運命の人〜ディスティニー〜
ガタン
手から滑り落ちたテレビのリモコンが音をたてて床に落ちた。
そんな事が気にならないほど私の目はテレビに釘付けになった。
今日はたまたま早起きをしてしまい暇でつけたテレビに映ったのは新番組という文字と私の運命の人…
「ディ ディスティニー…
私の運命の人…」
私はこの人と出会うために生まれ バシッ
「いた!!」
「アンタ何馬鹿言ってんのよ! そんな暇あるなら就活しなさい。今月から金額上げるからねしっかり家にお金入れなさいよ!
ニート予備軍が!!」
「グサッ 酷いよあんまりだよ! 私の心はステンレス製だからへこむんだよ!うぁ〜 もう生きていけない…
運命の人に会いに行けないよ〜」
お母様の言葉は私のための愛の鞭。そんな不器用な母の愛を受け私は…
飴が欲しいです…
「と 言うわけなんですよ
どうしたらいいかな?」
只今私の目の前にいるのはめんどくさそうに私の話を聞いてくれる親友の西山 沙紀 27歳 同い年。
「要約すると朝見たアニメのキャラに一目惚れしたと。」
「そう! あれはまさに運命! なんだけど…」
「相手は大手会社の社長様だったと。 」
「うん…
それに比べ私はニート予備軍のフリーターだし高卒までの私があの人になんか近づけないよ…」
そう、私の運命の人は社長様…
そんなあの人には私なんかより何倍も綺麗な人に囲まれている。
私はあの人に運命を感じたけどそれをあの人も感じるとは限らない。
あの人がひどく遠くて見失ってしまいそう。
恐いよ…
「ねぇ ミサ
アンタはさ、社長に運命を感じたんでしょ?
いつも中途半端なアンタが本気になったら何が起こるかわからないわよ。
たまには本気になってみたら?」
「沙紀・・・・」
声と表情が全然あってないよ。雑誌から目を離してよ、あぁ 煎餅まで食べて・・・・・・・・本当 泣きそう・・
でもね
そんな沙紀の優しさが好きだよ?
「・・・ありがとう。」
「・・・・・・ん」
フフッ 耳が真っ赤だよ。
拝啓 お母様。
私は親友に背中を押されたので頑張ってみようかと思います。
待っててね私のディスティニー!