節々がカチカチなんだよぉ!この鉄鉱石小人がよぉ!」

「人の思考と名誉を否定するような奴の思考なんざ郵便受けの底に埋もれた切符以下だわ!っへっ!」

最近の小学生って本当にこんな感じなのかなぁ。皆。だとしたら恐怖でしかない。内心そう重いながら(ひらめ)いた案を用紙に筆を巡らせていると突然、仏の形相をした鬼がこちらを睨み付ける。

筆は走り続ける。

「おうおう、鏡神くんだっけ?お前はどう思うよ?えぇ?」

私は助け船欲しさに隣の席の人に視線を飛ばすがそもそも席自体が伽藍堂。

筆は綴りを終える。

「おいっ、(れん)!俺の文に視線がいってるぞ!やっぱ俺のぉ・・・」

「・・・っ。」

男の子の声が次第に消えていった。もう一人の子も微量に大きい吐息を吐く。

二人の目線は私のたったの一行の文に集中していた。


「この世にある数多の存在を全て尊いものと言え、扱えること。」


束の間の停止空間が形成付けされる。先生も身を少し(かが)めて関心するなか、一人の男の子が不気味に表情を笑みへと歪ませる。

「ほほぉ、(おら)ぁお前ぇが気に入ったぜ。」

「へぇ?」

男の子は身をのりだし私の肩を強く鷲掴みし大きく揺らす。

力加減が下手なのだろうか。痛いし酔うよ。吐いちゃうよ。

「放課後俺らと遊ぼうぜ!あいつ今いねぇからよぉ、練だけじゃ暇なんだよぉ!頼むよぉ!」

脳に過度な負荷がかかるなか、一日のスケジュールを企てる。

門限はない。最低六時半には帰ってこれればいいだろう。

「わ"がっ"だ。わ"がっ"だがら"や"っ"、や"べでぇ"・・・」

「おぉしゃ、おぉしゃ、お前ぇには銀をいちもんめく、れてやろう。」

そう言って私の髪を雑に荒らす。

そうして、再び名も知らない兄弟の喜劇を御目にかけるのだった。




 黄昏(たそがれ)(どき)の兆しを差し迫らせる空色を盗んだコンクリートロードを()の双子の兄貴分に右手を強引に取っ手に引きずられながら私は二人と会話の歩調を合わせていた。

「痛っ、痛っ、あっ、そう言えばさ、君たちの名前をまだ聞いていなかったけどなんて名前?っ痛っ。」

いい加減、力加減を覚えてくれと遠回しな悲痛な叫びを嘆いてみる。

実際、肉離れしそうなくらいの痛さでさっきから涙が止まらない。

そんな私の半泣きの泣きっ面を半笑いな悪魔と慈悲と謝罪を募らせた仏像面の弥勒菩薩(みろくぼさつ)(如)が交互に答える。

「我が名は○ルフォン○・○ルロ○・○ェルナン○・ホ○・フ○ン・ピ○・デ・○ルボー○・イ・○ウストリ○=エ○テだ。○ルフォンソ○・○ルロ○・○ェルナン○・ホ○・フ○ン・ピ○・デ・○ルボー○・イ・○ウストリ○=エ○テと呼んでくれ。」

「なっ、なんて?」

「こいつのこういうの無視してていいから。こいつは(おり)()。俺の兄貴。俺は(れん)(ちまた)では俺達は(さく)()兄弟として親しまれてるんだ。まっ、こんな大馬鹿な(やから)だが、よろしくなっ。」

作理織成のセリフごと作理練が全て一切の詰まりなく補足までつけて説明してくれた。その目は完全に疲れきっていた。

弟も楽ではないのだね。

肉のほとんどない甲を引っ張られ続け、とある(ところ)に到着した。

文豪気取りで一文に一筆射るなら「時空の隠れ家」だろうか。

廃墟に連れてこられた。

もう長年使われていなさそうな、家屋全体の塗装が剥がれ棘棘(おどろおどろ)しい色彩が露になっていて、窓、窓ガラスどころか開閉部位が全滅という実に見た目と雰囲気の悪い巨躯(きょく)恐気(きょうき)に脚が一歩、拒絶をしめす。正直な身体の反応に精神も感化され始める。

