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異界門  作者: タロー
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序章2



大扉が完全に閉まると、光が遮られた真っ暗闇の空間に支配された。


しかし、直ぐに地面に発光しながら青白く点滅している円陣を見付ける。



迷いも不安も消え、惹かれるようにそこへ辿り着いた。


一瞬の浮遊感のあと、気が付けば目映いばかりに青く、厳かな雰囲気を放つ間へと場面が切り替わっていた。


その空間の先には、私よりも先に先客がいた。





レンガ調の規則正しく並び整えられた四方が壁に囲まれた30m程の青一色の空間。


そして先客と対面する。


それは部屋一杯の骨の山のようであり、底が見えない程埋め尽くされていた。




中央付近には頭骨、肋骨、指先、手足など数えるのも馬鹿らしい程の更に盛り上がったおびただしい骨山。

少なく見積もっても何百人分……いやもしかしたら千人分くらいはあるのだろうか。


骨による瓦礫の山と呼ぶにふさわしい光景だ。


骨の他にも、複数の錆び付いた剣に穂先がない折れた槍。

欠けて破損している丸盾。

恐らく風化して散らばっているレザーアーマーを見れば、ここはどれだけの永い時が経過しているのだろうと思わせる。



頭骨を確認して見れば、恐らく人種に間違いない。

しかしこれ程の死者が出ているこの空間。


一体、何があったのだろう?


おびただしい骨の山から生理的な嫌悪感は不思議と抱かなかった……誰かは解らないが構わない。


手を胸に当て、冥福を祈る。


ガチャン、ガチャン、ポギャっと骨の上を歩く。

骨瓦礫の下から突き出ている鞘を発見した。

風化している武器等からすれば、比較的マシな状態のようだ。

赤茶の錆びた剣と帯を見つけて、ベルトとして腰にくくりつけた。


最低限の武器は調達出来た。


中央まで歩いていくと、骨の山からカランカランと、何か落ちてきた。


それは、左眼から大きな亀裂が入った頭骨だった。



それに触れると、頭骨から白色の炎が吹き出でて、魔法のように骨瓦礫全体が空中へと舞い上がり……竜巻となって一瞬で散り失せた。


非現実的でどこか神秘的な展開にモノも言えないでいた。

ふと視線を下へと下げると骨がなくなった事で床が見えるようになり、下へと続く階段が見える。


好奇心のまま階段を降りると、其処には厳かな祭壇の上に捧げられた部屋と同じ色の真っ青な宝箱が鎮座していた。







その宝箱を触ると、グニャリと視界が歪んだ。

気持ち悪い何かを身体に……いえ、魂に染み込んだ感覚が起こり、余りの気持ち悪さに胃液を吐き出した。


嘔吐を繰り返して体調を整えるまで暫くこの場で休んだ。

様子を確かめてみるも、これ以上何かの異変は起こらなかった。




宝箱を目の前にして、少し躊躇いながらも開く。

そこには黒曜石のように黒く輝き、不思議なチカラを感じる球があった。


宝箱は黒い球を取り出すとフッ……と消えてしまった。


私は神秘の扉が開く音がした。








あれから私はまた記憶がない。


何とか外へと出たのは覚えていたが、そこから先の記憶は殆ど覚えていない。


気付けば馬車の中で揺られていた。


この馬車の主人に行き倒れている所を発見されて、乗せてくれたらしい。


無事近隣の町へとたどり着き、この主人に十分にお礼を伝えた。


宿に泊まるお金もない。


そのため、町に小さな神殿を見つけて保護を求めた。


対価として黒く輝くオーブを差し出したが、これを見た小さな神殿の神官の偉い人は驚き、説明を求められた。


自分は記憶喪失であり、何故あの場にいたのか全く解らないことを伝え、解る範囲で説明した。


「お名前……は記憶喪失ですものね。なんてお呼びしたらいいかしら?」


品の良いお歳を召した女医さんにそう尋ねられ、少し迷ったあとにこう答えた。


「なら、私の名前はヒイロでお願いします。綺麗な緋色の髪と眼は記憶の無い私でも自慢だから」


「そうね、ヒイロさんね。解ったわ」


カウンセリングを受けながら、記憶を失うほど壮絶な体験をしたのではないかと……無理に思い出そうとすると頭痛が激しくなるのはそのためではないかと指摘された。


念のため数日間入院する。


その際に、あの不思議な場所は<異界門>と呼ばれる不可思議な場所であった事を教えられた。


事後承諾で申し訳ないと謝られたあと、あの黒く輝くオーブは、規則に則ってしかるべき所へと送ったらしい。



その後、町から連絡を受けたと神殿都市と呼ばれる場所から幾人の人が訪ねてこられ、招待を受けて其処へと向かう事となった。

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