第十九話「レリータの懇願」
俺たちはガルベスの死を引きずったままギルドの軽い依頼をこなしていた
「アンナさん、どうか俺に稽古をつけてやってください! お願いします!!」
そんな中リンファンがアンナに頼みごとをする
「そんなに強くなりたいのか?」
「ええ、ガルベスが死んだのもリーダーである俺の失態」
「……」
「だから俺も強くなって仲間を守れるようになりたいんです!」
「分かった、それならいいだろう」
「あ、ありがとうございます!」
早速リンファンの特訓が始まった
「まずは腕立て1000回!」
「アンナさん、魔術の稽古は?」
「この世界では魔力が高い方が強い」
「ええ」
「だが身体能力も高いほうが有利ではある、それに身体強化を上乗せしたらさらに強力になるからな」
「なるほど」
アンナの指示は的を得ていた
俺も鍛えないとな
勇者だし
その途端俺は昨日のことを思い出していた
レリータとのやり取りだ
あいつには人の心がない
このままあいつの言う通りに勇者になればあいつの思うつぼなのかもしれない
「おい、タケル」
噂をすればこれだ
何の用だ? 悪魔が!
「……お主には次の世界である役目を果たしてもらう」
レリータ
すまんがその言い分は却下だ
「なぜじゃ?」
今は皆仲間を失って悲しい時期だ
俺も悲しい
とてもじゃないが他の世界に行く気にはなれない
「しかし、これはエルメカレタの命令じゃ」
だからなんだ?
「お主は勇者になりたいんじゃろう」
……
「ならば次の世界に行く必要がある」
別にこの世界で勇者として頑張るのもありだろう
「だがそうはいかんのじゃ」
なぜだ?
「それはワシにも分からん」
とにかく俺はこの世界から離れるつもりはない
「そうなるとお主は強制的に元の世界へ連れ戻されることになるぞよ」
何だと!
「もう一度言うがこれはワシじゃなくてエルメカレタの命令じゃ」
……
「お主が次の世界へ向かう決心をしない限り、お主が勇者になることはない」
糞、エルメカレタといい、お前といい皆腐ったやつばかりだな
「何とでも言うがいい」
分かった、俺勇者やめるわ
「な!?」
お前らの思い通りには動きたくないんでね
「ちょっと待て、それじゃあワシのことはどうするのじゃ?」
知るかんなもん
「そんな……こんなキュートなレディの頼みごとを無視するとはお主、人間か?」
お前に言われたくない
レリータは四六時中俺のあとを付いてきて
「お願いなのじゃ」
と懇願してきたが俺は無視し続けた
仲間たちとの作戦会議中にも
「お願いなのじゃ」
依頼遂行中にも
「お願いなのじゃ」
夜寝るときも
「お願いなのじゃ」
とうるさかった
挙げ句の果てには泣きじゃくりやがった
もう、分かったよ……
「本当か!?」
ああ、次の世界へ行ってやる
「それじゃあ早速」
もう少し待って欲しい
「なぜじゃ?」
仲間たちに別れを告げていないからな
いいだろ? それぐらいの時間をくれても
「別に構わんが」
ということで俺は残念だが仲間たちに別れ話を切り出すことになった
しかし、次の世界とは一体どこだろう?
期待もあったが不安もあった




