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火の魔術師ヒートと。④【挿絵】

 たどり着いた森の奥、そこに鎮座する木の魔物『害粒樹(がいりゅうき)』。チカが害粒樹と戦うにはレベル不足だった。優位に立てない属性の相手と対等に戦うには推奨レベルの倍は必要とする。だから仲間を、自分とは違う力の者を必要とする世界なのだ。


「よし、後はまかせろ。」

 ヒートは前衛に立つ。植物の攻撃は地の属性のチカには通りやすい。今のレベルでは一発当たれば致命傷だろう。しかしヒートの火の属性は基本植物系を滅する。今のヒートならば前衛で全ての攻撃を受けても全く問題は無いだろう。

 しかしこの害粒樹の攻撃は広範囲に及ぶ物もある。胞子、蒸気、葉や蔦など…。後衛のチカに気を取られながらの戦い……。


(チカにはずっと身を守らせて危なくなったらポーション使えば安全だ。後はオレが炎で連続して攻撃、……炎3発当てれば倒せるか?)


 ヒートは頭の中で戦いのプランを練る。チカを後ろで身を守らせてのヒート一人での短時間勝負。脳筋な作戦だが弱い仲間が居る時に格下相手と戦うのには最も有効な戦法だ。

「チカ、おめーは危なっかしいからな。」

 ヒートは懐から回復薬のポーションを出しそれをチカに手渡す。

「体力減ったらこれ使え!」

「うん。」

「あ……!」

 ヒートは懐からポーションを渡すが気づく。ポーションを2個しか持ってなかったのだ。ここの敵なら回復無しで行けると言う慢心と、準備不足。


(まずいな、……まあ大丈夫だろ。戦いが終わったら残った一本でチカの帰り用の体力回復すれば。)


「よし! 戦い方だが、チカはずっと離れた所で身を守ってろ。攻撃はオレが全部やっから

……、」

 チカの方に目をやる。何とチカはそのポーションに手を付けていた。

「って、おい! ま、まだポーションは……!」

 ヒートは止める。

「何? ボスと戦うの初めてだから体力全回復しとこうかと……。」

 何とチカはポーションを使ってしまっていた。

「マジかー。もうポーションあと1本なのに……。」

 ヒートは頭を掻き毟る。そして当然ながら麻痺消し、眠り覚まし等、状態異常回復薬も持っていなかった。植物系と戦うには必須のアイテム、それを持っていない。あるのはチカがここに来る途中に拾った毒消し1つのみ。


 ヒートだけなら問題はないだろう。しかし今はレベル5のチカがいる。今のヒートはチカ等どうでも良かった。しかしパーティを組んでる間は仲間が倒れるとペナルティが付く。


「仕方ねぇ。ともかくチカは自分の身を守る事だけを考えろ! いいな!」

「う、うん。」

「いくぞ!」

 二人は害粒樹に立ち向かう!


挿絵(By みてみん)


 害粒樹が現れた! ヒートの先制攻撃の炎の魔法が走る! 植物系の動きは基本鈍重だ。加えてヒートのレベル18の火の属性。どう考えても負けるはずの無い戦い。

 害粒樹にヒートの炎の攻撃魔法が直撃! よろめく害粒樹。


「すごい、いけそう!」

「余裕だっての!」


 立て続けに炎を見舞うため、呪文の詠唱に入るヒートに対し害粒樹は体勢を立て直す。伊達にボスではない。広範囲の胞子攻撃だ! 舞う毒素にチカがやられる。


「か、身体が……。」

「耐えろ、チカ!」

「む、無理……。」


 チカは麻痺する。チカは状態異常への耐性を持つステータスグラスを装備してはいる。が、眠り、混乱、盲目等の精神や視覚に直結する部分の耐性しか持ち合わせていなかった。それに加え戦士特有の特殊耐性の低さ。状態異常が高確率で決まる。


「チッ! これだから…。」


 だがヒートにはそれは効かない。害粒樹とのレベルが違いすぎるのだ。所詮序盤のボス。高いのは体力だけ。それに加えヒートの火属性は植物による攻撃からは強靭な耐性を持つ。

 ヒートの炎の魔法の二発目が、害粒樹に命中。崩れる害粒樹。敵わないと悟ったのか、害粒樹はターゲットをヒートからチカに変更する。ツタが麻痺中のチカに襲いかかる! 


「させねぇ!」

 ヒートはチカをかばう! チカが落ちてしまってはこのクエストのクリアにはならないからだ。

「あ、ありがと……。」

「クソ!食らっちまった!」

「え?」

「……毒だよ。全く、食らう時は食らうな!」

「大丈夫?」

「なに、平気だ。それより自分の身を守ってろ! お前が沈んだらここまで来た意味がねぇからな!」

 害粒樹の枝が踊り、葉から毒の蒸気攻撃が舞う! 辺り一帯に毒が広がった。

「クソ! もう一発ってとこなのに!」

「うう……。」

 チカも毒に倒れた。

「役に立たねぇな! ほら、この盾貸してやっから。ずっと身を守って後はまかせろ!」

 麻痺と毒で崩れるチカにヒートは言う。ヒートは自分の盾『メイジシールド』をチカに手渡した。

「う、うん……。」

 チカは攻撃より防御を選び、こんぼうを外しメイジシールドを装備した。

「そだ、これ……、ヒートに……。」

 チカはふらつきながらもヒートに毒消しを使う。

「バカ! オメー、オレに使ってどうすんだよ!」

「だ、だってヒートが一番戦ってるし、が、頑張って……。」

「……おう!」


 害粒樹のツタの波状攻撃! それを物ともしないヒートとメイジシールドで何とか防ぐチカ。麻痺は幾分軽くはなっている。毒から開放されたヒートの炎の魔法が走る! それが害粒樹に当たる! 黒くなり倒れる害粒樹。


「行けチカ! お前のクエストだ!」


 ヒートが叫ぶ!


「おおーーッ!!!!」

 チカは盾を外しこんぼうに持ち替えた。倒れた害粒樹に向け全力で走る!

「てえええい!!!」

 チカの渾身の一撃が害粒樹の人面の幹に当たる! 炎で黒くなった害粒樹は仰け反り「ドスン!」と重い地響きを立て倒れた。チカは害粒樹を倒した!


 チカはレベルが5から6に上がった。


 戦いは終わった。ヒートは最後のポーションを使いチカの体力を回復させると毒が響かぬよう背負って森の出口へ歩き出した。

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