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魔王の冒険者登録

そしてかれこれ数時間歩いた後、魔王は大陸に辿り着いた。

「よし!先ずは人里目指すか!」

魔王は現在人間が支配する大陸の第一歩を踏み出した。


ーーーと本来あるべきだろう。

しかし魔王様はちょっとズルがお好きなのだ!

「必殺、霊魂交換!」

するとあっと言う間にあら不思議!

魔王様、彼の勇者が最初に修行した始まりの土地に降臨しちゃいました!

そしてその後を次ぐ様に何と!

魔王様、古龍を召喚!

村が荒れる!阿鼻叫喚の地獄絵図です!

しかし魔王様、それを無視!

褒め称えたくなる程の見事なガン無視でございます!

「ん~、やっぱ今日は絶好の戦争日和だな!でもこんなにも天気がいいんだから昼寝も悪くないな!うし、古龍!いっちょ空高くから大陸の反対側までひとっ飛び頼む!」

古龍は無言の了承をし、静かに飛び立つ。

そして、地上からは認識出来ない程の高度に達するとそのまま空と雲の上を滑るように移動していく。


その間、魔王は古龍の鱗上に寝そべりながらこの古龍との出会いを回想していた。


それは三百年前のある日。

魔王は思ってしまった。

「暇だな~。」と。

そして魔王は自軍の参謀に体を向くと、「シュムト君!君に俺の暇潰しの案を考えて貰いたい!」

シュムトは溜息をつきながらこう答えてしまった。

「魔王らしい事でもすればいいんじゃないですか?侵略とか古代兵器復活とか。」

「侵略は面倒臭くなるから却下!でも古代兵器!採用!よし、果ての火山に眠る古龍。。。ゲリラ?ゴリラ?を使役しに行こう!」

「古龍ガルラです陛下。」

「という訳で出発進行ー!」

という流れで古龍使役に向かった魔王一行であった。


数分後、魔王は一人で古龍と相対していた。

各地に配置してある魂の依り代の中で目的地に一番近い身体に霊魂を移し、そこから移動すれば何処でも直ぐである。


そこから始まったのは一方的な蹂躙劇だった。

勿論、古龍が魔王の兵達を破壊、という構図である。

しかし魔王がこんな事で諦める訳が無い。

魔王の本領、それは霊魂を破壊されない限り動き続ける人形の物量戦である。

数の暴力という物は恐ろしい。

戦況は最初古龍が圧倒的に有利だった。

しかし無限のゾンビ兵のような物が延々と押し寄せてくるのである。

流石にさしもの古龍もこれを永遠に相手が出来る訳はない。

そして、数日に及ぶ魔王兵達と古龍の戦闘は長き戦いの果てに魔王に制された。

そして霊魂を従属させ、今の主従関係に至る。

そしてその後魔王はというと、

「こんな龍使い道無いんだよなー。よし!取り敢えずこの洞窟で眠っていてくれ!」と言い残し、魔王城へと帰っていったのである。

その件の洞窟が偶々始まりの地、勇者の伝説が幕を開けた土地の地下に存在したのだ。


回想終了。

何とも類い稀なる出会いだった。

それが今やこんな立派な親愛関係に発展するなんて、生物の共存というのはなんと素晴らしいのだろう!

下で龍がゴゴゴッと震えている気がしないでもないが気の所為だろう!


と、気が付いたらもう既に大陸の反対側の山脈の中に着陸していた。

「ありがとな古龍!帰っていいぞ!」

と魔王陛下の帰宅許可が出ると共に古龍ガルラは空高く飛び上がり山の向こうへと消えていった。

「さて、どうしようか。一応近くに小さい街もあった筈だし、取り敢えずそこ向かうとするか!」


そして若干三時間程かけて移動した先には目的地とは違う大都市が建っていた。

「???」

困惑する魔王様。

何がなんだか分からない。

数年前まではここに資源も少ないかなり小さめの街が存在した筈なのに何か凄い防壁のある巨大都市になっていた。

取り敢えず困った時は人に聞こう!

「すいませーん、ここは辺境の街ルトランですか~?」

「ええ~昔はそう呼ばれていましたが今の名前は最果ての都市ルトランですね。」

「あ、そうですか~、ありがとうございます。」

成る程。転生していた間に大分発展したようだ。

取り敢えず手続きを済ませて街に入るとそこには誰でも一目で分かるようなギルドがあった。大街道の奥に。

なんか剣と盾が看板になってる。

昔のこの街の冒険者ギルドは廃屋と見間違う小さなボロ屋だったのに。。。ホロリ。

そして感慨に浸かっているといつの間にかギルドに到着していた。

「すみませーん冒険者登録しに来たんですけどー」

するとそこには、やはりというか、チンピラ達が集っていた。

相手にするのは面倒臭い。

という訳で、無視!

受け付けの所へ行くとご丁寧にギルドの規則等を説明してくれようとした。

丁重にお断りする。

ギルドの受け付けのオッサンの説明なんぞ聞きたくない!

それに昔暇潰しに冒険した事があるから大体のルールはもう知っているのだ!

自分の基本情報(年齢、性別、等々)を全て偽装した上で登録。


するとまぁ案の定、周りの冒険者達に囲まれた。

「おいぃ、あんちゃんどこ行く気だい?」


面倒なのに絡まれてしまった。



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