少女
私は売られた、ご主人様のお世話、身の回り
のお世話をするのだ、暖炉で温められた服を
着替えさせて、
朝食の準備に取りかかる、使用人は同じ席では
食べられない。一年間我慢してきた。
寒い日も、暑い日も、料理を作り、皿を洗い
手が汚れで痒くなって、火であぶった。
痒くて寝られないから火傷のあとが残った
炊事、洗濯、家事、掃除、召し使いだ
我慢できなくなった。ご主人様を生かして
置けない、ここで仕留めるのだ
あの日が来たのに休ませてくださらなかった
てめぇーはここで片付ける。後は野となれ
山となれ…だ
「覚悟完了」…だ
どうせ貰える賃金すら安いのだ
後は何処かで娼婦になればいい
お前の寝る瞬間、まぶたが落ちる時
それがお前の最後だ、寝室の鍵を盗み、足音を
立てぬ様に歩き、ご主人様に近づく
くせぇ寝息をたててるな
台所で盗んできた包丁を掲げる
お前が眼を開けた瞬間首を切断してやる
クックックッ自然と笑みがこぼれる…
ゆっくりとまぶたが薄く開く
ん、んんぅう???
おはようございますご主人様
なんだい?それは?
見て解らないでしょうか?
包丁です
貴方に虐げられたから殺害致します
ふむっふむっそうかなるほど!殺される前に
少しだけ、
話し合いたいのだがいいか?
そうですね…少しだけ、ならいいでしょう
………もう少し大人になってからと考えていたのだが…時がないか…名前は何て言うんだ?
………柏原愛ですが………
そのっ!あのっ!ま、ま、交わり合わないか?
予想外の答えに驚いて呼吸が止まる
、
てめぇの汚ねぇ嘘や誤魔化しに騙されるかよ
なら早くその手で始末すればいい
6歳の子供でもできる
何故しない?
「ギュギャッギャガリッ」
真空に歪みができた
飲み込まれ…弾かれ、魂と肉体が分離した…
気づいたら、入れ替わっていた
えっ???俺?
えっ???私?
包丁はすでに振り落とされ
骨で刃が止まり、鋭い痛みが脳髄を駆け巡る
恐怖、痛み、、吹き出す血液、
お、おまえ………死ぬまで5分ほど時間を要した致命傷、助からない
眼から光が消えた
外の北風が不穏な音たてながら駆け抜けて行く
キュイイイイ!!
意識が、魂が、ある!!
形作りはない
大きな水槽の中にいる
眼はないのに感じる
母親の中にいるみたいだ
何の不安もない安らかな世界
ずっとこの中にいたいなぁ
電球の電源が切れる様に意識と魂が消える




