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4、クエストの受注

 部屋に戻って水球の練習をしていたら突然頭がガンガン痛くなり始めた。

 そして意識があっさり飛んだ。


「おい、大丈夫か?おーい」


 ん?あれ?頭が痛くなってそれで…


「お!やっと起きたか。お前魔法使いすぎなんだよ。まだ魔力全然ないんだからさ。レベル上げたら魔力の量も上がるから今日はお前一発当てたら後は逃げ回ってろ。それだけでも経験値もらえるから」


「は、はいわかりましたけど…何を当てるんですか?魔力はありませんし攻撃力なんてゼロですよ?」


「魔力はアイテム使えば回復するから大丈夫だよ」


「了解です。じゃあ行きましょう」


「あ〜ちょっと準備あるから宿の前で待っててくれ」


「わかりました」


 ちらっと時計を見ると昼頃だ。お腹減ったな〜。


 ーーー


 俺は宿の前で人間観察をしていた。

 この街は人間が5割ほど。

 そして残りの5割ほどは亜人種だった。

 魔族はいないのか…もしかしたら仲が悪いのかもな。

 しかしこの街は本当に綺麗だな。

 街並みもきれいだし歩いている人も皆身なりはいい。

 それにひきかえ俺は部屋着だしな。

 動きやすいからいいんだけどさ。

 しばらくぼーっとしているとディウスさんがでてきた。

 それにしてもあれだな、この人優しすぎるんだよな。

 少し不自然な気もしてくる。

 ただ優しいだけかもしれないし警戒だけしとこう。


「よしそれじゃあ行くか」


「行くって言ってもどこに行くんですか?ドラゴンはもう嫌なんですが…」


「ドラゴンになんて行かないよ。きみじゃダメージなんて入らないだろうしね」


 ですよね。

 それにあとで火球教えてくれるとか言ってたけど教えてもらえなかったし。

 水より火の方がかっこいいよな。

 それに水球でダメージ食らうようなやついるのか?あれちょっと水圧の高いシャワーくらいの威力しかないんだけど。


「きみと行くのはその辺のゴブリン狩りだよ。初心者にはゴブリンが1番さ」


 ふむふむ。

 最弱のモンスターはスライムではなくゴブリンだったのか。

 さてゴブリンにちょい強シャワーは効くのだろうか。


「それに冒険者にはランクがあるんだよ。きみはまだFランクだから受けたくても無理だろうしね」


「ランクですか?」


「そうだよ、冒険者にはランクがあるんだ。ランク以下のクエストか1つ上のランクの仕事しか受けらないようになってるんだ。自分の実力を過信するような人もいるからね。事故死を少しでも減らしたいのさ」


「そうなんですか。ちなみにランクはどうすれば上がるんですか?」


「ランクを上げるには自分より1つ上のランクのクエストを成功させればいいのさ。ただパーティーで挑む場合は人数の分だけクエストをこなさないとダメだね。ちなみにパーティーを組む時にも条件とかがあってね、ランクが2つ以上違うと組めないんだよ。だから君とはパーティーは組めないけど組まなくても一緒に戦っては良いんだよ。ただ手柄はダメージをより与えた方だけど邪魔したり通りすがりに倒してもダメなんだけどね」


 これも事故死を少しでも減らすためのものか。

 許可を得れば一緒に戦えるってわけか。


「ただし、一言に1つ上のランクと言っても内容はかなり変わるんだ。ランクの違いはおおきいから無理しちゃダメだぞ?」


「わかりました。気をつけます」


「おっと、ついたようだね。じゃあゴブリンのクエスト探そっか」


 今日のギルドは昨日きた時とはあきらかにちがうものだった。

 はいった瞬間にほとんどの冒険者がこちらに向かって頭を下げてきたのだ。


「えっと、これは…どういうことですかね?」


「この人たちはみんな私を恐れちゃってるのさ。正直やってらんないよ。私は巷じゃ閃光の拳闘士ディウスとか言われててさ…だから昨日もギルドの前で待ってたんだよ」


 閃光の拳闘士って、恥ずかしすぎだろ。確かに一瞬で終わってたけどさ。

 なんか筋骨隆々なやつまで頭下げちゃってるし。

 あ、あの人昨日正面から見たときはわかんなかったけどハゲだったんだ。

 なんか笑えるな。


「みんな、頭は下げないでくれと言っただろうに。頭を上げてくれ」


「それはできね〜でさぁ。俺たちはあんたのおかげで生きてるようなもんですから、頭あがんないですよ」


 え?何この人たちみんなディウスさんに救われてんの?すげーなディウスさん。


「もういい。今日はクエストを受けにきただけだ。それと頭を下げられていると不快だ。頭を上げるんだ」


 シュバ!


「すいませんでした。不快させるとはご無礼をお許しください」


「もういいからふつうにしてろよ」


 切り替えはえぇー


「ディウスさんていつもこうなんですか?」


「ああ、私は普通に接したいんだけどね」


 しかし皆の俺を見る目が怖いな。ディウスさんに近よってんじゃねーぞ!みたいな視線がびんびん感じる。怖いのでそそくさとクエストボードの方に行った。


「あ!ディウスさんこれじゃないですか?」


「そうそうこれこれ。これならきみでもいけるよ。じゃあその紙を剥がして受付に持ってって」


「わかりました」


 ふむ、クエスト内容は…


 ===========

 クエストランクF

 ゴブリン10匹の討伐

 場所 町周辺の森

 報酬 銅貨3枚

 ===========

 随分あっさりしてるんだな。

 まあ初心者用のクエストらしいしわかりやすくしてるのかもな。

 とりあえず持って行くか。


「あの、このクエストを受けたいのですが」


「ゴブリンの討伐ですね。ギルドカードを拝借しますね」


「ちょっと待ってください…ええと、ギルドカードは…っと、ありました。どうぞ」


「Fランク冒険者さんですね。確認しました。頑張ってきてくださいね」


 初めてのクエストか。

 シャワー(強)で果たしてゴブリンは倒せるのだろうか。


「が、頑張ります」


 めっちゃいい笑顔でニコってしてもらえた。

 超嬉しい。

 絶対に勝ってみせる。

 行くんだ。

 冒険へ!ここはかっこよく立ち去ろう。さぁいざ冒険ツルッ…っえ?


 ドサぁぁぁ


 俺はそれはそれは綺麗に転んだ。

「はぁー」後ろからディウスさんのため息が聞こえた。

 ほんと恥ずかしい。

 それからしばらく俺は人間モップと呼ばれた。

 別に掃除したわけじゃねーよ。

 ふざけんな!いや、ほんと恥ずかしかった。


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