怖い。これっ、絶対入っちゃいけないやつだ。

私の腰がひけてることに気がついた織成が失笑する。

「ンん笑止。これくらいで腰を抜かすたぁお前ぇ、男気がなっちゃいねぇなぁ。」

そう、私の背中を野蛮な力で2、3度叩き、さらに私の頭部全域を鷲掴みにする。痛いの一言だ。

「ほれぇ、いくぜ!大丈夫だ坊や、俺らいつもここで遊んでるからぁ。」

次に私の首を小学生にしては図太い腕で首枷(くびさせ)を設置する。

窒息しそうの一言だ。

そんな心の声が吐露してしまったのか素っ頓狂な声が火を吹く。

「ぁうげぇ!!」

血の巡りを意図的に塞き止めれ全身に軽い痙攣(けいれん)を勃発させている私を甲高い声をあげて大きく笑いながら織成は、お先真っ暗な暗闇の虚しい世界へと誘う。

その後ろで突っ込む気力も無理矢理ひっぺがす体力の一切残っていなようなすごく(うつろ)な表情を表面上に、盛大な期待を籠めた眼差しを覗かせた練の存在を死角から感じ取った。私がこの兄弟の身の毛の弥立つ程の異常な生命反応と共に感じ取った気持ちはこれを期に蛇に睨まれた蛙の気持ちを完全に理解する程のものだった。




 人も温度も音も光すら失われたお化け屋敷さながらなこの建物には生物という生物も存在せず、塵が積もった山ばかりが全方位に蔓延っているだけだった。拘束を解かれた私は何比喩表現が通用しないこの恐怖に完全に固まってしまっていた。それに加え壁に書かれていた悲痛な呪怨にさらに脊髄が凍てつく。


「奴を奴の産みの親をも呪う」


ひきかえ、作理兄弟はテンションを一歩たりとも下げず、軍隊気取りに足並みを揃えて暗闇へと行進して行く。

「おぉういっ、鏡神!船長の命令は絶対だ。遅れをとるな!」

静寂な空間に突然響いた巨漢な怒号に(あお)られ、私も小刻みに足を動かし前進する。

言葉は発しない。今発したらきっと出てくるのは号哭(ごうこく)だとほぼ確実視してるからだ。

少し先で作理が止まり、織成が目から残光を発して振り向く。

「よし、鏡神、練、総員後退!俺が死神だ!」

早口言葉が木霊する。

翻訳ができなかった私はしばらくその場で練が逆方向へ走り出したのと、織成が逆数を数えだしたことによりこれは鬼ごっこの類いだと確信し、瞬時にルールを理解し、私も同様に走り出す。



 練の背中を追っていると二階にたどり着いた。今はというと遮蔽物に身を案じ、沸き上がった息を整えている。

息をたてるにしてもかなり大きな音が出てしまう故、息を殺して深呼吸をする。しかし、屈み込んでから随分経ったが一向に追跡に上がってこない。

万が一の保険として、練と私は伝わる程度にデタラメな手話で会話しようと契りを交わした。

早速、その性能を試す。

「←←↓↓○?」

(織成、来ないけど大丈夫?)

「↓↓○・・・っハァ・・・」

(問題ないよ・・・はぁ・・・)

「?」

(?)

練は頭上の記憶を見上げながら深く(いや)なため息を吐く。

なにやらよからぬことが今から始まるらしい。

好奇心と同時に次の勧誘は絶対断ろという気持ちが常々膨らんで行く矢先、

デモンストレーションの席が()られる。

「RH.」

(静かに。)

伊吹の音を沈黙させた錬の体内探知機が反応する。仁王に立つ掌に無言の緊張を強いられた私も同じく息を沈黙させる。

そして、静寂の空間に微量に聞こえる数ある音の中から一つ、不可解な音を聞き入る。

人間の寝息に似たそれは一階、死神の居る館を根源に聞こえてくるようだった。

「・・・?」

「・・・シャイニングスター・・・。」

隙間風より小さい声で錬はそう呟いた。そして、階段の物影からそれは現れた。

きゅるきゅるきゅる

ふしゅうぅぅぅぅぅ

ういぃぃぃぃぃぃん


小で華奢な金切り声を奏でながら現れたそれは手で簡単には叩き落とせる程に小さく、そして厳つい装甲と土に蠢く蚯蚓(みみず)すら逃さず視野に捕らえる鷹の目の様な動きをした機関銃が風を切っていた。

物陰から初めて見る今日日の世の技術力を前に私は完全に肝を()かれた。


 あの馬鹿兄貴めが。

内心に秘めた呆気が一気に喉元にまで突っかかるが物理的に飲み込む。

初心者にいきなり鬼の手を差し伸べるとかホントどうかしてる。

 説明しよう、あれは「シャイニングスター」。簡単に言うと単なる魔改造を施されたラジコンのヘリコだ。そして、難しく言うと、

スゥゥー

俺は糧を深呼吸し、巡る血潮を倍増させる。

 これは我が兄弟が父、作理・D・ が製作し、俺と馬鹿兄の誕生日に当てたものだ。あれはその試作品。俺のは一号機。

魔改造と言ったが、ガチで再現が難しい程に魔改造されている。小柄な体躯自体はそこらで売ってる量産型と大差皆無だが、中だ。

鉄分増し増しの(こい)が昇る。

外見より構造じゃけぇ!!

