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ラジエルライブラリの司書見習い  作者: 日野 祐希@既刊9冊発売中
レファレンスNo.1 見習い司書、初めてのレファレンス
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レファレンスNo.1 1-2

 私立(しりつ)長尾(ながお)学院(がくいん)。通称、長学(なががく)


 わたしと葵ちゃんが通う、設立から二十年程の比較的新しい小中高一貫校だ。

 山の(ふもと)に建つこの学園の売りは、豊かな自然と充実した設備、割と自由な校風。そして、とってもかわいい制服だ! 

 いやもうね、幼心にも響くほどかわいいのですよ、ここの制服。わたしも幼稚園児の時にここの制服を見て、一発で(とりこ)になりました。

 しかも、中学年、高学年となるにつれてリボンとかのデザインが少しずつ変わっていくから、()きが来ないんだよね。

 そういう理由もあり、ここらへんに住んでいる女子にとって、長学に入学することは一番の憧れなのだ。

 おかげで、長学は小等部でも入学するのが超大変!

 しかし――ですよ!

 お母さんから必勝法を授かった五年と少し前のわたしは、神懸った運の良さで見事に合格という栄冠(えいかん)を勝ち取ったのです!

 ありがとう、お母さん。あの時転がしたエンピツは、今でも大事なお守りだよ。


 ただ、有名校だけあって、小等部でも勉強がかなり難しい。

 なので、こうして放課後も、図書室でテスト勉強に(はげ)もうというわけだ。



 あっ、そうそう! 



 ついでに言うと、充実した設備の例に()れず、この図書室も世間一般の学校と比べて、相当すごい。とっても広いし、本だってたくさんあるんだよね。

 六年生になった時にもらった図書館の手引きによると、蔵書数(ぞうしょすう)はなんと十万冊を超えるらしい。

 その上、空調設備もしっかりしていて、とても快適!

 つまり、勉強するにはもってこいの環境なのだ。


 ただ、それだけの好条件にもかかわらず、図書室の席は意外と()いていた。

 ラッキーと思いつつ、本棚(ほんだな)近くの四人がけの机を陣取り、わたしはいそいそとテスト勉強を始めた。



          * * *



「うーん、よく勉強した~」


 図書室で勉強を始めて、1時間とちょっと。

 テスト勉強にも区切りがつき、わたしは背伸びをしながら窓の外をながめた。

 ゴールデンウィーク明けともなると、この時間でもお日様はまだ高いままだ。


「これで、明日の算数は何とか乗り切れるかな」


 算数の練習問題を解きまくったノートを見て、満足げに「うんうん!」と頷く。

 これだけ勉強したんだもん。明日の算数は大丈夫でしょう!

 わたしにしては、上出来、上出来!


 そう思いつつ壁にかかった時計を見ると、時間はすでに四時半を回っていた。

 あと30分もすれば、図書室の閉室時間だ。


「勉強の切りもいいし、そろそろ帰ろうかな」


 そんな独り言をつぶやきながら、勉強道具を片付ける。


 と、その途中、手が(すべ)って机の上から消しゴムを落としてしまった。

 長く使って、丸くなった消しゴムだ。

 机から落ちた勢いのままに、消しゴムは本棚の奥へとコロコロ転がっていく。


「あわわ、待って待って!」


 慌てて消しゴムを追い、わたしも本棚の間へ足を()み込む。

 気分はさながら、おむすびコロリンのおじいさんといった感じだ。


「ほいっと! やっと捕まえた~」


 本棚群の中ほどで、ようやく消しゴムを拾い上げる。

 いやはやまったく、この消しゴムにも困ったものだ。


「って、あれ? 何だろう、あの扉……?」


 消しゴムを拾い上げた時、何の気なしに目を向けた本棚と本棚の間の通路、その最奥。

 そこにあったのは――木製の扉だった。

 その扉は、この図書室にある他のドアと、明らかに異なる雰囲気を持っていた。

 何というか、こう長い歴史と風格を感じさせるような……、そんな古めかしく重厚な扉なのだ。


「うーん? こんなところに扉なんてあったかな?」



 ……いや。



 前に来た時、こんなところに扉はなかったはずだ。

 こんなに立派で古めかしい扉、一度見たら忘れるはずないもん。


 ここにあることが、あまりに不自然なその扉……。

 なのに、だ。わたしはまるで何かに呼ばれたかのように、ふらふらとその扉に近づいてしまった。


 ほんと、何でこんな行動をとってしまったのか、自分でもわからない。

 でも、なぜかこの扉に方に行かなければならない気がしたのだ。


 扉の前に立つと、まるでそうするのが当然であるかのように、金色のドアノブを握る。

 そのままわたしは、握ったドアノブを回し、勢いよく扉を開け放った――。


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