レファレンスNo.3 8-3
「さて、そろそろおやつにしましょうか。今日はみなさんのために、おいしいお菓子をたくさん用意しましたよ」
ゲームが一通り終わったところで、立川さんがみんなに向かって言う。
時計を見ると、午後三時。ちょうどおやつの時間になっていた。
「おぉ! おやつか。それはいいな!」
「おやつ? やったー!」
「あたし、いっぱいあそんだから、おなかペコペコ!」
おやつという言葉に、真っ先に反応したのはエノク君だ。さすがは、ラジエルライブラリで一番の食いしん坊だね。
エノク君に釣られて、キンタ君とアンちゃんも大喜びでバンザイしている。
まあ、ゲームをやっている時からずっと、甘くておいしそうなにおいが立ちこめていたからね。二人が喜ぶのも当然だろう。
「では、少々お待ちくださいね。お茶の用意をしてきますので」
「あ、わたしも手伝います」
「そうですか? では、バスケットの中のお菓子を、テーブルに並べてください」
立川さんに「了解です!」と返事をし、バスケットの中からクッキーやケーキを取り出して並べていく。
その間に、立川さんも慣れた手つきでお茶の用意を始めた。
「あ、詩織ちゃん、私も手伝うよ」
「葵ちゃんは座ってて。今日はお客さんなんだし、キンタ君やアンちゃんとお話でもしててよ」
いっしょに手伝おうとしてくれた葵ちゃんを、やんわりと押し止める。
葵ちゃんにはできるだけ長い間、キンタ君やアンちゃんといっしょにいてもらいたいからね。
「さあ、お茶の準備ができましたよ」
わたしがお菓子を並び終えたところで、立川さんがポッドを持って戻って来た。
全員の前に紅茶が給仕されて、準備完了。
それじゃあ、プログラムナンバー2を始めるとしようか。
「コホン! それでは、ゲーム大会に続きまして、プログラムナンバー2、お茶会の開始です。みんな、思う存分お菓子とお茶に舌鼓を打ってください!」
『いっただきまーす!』
わたしの言葉を待っていたというように、エノク君、キンタ君、アンちゃんがお菓子に手を伸ばす。
思い思いのお菓子を口に放り込んだ三人は、花のような満面の笑顔となった。
「おいしい~」
「ほっぺたおちそうだよ~」
「うむ! 立川はお菓子作りの腕も超一流なのだ。いっぱい食べるといいぞ!」
キンタ君とアンちゃんがおいしそうにお菓子を頬張る横で、なぜかエノク君が得意げにしている。
まあ、いつもみたいに一人占めしようとはしてないし、よしとしますか。
さてと、わたしもテーブルに並んだとりどりのお菓子をいただくとしよう!
「うーん、おいしい! 立川さん、このケーキ、絶品ですよ!」
「本当にすごくおいしいです。私、こんなにおいしいお菓子を、今まで食べたことありません!」
わたしといっしょに葵ちゃんも立川さんのお菓子を絶賛する。
お菓子があまりにおいしくてびっくりしたのかな。葵ちゃんの頬は、ほんのりピンク色に染まっていた。
「ありがとうございます。お口にあったようで何よりです。――もしよろしければ、作り方をお教えしましょうか?」
「いいんですか! ぜひ教えてください!」
「立川さん、立川さん! わたしも教えてほしいです!」
立川さんと葵ちゃんの会話に加わって、わたしも「はいは~い」と挙手をする。
こんなおもしろそうなイベント、参加しない手はないからね。
「わかりました。では今度、お菓子作り教室でもやりましょう」
「はい。よろしくお願いします!」
「わ~い! ありがとうございます、立川さん」
お菓子作り教室の約束を取り付け、「やったね!」と言いながら葵ちゃんとハイタッチする。
いや~、本当に楽しみだ。主に――試食が。
「アオちゃん、アオちゃん!」
「聞いて、聞いて!」
わたし達がお菓子作りの話で盛り上がっていると、キンタ君とアンちゃんが葵ちゃんの手を引いた。
おっと、いけない。パーティの主役をわたし達が独占しちゃいけないよね。
「アオちゃん、こっちのクッキーもすごくおいしいんだよ!」
「あっ! キンタずるい。アオちゃん、このシュークリームも食べてみて」
おやおや、二人で葵ちゃんを取り合い始めましたよ。
葵ちゃん、大人気!
「二人とも、ありがとう。それじゃあ、みんなでいっしょに食べようね」
「うん、そうだね!」
「えへへ。みんな、いっしょ!」
葵ちゃん達は三人で仲良く、お菓子を分け合っている。
あはは。ほんと、姉弟姉妹みたいに仲がいいよね、この三人。