これはただたんに貧弱なメインローター回してのろまな動きをしてる下級(あれら)とは雲泥の差がある。

 機体後部から突き出すスチームパンクよろしく部品の一つの鉄パイプは大気中から酸素を取り入れるための管である。

この管から啜り取られた酸素、元言い、大気は中にある大気濾過機で原子よりも大きい不純物をここで濾過し、健全な()()に戻し、圧縮機に晒し、圧縮し、機体の各箇所、それぞれ、艦首、艦尾、右舷、左舷に取り付けられた噴射口から放出され高い機動力を実現できるという仕組みとなっている。

そして艦首に設置されている機関銃はもちろん鉛弾は発射不可能だ。発射可能な弾の種類はベアリング研磨0.2gBB弾に限るが、攻撃力と利便性はお手の物。そんな高性能な機関銃(笑)の標準を成すのは量子型(冷却型)赤外線センサーのMCT型を採用している。感知した視野や温度の情報は全て操り主のコントローラーの液晶画面に表示されるようになっている中々なもの。

 赤裸々に「シャイニングスター」の解説に熱を込めすぎて現実の周りが見えなくなっていた。

俺としたことが、屈辱の極みだ。咳ばらいをし、現実に舞い戻る。瞼を開けてまず最初に映った光景は

「シャイニングスター」を前に完全に意気消沈した鏡神の姿だった。

今どきの子供は一目見ればただのラジコンだと認識すれば大概胸を撫でおろすのにこいつのこの動揺っぷりは過度が過ぎる。

こいつ、もしかしてこの手のものは初めてか?田舎者?

「s↓s↓、××。」

(落ち着け、害はない。)

「あるけど。」そう暗示した暗号が運動神経伝ったが冷静に思考回路に引き戻す。

俺の暗号を解読した鏡神が幽霊にでも遭遇したかのような間抜けな表情で応答する。

しかし、不思議と間抜けと思わないのは何故だ。

「手~手、 手~手?」

(ほ、本当に?)

「Gp。(苦笑)」

(拳に誓って本当だ。(苦笑))

本心が露見してしまったが問題ないだろう。静寂しじまいに会話しているとしばらく静止していた

「シャイニングスター」が一瞬、摩擦を殺しながら軌道を捻じ曲げる。

「ヒッ!?」

「!?」

馬鹿兄の狡猾な戦略の一つ、題して「フューリー効果」。

補足込みで説明すると、一瞬だけ超スピードを出し、隠れてる奴を見つけたと錯覚を与えさせボロを出させるという至って単純な戦法。しかし、初見殺しには相応しいのなんの。それに、全く慣れない。

馬鹿兄がこの鬼ごっこを決行する日程が盛大にまばらだからだ。現に俺もまだ慣れてない。

初見殺しを搔い潜り、往生際の悪いこの継続戦法すら克服したやつは少なくとも俺は一人しか知らない。

それを踏まえて考えても観るとも鏡神は意外と猛者候補に入るかもしれないな。成長すれば。

さっきの初見殺しで多くの同士を失ってきた。それぐらい精神に多大な圧力をかけるのだ。それに、鏡神は動じなかった。驚きはしたらしいが体は微動だにしていなかった。

多分、今頃馬鹿兄は関心に意地を張っていることだろう。

自然と表情が緩む。それをみた鏡神は不思議なおもむきをしながら俺に手招きをして作戦会議を促す。


「へぇ、少しはやるな。」

俺は関心に意地を張る。正直、驚愕と無念とそしてはらわたが煮えくり返る以上の苛立ちがあった。俺は器が小さい。言われすぎて屁も出ない。鏡神の強い精神力には一本取られたが所詮この程度痛くも痒くもない。窮地にはまだ程遠い、問題ない。

俺はコントローラーの液晶画面を睨み、顔を顰める。そして、価値のない天性の才能をふるう。


「・・・っんっ。」

シャイニングスターと呼ばれる小型機はあの後、またも静止していた。そして寝起きの子供のように嫌々のろのろ動き出し巡回を開始した。位置関係的に私たちは完全に不利だ。すこし右に進めれば拉げて朽ち果てた本棚のある三階に通じる階段があるがシャイニングスターとの進行方向が完璧にかぶっている。

案の定シャイニングスターは一方通行の活路へ向かって警戒の動きを見せている。未来への動きの軌道が確実視された。

私は練に暗号を促す。

「≡g≡g。」

(今、行こう。)

