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新宿二丁目の男の娘   作者: 小鳩
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第28話

「準備してある衣装って?」

 話題は日曜日の撮影会に移っている。別にそんなことしなくても女性らしさは出せるだろうに。ただここに居る二人が「楽しいなぁ!」というだけの理由で参加させられる勲。誰が見ても不憫。騙されるカメラマンも不憫。二人は愉快。志帆は複雑。

「はい。オーダーメイドでお願いしました。以前騙くらかして採寸してありましたので、大丈夫です」

「騙…」そのうち高額の保険掛けられそうだな、なんて思っている志帆。

「何着?」

「一着です。あー、でもそうなると撮影会で着替えできないですね」

「それはいいんだけど。なんなら私の衣装はいるかもしれないね」

「確かに。背格好似てるね。ねえさんとほとんど同じ伸長かな、今」

「町村くんナンボ?」

「値段ですか、伸長ですか?」売り物だったらしい。東大生だしそこそこ高いはず。

「伸長ね…」笑うしかない。

「168.8㌢です」㍉単位で理解している佑奈。

「こまけぇな。ほぼ一緒だね、私169ちょうどだし。伸びたねー。春に会った頃はまだ見下ろすくらいだったのに」

「春に出会った頃はまだ164㌢くらいしかなかったんですけどねー。随分成長しました。もう私の代わりは無理ですね」

「高すぎても色々似合わなくなるから、そろそろ成長止まってくれてもいいんだけどね」真白も同調。

「ですね。なので泊まりに来た時出すコーヒーとか紅茶には、牛乳入れてあげないことにしてるんです。カルシウム断食」

「成長まで管理されておる…」

 次から次へと勲に対する束縛が露わになる。狂気すら感じ出す。しかしこれは勲への「愛」なのだと、二人は力説する。天に還ったら墓場すら用意されそうである。

「どこのスタジオ使うのん?」

「世田谷。ここから割と近いよ。当日朝迎えに来てあげようか。うちのカメラマンの車で行くつもりだから。十分乗れるよ」

 イベントでお世話になった専属カメラマンも当然の如くいらっしゃるらしい。持つべきものは有名レイヤー専属カメラマン。金の掛け方が色々違う。

「わーい、ありがたい」

「あ、そうそう。アマネちゃん来るよ」

「え、ホント? 久しぶりだなー、嬉しい」

 もろ手を挙げて喜ぶ真白。久々の旧同僚との再会。あんなことさえなければ続けていたアルバイト。因みに真白はあの後、勲とミランダのアドバイスで民訴を起こして少し金を獲れた。

「アレ以来、真白大丈夫なの? そういうの怖くない?」

「うん。もう桜田門がバックにあるから」

「え?」

 例の事件の際警視庁で事情聴取を受けた際、ミランダと話している最中刑事部長も同席。その際、刑事課一同にいたく気に入られてしまった佑奈と真白。「何かあったらすぐに駆けつけるからね!」と、公僕を私的SPとして扱えるようになってしまっていた。佑奈の部屋の片隅にはそれを真実と裏付ける『警視庁刑事課の皆さんと』と書かれた写真が置いてある。なんだこの集合写真。

「な、なら平気か」

「ま、専属ボディガードいるんだけどね、隣に寝てる」

「はい」

 男の娘姿のまま寝ている勲のことをなんだかんだで信頼している二人。散々ディスってイジっているものの、この三人の信頼関係は強いんだ。志帆は少しだけホッとする。

「ちなみに、今日ダーリンいくらもらったのかな?」

「さぁ。2万はもらってそうですよね。明日の晩ご飯は出してもらいましょう。寿司でいいですよね」

 やっぱり可哀想。

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