第二十話「お別れ会」
「皆、話がある」
「どうした急に?」
俺たちはギルド内のテーブルで席を囲み
話し合いを始めた
俺は話を切り出した
「俺、事情があってこのパーティを抜けなければならない」
「そんな……」
皆、落胆している様子だった
まあ無理もない
ガルベスを失った上に俺までいなくなるんだから
「その事情とやらが気になるんだけど」
アンナが的確に
まるで俺の心の底を撃ち抜くかのような質問を投げかけた
「それは話すことができない」
「そう、残念ね」
「なあ」
急にリンファンが声をあげた
「それならお別れ会やらないか?」
「いいなあ、それ」
エジェネも賛成しているようだった
お別れ会か……
悪くない
こうしてお別れ会が開かれた
「タケルさあん、ほんとに行っちゃうんですかあ」
ベロンベロンによったベネッタが俺にそう言い投げる
「あ、ああ、すまない」
「嫌だ! 嫌だ! 嫌だああああ!!」
唐突にベネッタが叫ぶ
相当酔ってんな、これは……
「タケルさんはずっと私と一緒なのお」
ベネッタが俺の腕を組んできた
嬉しいがやめてもらいたい
これじゃあお別れしづらいじゃないか
「ちくしょお! ガルベスだけじゃなくタケルさんまでいなくなるなんて!!」
リンファンも相当酔ってるようだった
それをエジェネが宥める
お別れ会も終盤になりベロンベロンに酔ったリンファンとベネッタは寝てしまった
「そろそろいいかの?」
俺の目の前にレリータが現れる
ああ、そうだな
「ごめん、俺そろそろ行かないと」
「タケルさん、本当に行っちゃんですね……」
エジェネがとても残念そうに言う
「ああ、すまない」
「皆には俺のほうから伝えておきますよ」
「ああ、頼む」
俺は店のドアを開けようとした
その時
「タケルさんちょっと待ってもらえないかしら?」
アンナの声がした
「何だ?」
「異世界へ行くんでしょ?」
「!!」
アンナが耳打ちしてきた
「ねえ、私も連れて行ってもらえないかしら」
おーい、レリータああ
「何じゃ?」
こいつも異世界へ行きたいってさ
「それは無理じゃろう」
OK分かった
「残念だけど君を連れて行くことはできない」
「どうして? 見えない誰かに言われたの?」
「な!?」
どこまで鋭いんだ
この女は
「なぜ分かった」
「だってあなたガルベスが死んだとき”ふざけるな!”って叫んだじゃない、見えない誰かに」
「……」
くっこの女、やはり鋭い
「とにかく君を異世界へ連れて行くことはできない」
「そう、残念ね」
「すまないな」
「まあいいわ、ごめんね呼び止めて」
「別にいいよ、そろそろいいかな?」
「ええ、さようなら」
「……さようなら」
意外と呆気なかったな
もっとくってかかるかと思ったのに
こうして俺は仲間たちと別れを告げた
正直彼らと別れるのは気がひける……
彼らには結構お世話になったからな
だけど俺が勇者になるためには仕方がない
「どうやらお別れ会は済んだようじゃの」
「ああ、それで俺はどこに行けばいいんだ?」
「とにかく街の外へ出てみい」
俺は言われた通りにした
「ほお」
街の外には鳥居が見えた
「こんなところに鳥居なんてあったっけ?」
「ワシとお主にしか見えない鳥居じゃ、まあ入れ」
俺は鳥居の中に入った
「おお!」
目の前にはいつしか見た神社が現れた
相変わらず綺麗な神社だ
「さて、本殿へ向かうぞよ」
俺たちは本殿の中へ入った
レリータは本殿の中の丸い鏡を取り出し最初にやったときと同じように鏡に唾液を垂らす
「ほれ、この唾液を見つめてみい」
俺は言われた通り鏡に垂れている唾液を見つけた
しかし、この儀式を考えたのは誰だ?
エルメカレタとかいう神だったら趣味が悪いぞ
そう思いつつ俺は次の世界へ飛び立つのだった




