表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新宿二丁目の男の娘   作者: 小鳩
50/74

第47話

 佑奈からの週末お誘いメッセージから程なく追伸があり「まだヨーコさんのところにはいかないでください。私も一緒にお詫びします」と文面にあった。

 何のことだろうと一瞬思ったが、まだ勲本人も行く余裕がないためそれに関しては二つ返事でOKした。同行する気なのだろうか、一応当事者ではあるし。なんてことも考えるが、すぐに考えることはやめた。


「真白さん抜きで会うのって、どのくらいぶりだろう?」

 部屋に戻った勲はシャワーを浴びながら考えている。いるときは大体三人一緒。始め二人でも後からどちらかが必ず合流する、そんな感じで今の三人の関係は成り立っている。どちらか一方に対して愛情が偏っているということは無い勲。今彼にとって二人は完全に平等な存在である。そういうことをする際も、双方の同意を取るほど信頼しきった関係。

 今回のような誘いはたまにはあるものの、何かいつもと違う感覚を覚えた勲。ちょっといつもと違ったことができるんじゃ、なんて邪よこしまも邪、最低の妄想を張り巡らせている。

「あー、ガチで週末までにレポート完成させないと。真白さんもグニャグニャ言い出しそうだし急がないと」

 佑奈のメッセージより先に真白から「一週間も会えない、だと?」と、脅迫めいたメッセージは既に受け取っていた勲。身に危険が及ぶ前にこの危難を回避しないといけない。元からそのつもりはあったもののこれだ更に今週のスパートの入れ方に拍車がかかることになりそうであった。


 シャワーからあがり、暖房で温まった部屋に戻るとまたスマホにメッセージが届いている。「どれどれ」と画面を開いてみると、今度はアマネからだった。既に男の連絡先よりコスプレ周りの関係者の方が多くなっているメッセージアプリ。いつのまにこうなってしまったのだろう、これも当然巽には見せることができない。友を失う。

「なんだって…」最新のメッセージを開く。

「今度大学忍び込ませてー!」と書かれている。

「何言ってんだ…」

 何用があるのかと聞き返す。すると即座に返事が戻ってくる。

「頭のいい彼氏が欲しい。私を養ってくれるエリートが」どストレートな要望である。

「はぁ…」

 そのストレートさに呆れつつも関心する勲。ふと津田野の顔が頭をよぎる。顔もよく秀才タイプで落ち着きがあり、将来間違いなく官僚かいいとこの企業に就職するであろうことが予想される。アマネの好みがどんなものかわからないが、今のところ勲の選択肢としてはそこくらいしかない。

「んじゃあ…」

 と、先ほど食堂でとった巽と津田野のツーショット写真をアマネに送信する。「この二人なら紹介可能」と付け添えて。すると瞬く間に返事が来る。

「→!」津田野だった。ごめんよ巽。

 結果、年明け大学が長期休講に入ったころ、勲はアマネを連れて大学散策を行うことになる。それはまた別の話。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