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新宿二丁目の男の娘   作者: 小鳩
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第41話

 なんとかかんとかつつがなく第一部が終了する。一部参加のカメラマンを見送り、1時間後の二部に向けて一時昼休憩を取るメンバー。志帆の連れのカメラマンが用意してくれたケータリングを下のリビングに広げている。

「どう、うまくいった?」

「まぁ、そこそこには」

「随分フォローしたんだけどな」

「バレてはいないですけど、ちょこちょこ危なっかしいところありましたよ」

「だって、要求が変なんですよ。あーせいこーせいと、みんなよく我慢できますね」

「仕事だからね、半分」

「それが職業レイヤーってもんよ」

「家帰ったら呪いますけどね」佑奈は我慢ならなかったらしい。

 全員がコスプレ姿のまま、食事を口に運んでいる。話題は無論勲の件。第一部に関しては皆の努力と協力の甲斐もあり、イサミに固定ファンが付くほどの大勝利。本人は「今日だけでーす」といって見送っていたが、たぶんまたやらされることになるのだろう。

「二部はどうする? そのまま出る?」

「うーん、どうしましょう。一部で満腹って感じではあるんですけど」

「汗もかいてないから化粧落ちもないし。出ようと思えば出られるね」

「こっちとしては出させたいんだけどな」真白はまだやらせる方に一票。

「二部って一部に来た人いるっけ?」

「いや、今回は総入れ替え。同じ人はいないから仮にもばれるという心配はない」お連れさんから午後の部のメンバーについて説明がある。

「だったら、どっちでも大丈夫だね」

「じゃあ、ちょっと午後は写す側に回ろうかな…」チラッチラッと佑奈と真白に視線を送る。

「…」

「…」

「ダメなら、このままでも…」二人の視線が痛い。

「許そう」

「許しましょう」思いのほかあっさり許可が下りる。

「お、じゃあ着替えちゃおうっと」

「ただし!」

「私たちの立ち居振る舞い、一挙手一投足。カメラマンに対応するそのすべてまでしっかり観察していてくださいね」

「何しに連れてきたか忘れないでよ。今度の女装デートのための特訓なんだからね」

「は、はい」

「何、女装デート?」知らないアマネが聞き返す。

「それについては後で詳しくはなそう、私から」真白が一旦制する。話さんでもいいものをと勲は当然思っている。

「さて、じゃあそれならそれでうちのカメラマンにでもちょっとカメラの使い方教わりな。ただぼーっと突っ立ってるだけじゃ参加者に怪しまれちゃう」

「それもそうですね。すいません、色々とご迷惑を」

「いや、なに。お安い御用」相変わらず口少なだが、快く引き受けてくれる。

 そして勲は食事をいったん切り上げ、羽が生えたように2階に戻り着替えを済ませに行く。

「まだ心構えがなってないな」

「精神論から叩き込まないとダメですね、あれは」

 実地訓練の次は、自宅での座学が控えているらしい。コスプレ虎の穴の授業はまだまだ終わらない。

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