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第十八話「思い出」


 俺が体験した身内の死は婆ちゃんが初めてだった

 

 俺は幼い頃、両親が共働きで忙しかったため

 よく家が近い婆ちゃん家に通っていた


 爺ちゃんはとっくの昔に亡くなっており

 家には婆ちゃん一人だけが住んでいた


「タケル、ご飯だよ」

「わーい! 旨そう」


 婆ちゃんの料理は母ちゃんの毒料理とは大違いだった

 すげえ美味かった

 同じ遺伝子を持って生まれてきたはずなのにどうしてこうも違うのだろうか


 まあそんな話は置いておいて

 それ以外は婆ちゃんと公園を散歩したりしていた


「タケル、あんたも立派に生きるんだよ」


 婆ちゃんは良く俺にこう言って聞かせてくれた

 今ではこれが俺の座右の銘と言っていいくらいだ


 そんなある日

 ……婆ちゃんが死んだ

 理由は衰弱死

 要は自然死だった


「婆ちゃん! ばあちゃああああああん!!」


 当たり前の死

 誰もが受け入れるべき普通の死

 それは分かっていた

 だけど俺は大泣きした

 幼少の頃の俺のほとんどの思い出は婆ちゃんで出来ていると言ってもいい


「タケル、立派に生きるんだよ」


 今では婆ちゃんのこの言葉だけが俺の中に残っている

 そして今

 ……俺は仲間の死を目の前にしている


「畜生!! 俺がもっと強ければ!!!」


 リンファンが泣き叫ぶ


「リンファン……あなたのせいじゃないわ……あれは仕方がなかったの」


 ベネッタがリンファンを慰める


「タケル」


 急にレリータが俺の前に現れた

 何だ?


「この世界の目標は達成した」


 だからなんだよ


「次の世界へ向かうぞよ」


 てめえ、今この状況を分かってて言ってんのか?


「何じゃ、何か不都合でもあるのか?」

「……ふざけるな!!」

「どうしたの!? タケルさん」


 まずい、つい声を出してしまった


「いや……自分に対して言ったんだよ」

「……そうですか」


 おいレリータ


「だから何なのじゃ?」


 今この状況を分かっているのかって聞いてんだ


「お主の仲間が一人死んだ、それだけじゃろう?」


 何だと!!


「ワシにはなぜお主が切れているのかよく分からん」


 仲間が死んで……

 皆、悲しんでいるというのに……

 ノコノコ現れて次の世界へ迎えってか?


「そうじゃ、それの何が」


 ふざけるな!!

 

「だから何を切れているのじゃ」


 もういい俺の前から消えてくれ


「そうはいかん!」


 うるせえ! 消え失せろ!!


「……」


 レリータは姿を消した

 あいつが悪魔な理由が今ではよく分かる

 あいつには人の心というものがない

 人に当たり前にある心というものが……


 俺たちはガルベスの死を嘆き悲しみ一夜を迎えた

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