大男が助ける前の世界状態
はじめまして。
とにかく、金が必要だった。家族を支えるための金が。
当時、儲かる仕事だった運搬を中心に働いた。ギルドにも入って依頼を遂行し、金を貯めた。子供たちはあっという間に育ち、今では自立している。そうして、俺が働く意味はなくなった。今ではあまり儲からない運搬をしぶとく続けている。
「おっちゃん、ありがと!」
「おう、頑張れよ小僧」
町でガキ共に食料を与えて、今日の仕事に就く。この町では子供でも出来る簡単な仕事が多い。もともとは焼き野原だったここに、そんな痕跡はない。町役場の人間も、正義感の強いやつらが集まったようだ。権力を示すことなく、この町のために日々遅くまで会議をしているらしい。
そんななか、町ではこんな意見が上がっていた。子供に仕事をさせてはどうかと。もちろん、希望者のみだ。彼らが強制労働をさせる訳がない。いくら焼き野原の痕跡がなくても、道路整備が上手く行ってなかったらしい。
将来のために、金が欲しい子供は働け。仕事内容は、荷物運び。強制は、しない。この3つは、育ち盛りのやつらにとっては嬉しかったらしい。そうして、この町では子供の仕事が許可された。
「じゃあ、俺はここらで失礼するよ」
「はいさ、良い旅を」
「がははっ、旅じゃねぇんだけどな」
世話になった宿屋に挨拶をして、次の町に向かった。
これは、大男の物語。意味をなくした生を、大男はどうしていくのか。
次の町に着いたとき。彼は、少年少女に出会った。
なぜ、生きているのか。