第8話 「私も、交ぜてもらおうかな」
"クエスト"と呼ばれる依頼を受注するために、次に向かうのはギルドだ。
本日二回目に入るこの建物。
中に入ると、依頼の書かれた掲示板を覗く人、パーティーを探す人、グループで作戦会議をする人々⋯⋯などで賑わっていた。
通常、狩りをする時は同じ依頼を受ける人達とパーティー、すなわち仲間として組み、三〜六人でこなすのが普通なんだそうだ。
「昼過ぎからゴブリン狩りに行くんだが、誰か俺たちと組まねーかー?」
ギルド内の奥から男の声が聞こえてきた。
どうやらパーティーを組む相手を探しているようだ。
ゴブリンはさほど強いモンスターではなく、初心者でも簡単に倒すことができるらしい。
つまり私でも大丈夫なはずだ。
それに、何人かで組めば更に効率が上がる。
「私も、交ぜてもらおうかな」
そう思い、男の声が聞こえた方へ足を踏み出した。
だが、思いもよらぬ弊害が私の歩みを妨げることになる。
「あ、あれ? こういうときって、どうやって話しかければいいのか⋯⋯!?」
私は数年、家族以外の人間とまともにコミュニケーションを取っていなかった。
つまり、世間でいう人見知り、コミュ障なのである。
それに、剣を持つ私は簡単には受け入れてもらえないだろう。
「⋯⋯⋯⋯やめておこうっと」
私は鉛のように重いため息をつきながら、依頼が掲示される掲示板へと向き直った。