20,勇者は謎ばかり
ゲートで宿に戻ったのはよかったんだが握手を見ていたあとティアにビンタされた。魔力強化をしてなかったのでかなり痛かった。
正直シャレにならないダメージだった。自動回復ほんと便利。
それと部屋はティアとルリィの二人が同じ部屋に泊まるということで決まったらしい。ビンタの痛みに悶絶し帰ったら荷物がなくなっていたのでびっくりしたが慌ててルリィが説明してくれにきたのでよかった。
それにしてもルリィが部屋に入って来るタイミングが良すぎた気がする。荷物がないって言ったらバンって扉を開けて入ってきたのだ。
恐ろしかったので鍵をかける時の確認が増えたのは内緒だ。
痛みも引いて落ち着くとギルドカードのことを思い出しワクワクしながら更新をした。更新の結果なんだが……
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天野燈夜
レベル→87⇒100(条件未達成のためレベルは上昇しません)
体力→187⇒213
攻撃力→0⇒0
防御力→187⇒213
素早さ→187⇒213
魔力→43015⇒49515
魔法適性→全属性適性
スキル→魔法陣破棄 詠唱破棄
固有スキル→ 魔力強化
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謎の条件未達成の文字が。どういうことだろう。
人間の限界なのか?でもルリィは100レベ超えてるって言っていたような…言ってないような。
とにかく話を聞きに行こう。
ゴクリ。俺は今魔王と戦ったときよりも緊張しているのではないだろうか。いやあの魔王相手には緊張してたかはわからんが。
俺はティアとルリィの部屋の前にいた。
女子の部屋だ。ノックするのを一瞬ためらったがために中の声が聞こえてしまったのだ。
なんだかお互いに自慢し合っているらしい。
ティアは武勇伝を語っていた。実に戦闘狂らしい話だ。
強い気配を感じては挑み続けたらしい。中には魔王もいたというのが驚きだ。
ルリィは勇者になるまでの話や勇者になってから倒して敵の話をしていたがティアは全部倒したことがあったそうで落ち込んでいるのが扉越しにも伝わってきた。
ルリィが落ち込んでいるのをあちゃ〜と扉越しに思っていると突然中の会話が止まった。やばい立ち聞きしてたのがバレる。
俺は焦ってノックをするとすぐに扉が開き目を細め俺を観察するかのようにルリィが出てきた。
「燈夜さん。どうして扉の前にずっと立っていたんですか?」
敬語が怖いよ。声もティアが古代種って言ったとき並みに怖い。
俺は言い訳をしようとしたがうまく出て来ずに口をパクパクさせていた。するとルリィは、はぁとため息をつくと俺の目をまっすぐに見て…
「変態っ」
そういうと扉を勢いよく閉められた。
うぅ、ノックを一瞬ためらったがためにこんなことになるとは。
邪魔するのもあれかなと思ってノックしてなかったんだよ?
ほんとほんと。決して俺に勇気がないわけではない。
結局怒らせてしまっただけで何も話が聞けなかったので大人しく部屋に戻り寝ることにした。
どうやら俺は異世界にきてもダメ人間なのかもしれない。
若干の虚しさを胸に俺は布団に入った。
あ、そういえば布団で寝るのも久しぶりかもな。
学校……いつから始まるんだっけ。
ーーー
寝起きは最高だった。
やはり床と布団は違うなぁ。突然いいものになるとありがたく感じてしまうのは俺だけだろうか?雑談が苦手な俺は独りでに思うだけで終わってしまうのが当たり前になっていた。
まぁ当たり前を知らなかっただけだが。
「今日はクエストでも受けないとなぁ」
今更だが財布の中身が乏しい。だが俺が受けられるクエストは採取クエストだけだ。討伐なんてしようものなら周囲にどれだけの被害が出ることやら。
ん?そういえばルリィとティアがいるじゃないか。
あの2人に任せればクエストも簡単にできそうだ。
思ったらすぐ行動だ。俺は2人の部屋に向かうが途中で昨日のことを思い出しノックの練習をしてから行くことにした。
コンコン……シーン。当たり前だ。何せ俺は自分の部屋の扉をノックしているんだ。返事があるわけがない。
何度か練習しているとだんだん自信がついてきた。
なんだろう、ノックして自信がつくとか悲しすぎるのでは……
いや小さいことにとらわれないようにしよう。
グッと拳を握り天井に突き上げていると…
「何してるんです?」
ビクゥ、全身が震えるのを感じながら振り返るとティアとルリィがいた。ルリィは朝から全身鎧に身を包んでいた。
暑くないのだろうか。ティアは相変わらずジャージを着ていた。だが昨日着ていたのとは色が違い赤いジャージを着ていた。
2人の共通点といえば呆れた顔をしているくらいだろう。
「あ、あの昨日はすみませんでした。悪意があってやったわけじゃないんですが盗み聞きしてしまったのは事実です。すみませんでした」
よし。夜寝るときに考えていた謝罪の言葉がすんなり出てきてくれた。
2人は少し意外だったようで驚いていた。謝るなんて思ってなかったのだろうか。だとしたらそっちの方が悲しい。
「わかりました。しかし昨日は僕も言い過ぎました。すみません。それと覗きなどは僕だけの時にしてください。それなら歓迎しますから」
……なんか謝って損した気分になった。あとルリィの言動には若干引いた。ティアはさっきからずっとモジモジしているな。何かあったのか?
「燈夜……前に言ってた毎晩の話…いつから?」
あ、すっかり忘れてた。学校が始まるまではしばらく暇だし今日からでもいいかもな。
「ティアがいいなら今日からでもいいけど」
「うん!楽しみにしてる」
喜んでもらえて何よりなんだがルリィは何か怒っているようだ。
なんでだろう?昨日のことはもう許してくれたわけじゃないのか?
「ルリィ?どうしたの?」
「燈夜のバカ」
そう言うとルリィは剣の柄に手を当てながら部屋に戻っていった。
何が悪かったのだろう。今回は考えても分からなかった。
あ!クエストのお願いしなきゃ。なんか俺忘れすぎじゃないだろうか。
「ティア、お願いがあるんだけどいいかな?」
「なに?」
「クエストを受けてきて欲しいんだ。そろそろお金がなくなりそうなんだ。あと俺もついて行くけどいいかな?」
「いいよ。じゃあ着替えてくる」
着替えるのか。確かジャージしか買ってなかったような気もするが俺のいないうちに買っておいたのだろう。
ルリィの件については分からずじまいだ。結局何を言いたかったのだろう?




