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新宿二丁目の男の娘   作者: 小鳩
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第44話

 帰路。佑奈と真白を順に家まで送り、最後に勲の家まで向かう柏木の車。車内には勲と志帆とアマネがいる。後部座席では勲とアマネが何か話している。

「なんだー。根っからの趣味じゃないのか」

「自分のミスもあるんですけど、発端は佑奈さんからの依頼ですよ」

「でもプライベートで自分の意思で一回やってる以上、趣味って思われても仕方ないんじゃない?」

「それ言われると、返す言葉もございませんが…」

 男の娘化に至る経緯をアマネに説明しているようである。断片的に何があったかは聞いているが、前後の事情を知らないアマネ。誤解なきよう説明している。余計誤解生むんじゃなかろうかというのは無しで。

「おとり捜査ってあんな感じなんでしょうね。大変だなぁ」

「女装のおとり捜査なんて聞いたことないよ、ドラマじゃあるまいし。ま、その発想を実行しようという佑奈ちゃんもかなりすっとんでるけどね」

「ですよねー」自分の行動を何とか正当化しようとする勲。責任転嫁ダサい。

「でも正直似合ってるよ、コスプレに関しては。それは間違いない」

「ありがたいっちゃありがたいお言葉です」

「そう、そこだけは続けてくれないかなぁ。私からもお願い。女装じゃなくて普通に男装コスでいいからさぁ」助手席から志帆も会話に交じりお願いしてくる。

「あくまで今回の件をお断りするだけです。さっきも言った通りコスプレに関しては、まぁホント内輪だけにしてくれれば」

 付き合いの趣味まで断交するつもりはないらしい。さすがに彼女ズのお願いをむげに断るわけにもいかない。そこは渋々といった感じの勲。

「でもデートはNGなの?」

「そもそも僕の口からOKとは言ってませんからね。女装してデートなんて、冷静に考えたらやっぱおかしいですよ。男同士でもおかしいってのに、輪をかけておかしくなっちゃう。さすがに僕が本気で謝れば先方も納得してくれると思いますよ。たぶん…」

「自信ねぇな、おい」

「ダメだったらどうしよう。大学休学しそう…」顔面蒼白になりかける勲。半分くらいで元に戻る。

「こら東大生」

「休みませんけどね。期末でこれでも結構忙しいんですよ。試験とかレポートとか」

「東大生って、こうなんていうか、もっと別次元の存在だと思ってたけど。割りと普通だね」

「学内来れば変態いますよ、いっぱい」

「マッチーは常識人の部類か、なるほど」

「男の娘になることができる東大生も十分変態だと思うけどねぇ」

「その変態の汚名は今日で返上します。あ、その曲がり角入ったところで大丈夫です」そんな会話をしていると、勲の自宅近くに差し掛かる。

「ありがとうございますた。それじゃあお疲れ様です」

「またねー」

「またよろしくね。それじゃあ」

 志帆とアマネから別れの挨拶を掛けられる。柏木は笑顔で運転席から手だけ振っている。

「さて…。あ、そうだ。二人に連絡しなきゃ」

 車内でもいっていたように大学の試験などで忙しくなる。「今週は色々お付き合いできない」と詫びの連絡を佑奈と真白に入れる勲。


 一方先に自宅に戻った佑奈は、とある人物と電話を掛けているところ。

「あ、もしもし。リリィさんですか?」

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