第2話 歴代最弱の勇者
気が付くとそこには夢の様な景色が広がっていた。RPGの世界観そのままの街並みに俺は心奪われ暫く放心状態だった。
「おい、あんちゃん大丈夫か?ぼーっとして。この辺りじゃ見ない服を着てるが何処の国から来たんだ?」
「あ、えーとかなり遠い東の方の国から来ました。」
「東ていうとガルザン辺りか。じゃあこの街は初めてか?」
「はい、あのこの街はギルドとかってあるんですか?」
「ああ、あるぞ。この通りを右に曲がってそのまま真っ直ぐだ。というか、そんなヒョロヒョロしてんのに冒険者だったんだな。」
「ま、まぁ一応。ありがとうございました。それでは。」
「おう、頑張れな。」
親切なおっちゃんだったな。なんとなくだけど、こっちの人はみんな親切な気がする。
教えてもらった通り進んでいき、ギルドについた。
「こんにちは。冒険者ギルドへようこそ
本日はどのようなご用件でしょうか?」
美人でかなり巨乳の受付のお姉さんが迎えてくれた。すごいな、俺のおっぱいスカウターで見たところGはあるな。
「冒険者になりたいのですが、ここで登録できますか?」
「できることにはできますが、仮登録になります。最近、冒険者の中に一般市民に暴力を振るった人がいまして。それが問題となり、荒くれの多い職業の冒険者でも、素行についてのテスト、ついでに実力についてもやろうという事になったのですよ。仮登録なら今すぐ出来ますがどうしますか?」
「なるほど、じゃあ仮登録でいいんでよろしくお願いします。」
「分かりました。それではこの魔石に手をかざしてください。」
言われた通り手をかざした瞬間、とてつもない光がギルド内に溢れた。
「な、なんですかこの光は。こんな事今まで一度もなかったのに。」
ふふ、恐らくだがこれは俺が勇者だからだな。流石勇者パワー、すごい光だった。
「これがギルドカードになりま、す。え?
嘘、勇者の刻印が。しょ、少々お待ちください。」
周りが騒つくなか、受付のお姉さんに
ギルドの奥へと案内された。
「初めまして。私はギルド支部長のゲルトと申します。以後お見知り置きを。」
優しそうな中年のおじさんだった。
かなり親しみやすい感じがする。
「担当直入に申しますと、あなたは天から遣わされた勇者なのです!」
「はい。」
「・・・あまり驚かれないのですね。」
まぁ最初から勇者なのは分かっていたしな。そんな驚かない。それよりも、勇者としてみんなにチヤホヤされる方への期待感の方が強い。
「話を戻しますと・・・」
話を要約すると、
当然勇者は魔王を倒さなければならない。しかし、いくら勇者といえど、いきなり最前線に出て魔王と戦うのは無理だ。ある程度の実力をつけてからでないと足手まといになる。そこでギルドへ本登録するための試験で今の実力をはかり、今後の対応について考えるらしい。
まぁ冒険者になるために結局は受けなきゃいけない試験だったから別にいいんだけど、どうしよう俺、戦闘した事ないんだけど。ギルド職員さん達はあくまで試験だからそんなに気にしなくていいと言ったが、聞いた話によるとお偉いさんが来るらしいので、あまり恥を晒すわけにはいかない。でも今、あんまり考えても仕方ない。明日また色々教わろう。
そんな事を考えながらギルドをでた。
外はもう日が沈みかけていた。
「ギルドで無料宿泊券と食事券が貰えたし、宿屋探すか。」
そう言って俺は宿屋を探し始めた。
宿屋は思ったより近くにあった。徒歩5分位の場所だ。
店に入ると美人店員さんが迎えてくれた。
「いらっしゃいませ。ご宿泊ですか?
それともお食事ですか?」
「両方で。あと、この券使えますか?」
「えーと、使えますよ。こちらがお部屋の鍵になります。食堂はあちらにございます。ではごゆっくり〜。」
そのまま食堂に行きドリアのようなものとサラダを注文した。ドリアが何故か緑色をしていたので焦ったが、普通に美味かったので安心した。
食事を終え、部屋に向かった。
部屋に入るとすぐにベットに横たわった。
「なんやかんやで疲れたな今日。」
そんな事を口走りながら今日の事を振り返っていた。そこで、ふと思い出しギルドカードを見てみた。ギルドカードにはステータスやスキルについて書かれていた。スキルはレベルアップによって得られるスキルポイントを使うことによって解放できるらしい。スキルはなった職業や本人の才能によって変化し、基本的にはギルドカードに書かれているスキルしか解放できない。しかし例外があり、スキル伝授というそのスキルの熟練度が一定レベルを超えると他人にスキルを教えることがてきるというシステムがあるらしい。
ちなみに今の俺のステータスは、
体力21
攻撃力6
知力8
魔力17
防御力12
魔法耐性15
素早さ10
という感じだが、まぁレベル1だとこんなものだろう。
色々見ている内にとある物を見つけた。
成長予想というものだ。やっぱ勇者だし、かなりのぶっ壊れステータスになってるんだろうなーなんて考えながら見た瞬間、時が止まったような感覚をおぼえた。
「え」
数値が変化していなかったのだ。
それから日が昇り、店員さんが呼びに来るまで俺はずっと固まっていた。