第七話「初めての依頼」
「ファイアインパクト!!」
「おお! その調子じゃ」
俺は人形との戦いに上手く魔法を使って勝てるようになった
「しかし、たける、一つ言いたいことがある」
「何だ?」
「いちいち、魔法を使うたびに叫ぶな! うっとおしい」
うるせえババア、これが俺のスタンスなんだよ
「なんじゃと!!」
まずい! つい本音が出てババアって思考しちゃった
「ワシはピッチピチな乙女じゃ、ババアではない」
口調が乙女じゃないぞババア
どうせその体も改造して作ったんだろ
良かったな! 合法ロリになれて
「お主……殺す」
ババアが俺に向かって接近してくる
速い
やばい!
「身体強化!!」
俺も負けじと魔法を使いババアから逃げる
街の外を逃げ回ること一時間
ババアの足が止まった
「はぁ……はあ……だからババアと呼ぶなって」
「やーい、ババア、悔しかったらここまでおいで」
俺はお尻をペンペンと叩いた
え? 小学生みたいな恥ずかしいことするなって?
いいじゃん、勇者なんだから
「ぐぬぬ」
ババアは悔しがってる様子だった
ざまあみろ、日頃俺をこき使った天罰だ
「ん?」
俺の頭上でペチャという音がする
俺は頭上に手を当てその手を見た
手には白い液体があった
・
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鳥の糞だ
「ギャハハハハ、ワシを愚弄した天罰じゃ天罰いい!!」
「はあ……」
さて、そんなコントが終わったところで俺たちは街中に入った
「レリータちょっと武器屋に寄っていいか?」
「どうしてじゃ?」
「何か剣が欲しいんだ」
「まあ、それはお主の勝手じゃが」
俺が剣を求めるのには理由がある
某ネトゲのフォースブレーダーという魔法戦士に憧れていたからだ
魔法も扱えて剣術も扱える
く~かっこいい!
俺もそういう戦士になりたい
ということで剣を買う
「くだらん野望じゃのう」
「レリータは分かってないなあ、魔法戦士の格好良さが」
「戦士だろうが、魔法戦士だろうが、魔術師だろうが強ければ格好いいじゃろう」
ホント、この子は分かっていない
まあいい
俺たちは武器屋に向かった
「お金もそこまでないからこの程度でいいかな」
俺は少し錆び付いた剣を選んだ
武器屋の店員にお金を払い俺はその剣を受け取る
そして俺たちは武器屋を出た
「たける、そろそろギルドの依頼を受けてみてはどうじゃ」
「依頼かあ」
「ああ、今のお主ならある程度の依頼なら充分こなせるじゃろう」
「それもそうだな、いつまでもお前の錬金術に頼るわけにはいかないし」
俺たちはギルドの中に入った
依頼内容を確認する
「この依頼なんかいいんじゃないか?」
レリーターがある依頼を指差す
「ウルフ討伐かあ、確かに依頼の中では最も簡単だな」
ということで俺はウルフ討伐の依頼を受けた
「それではこの発信機をお付けください」
俺は受付嬢から発信機を渡された
聞いたところによるとこの発信機
付けたものが依頼を達成させたかどうか分かるらしい
つまりわざと依頼を達成させずに依頼達成を報告するという嘘が付けないようになってる
う~ん進んでるなこの世界
「ではこの魔法陣にお乗りください」
受付嬢が魔法陣へと俺たちを案内する
俺たちは魔法陣へ乗った
「おほっ!」
俺は思わず声を上げてしまった
魔法陣に乗った途端景色が急に変わったからだ
「驚いているようじゃな」
「あ、ああ」
「この世界では魔法陣で好きな場所へ移動する仕組みが出来上がっているのじゃ」
「ほお~」
進んでるなこの世界
「ということで早速ウルフ討伐なのじゃ」
「ほい」
俺たちは森の中を歩いていた
「ぐるるるるるるる」
予想通りウルフ様のお出ましだ
「うう~緊張する」
「落ち着け、たける、緊張していては魔法も使えんぞ」
「分かった、ヒッヒッフー、ヒッヒッフー」
「お前は妊婦か」
レリータに突っ込まれてしまった
でもおかげで緊張が和らいだ気がする
「さあて、行くぞウルフちゃん」
俺は剣にエンチャントをかける
「おりゃあああ」
俺はウルフを次々と討伐していく
思ったより楽だった
人形より弱いと言ってもいい
「そりゃああの人形は実践用に作られたものじゃからな」
あのーレリータさん言いたいことは分かるのですが
いちいち俺の思考読むのはやめてもらえませんかね
「読むんじゃなくて読まされてるのじゃ何度言ったら分かる」
「それじゃあ聞き流せよ! 何度言ったら分かる」
「ええい、めんどくさいやつじゃのう」
「それはこっちのセリフだ!」
「次来たぞえ!!」
「うわっ!!」
振り向くとウルフが俺を襲う瞬間だった
俺は咄嗟に剣で受け止める
「依頼達成」
発信機からロボットのような声がする
「しかし、面白い仕組みだな、この発信機」
「まあお主みたいなチンケな生活を送っているものにとっちゃ珍しいじゃろう」
「余計なこと言うなって」
俺たちは魔法陣に乗り元の街に戻りギルドへと向かった
「おめでとうございます、依頼達成です」
受付嬢から250Gが手渡される
「ひゃっほーい!!」
初めての依頼完了で俺は舞い上がる
ふと我に帰る
「……」
周りの視線が痛い
「恥ずかしくないのか大人にもなって」
うるせえやい、大人でも初めてのことは素直に嬉しいんだい!
「はあ、どうしようもない男じゃのう」
何とでも言え
とりあえず俺は初めての依頼を達成したことになる
俺は着々と勇者への道が近づいていることに確信を感じた
これからが楽しみだ