ムービーオブザデッド
「カットカット。ストップ!そんなんじゃゾンビじゃねぇ。もっとこう、なんだそうだあれだ!目を死なすんだ。」
「やれるならやってますよ。残念ながら僕は生きた人間なんで!カラコンでどーにもならないなら無理ですって。」
やや寒さの残る春先。我々第四映画研究会通称ゾンビ研は撮影を行っている。クルーは計8名。他の映研に比べると人数がかなり少ない。
人気が無いからだ。思い当たる理由はある。変人しかいない。ここに来るやつらは他映研に入れてもらえなかったやつや追い出されたもの。もしくは強引な勧誘。そうでもしないとイケメンや美少女は来てくれない。映画の花形を逃してはならない。
「いや、お前ならやれる。いい俳優だろ!」
「監督、僕は裏方ですよ。監督がお前が一番ゾンビっぽいから出ろって無理矢理やらせるから仕方なくやってるんですよ。」
ゾンビ映画にとってゾンビのクオリティは話の面白さよりも大切なものである。ただの顔色悪い人じゃんとか無駄に緑色なんてのはストーリーが入ってこないほどにひどいできだ。なに見てるんだろうって思ってしまう。
「あの、一旦休憩にしません?かれこれ2時間くらいこのゾンビ問題が続いてますよ。」
私は断固拒否したのだが、他のクルー達も全員が休憩派閥に周り強制的に部室へつれていかれるのであった。