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新宿二丁目の男の娘   作者: 小鳩
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第11話

 その日の夜、場所は佑奈邸。勲が呼び出した真白含め、結局いつもの三人が集っている。というのも、日中にヨーコから受けた「お願い」についての相談を勲が二人に持ちかけていた。一人ではどうやっても解決できない、というよか頭が追いつかない。今まで自分が回転させたことのない部分に訴えかけてくるものだったため、第三者の知恵を借りることに決めた。といってもこの二人だと相談を相談として受け止めてくれるかどうか。イベントとしてカウントしそうで怖い次第。


「君は何でそんな話題に事欠かないかねぇ」

「全くです。ホント私たち楽しませてくれますよね。知り合ってよかったと心から想える人です」

「…本気で悩んでるんですけど」

 真白がバイト先から持ち帰ってきたパンを突きながら会話する三人。大半は勲の胃袋に入らないのは言うまでもない。

「悩むってことはその気があるってことですか?」

「違います。どうこの問題を扱えばいいか、僕ではもうどうしようもなくて」

「私らという可愛い彼女がいるというのにも関わらず」

「だから、違いますって…」

「ミランダねえさんに聞けばいいじゃん、プロなんだし」

「それだけは絶対にイヤです」

「さすがの私たちも、その相談は聞いてもどうしようもないかもしれないです。ご本人の問題なので、町村さんがどうしたいかじゃないですか?」

 無理難題ということは当然わかっての相談。一人で抱え込むのがキツかっただけで話を聞いて欲しかっただけのようなところもある。既に相談は暗礁に乗り上げている。

「あ、そうだ」

「どうしました?」

「メグルさんとリリィさん呼ぼう」真白からの発案。

「ああ、それいいですね。多分いると思いますので、ちょっとモールス打ちますね」

「モールス!?」

「緊急連絡手段として、あのマンションの部屋に向かってライトで連絡できるようにしてあるんです。いればすぐに返事があるはずです」

 ベランダの窓を開け、いつの間にか設置してあった探照灯のようなライトを二人の部屋めがけ照らし出す。そもそも信号自体どこで覚えたのだろう。

「メールじゃダメなん? そもそも緊急ではないのでは…」ごもっともなツッコミ。

「はい、連絡完了。いたので返事きました」

「左様ですか。なんと?」棒読み。

「『援軍求む』っていったら『トラトラトラ』だそうです」援軍を求めているのに奇襲されてしまうのだろうか。


 15分くらいの後、メグルとリリィが部屋に姿を現す。勲にとっては実に半年ぶりくらいの邂逅。例の一件以来こんなにそばにいながら一度も会っていなかった。

「よう少年、久しぶり」

「久しぶりデス、マッチー」

「ご無沙汰してます」

「ねえさんたち久しぶり。ここんとこイベントいってないからそろそろ行かない?」

「いやー、冬までお預けかな。なんだかんだで忙しくてね」

「お仕事イッパイデス。金もガッポリデス」

「あー、冬の衣装考えてないね。佑奈どうしよっか?」

「行くんですかコミケ。私できれば遠慮したいんですけど」

「またROM出すんだから、せめてコスプレ売り子はしようよ」

「うーん。町村さん立てとけばいいじゃないですか」

「僕も行くの!? ってかまた出すの?」

「再販ね、再販」どっちにしたってまたばらまかれるのは一緒。

「でも、金になるぜ?」甘い誘惑。ちょっと心が揺れる勲。

「ま、この話は後で。玄関で話すのもなんだ、中に入れてくれ」

「あぁ、すいません。どうぞ」二人を部屋に招き入れる。

 リビングへ戻り5人それぞれテーブルを囲む。持参したビールを早速開けるメグル。と同時にリリィの膝枕に収まる。

「さて、救援とは?」早速本題に移る。

「じゃあ、町村さんからどうぞ」

 佑奈に促され話を切り出す勲。

「実は…、男性に告白されまして」

「ごちそうさまでーす!」全員が手を合わせ頭を下げ勲を拝む。なぜ?

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