私の観た軌跡はこう。階段に誰もいないことを確認した後、次に来るのは今私たちが隠れている妙に使い込まれた形跡の濃いここの遮蔽物だろう。言わずもながら私たち二人は移動しなければならない。その時の道のりはというと、まず裏を()く。そしてその次に中央を通る。匍匐前進(ほふくぜんしん)での移動とシャイニングスターの今の速度を目安に計算すると丁度私たちが部屋の都合よく物が退かされて道が開けている亀裂部位に到着したとき、シャイニングスターは私たちの隠れ家を少し過ぎた頃合いだろうか。

正しい選択なんて砂漠で自分のお溢れを探し出す程に困難なもの。でも善は急げ。動かなくてはやられる。

とは言ってもこの部屋の土地勘なんて全く無い私が先頭を行くなんてことはしない。先陣を伐るのはあくまで練。

征夷大将軍のあの大きな背中が投影される。すごく懐かしい。

私達は蛞蝓(なめくじ)さながら地べたを這いつくばる。途中、目先零距離に距離感覚の死んでいる

「G」が横切り雄叫びを張り上げそうになるという身の毛も弥立つアクシデントに見舞われたものの無事切れ目にたどり着く。

私は期待と強い祈りを胸に来た道を振り返る。シャイニングスターは私たちの秘密基地周辺を念入りに機関銃を右往左往させながらそして呼吸音のような音を奏でながら静止していた。それを見た私は軽く拳を握り、練は瞬時に顔色と指使いが焦燥色に染まる。

爪に反射した夕日が残光を残す程雑行な暗号を解読した私は半ば屈み腰になり急ぎ最奥へ向かう。私の指先が影に埋もれる頃、シャイニングスターはけたたましく上機酔いした蒸気を各箇所から噴出させながら練の隠れている亀裂部位へと赤い布を見た牛のように猪突猛進を炸裂させていた。

そして、練の無防備の背中に急速旋回で尻の側面に羽を掠り付けつつ回り込み、本来ならば頭から垂直落下する体勢のまま、艦首から出る高出力の大気で重力に抗いながらBB弾の一斉放火の限りを尽くした。

練を仕留めるまでに10秒も掛からなかった。

あまりにも質の出来の良い遠隔操作に私は影のなかで息を殺しながら恐怖した。

やはり人間の進化は止まってない。

練の悔しさを滲ませた雄叫びを張り上げる。

「だぁぁ畜生ッ!またここでかよっ!鏡神、すまない後は頼んだ!」


 我が弟が瞬間にどこかへ消えた鏡神を探すように一回転しながら口をあんぐりと開けていた。

悔やみと屈辱を叫んでるのだろうか。何にせよ滑稽に他ならない。問題は鏡神だ。大量の大気を圧縮するため全電力を供給してたおかげで砲身すら微動だにできなかったが視野の中には写っていた。勿論、消える瞬間も。本当に一瞬だった。強く地面を蹴ったことはかなりのブレがあるが確認することができる。しかし、その瞬間の後にはもうその姿はなかった。

まるで(れい)の様に、どこかに瞬間移動するように、毛筋一本たりとも残すことなく、消えた。

俺は両手で頬を叩き、現実に引き戻す。

冷静に考えろ。この世は科学でどうにでもなる。そんな世界だ。

細胞の塊である有機物が目で追えないほど速く爆散することも消えることもあり得ない話じゃないか。公式を当てはめて後は経験で簡単に答えに導ける科学を信教してきたこの俺がなんなんだ。いったいどうしたという?日科学的なこの光景に名一杯めり込んで、一体どうしたという?

軽く首をふり階段からの足音を片耳に液晶画面を再び見る。そして、口角を上げる。

「まだまだこんなものぉ!」


 練がぶつくさ胴間声を唸りながら暗い階段の影に消えて行く。ゲーム開始早々に頼もしい味方を()って行かれ、単独行動を強いられた私は懊悩と嗚呼を旋律する。近頃の人間達が運動や狩猟を忌避するようになった背景を垣間見た気がする。

まだ、(わら)を着物として使用していた頃、まだ水平線見据えればどこもかしこも狩猟の大喝采で大盛り上がりだった頃、私には二つ名が命名されていた。

「確か・・・。」

天性の才能だか、培ってきた機能が成熟しただけの副産物だか、よくわからない滞在の才能を奮う。頭が冴え、自然と口角が上がる。


 「狡猾の雨ノ鳥」











表の規模が大きくなると、当然のことながら

裏の暗躍の音沙汰も増す。


どうも、最近天下の宝物庫からアイデアを引っ張り出すことを覚えつつある有機物の轆轤輪転です。

戦闘描写の執筆って難しいですね。時間がかかりました。

また逢う日まで。


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