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桃太郎(新)伝説  作者: KO


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第1話 山育ちの少年

桃太郎が鬼ヶ島で仲間と共に鬼を退治して20年。桃太郎は日本中の伝説として語り継がれていた。

桃太郎は村を豊かにし、育ての親であるおじいさんとおばあさんにたくさんの親孝行をしたらしい。


桃太郎が仲間の故郷へ挨拶に向かうため少しの期間村を離れることになった。このことを知った鬼の残党は、村の人たち、そしておじいさんとおばあさんを殺して桃太郎への復讐を行った。


それから桃太郎は人々の前から姿を消し、その存在は早くも伝説となった。


「はっけよーい!のこった!」


赤い腹掛けをした少年が、自分よりもはるかに大きな熊と相撲を取っている。


「おりゃー!」


切り株の上に座っているおばあさんは頷き、微笑んでいる。


「金太郎は力が強いね〜。」


「くま吉、相手になってくれてありがとう!」


熊は少年の頭に自分の頭をこすった。


「金太郎は敵無しになったかもしれないわね〜。」


「敵無し!?そっか...山育ちの『金太郎』、たった今くま吉に勝って最強になったぞー!」


「よし、金太郎。薬を買いに山をおりるから準備しておくれ。」


半年に1度、おばあさんの薬を貰うために山をおりていた。

金太郎は小袖を着て、おばあさんと山をおり町へと向かった。


山姥(やまんば)がおりてきたぞー!」


金太郎はうつむき歯を食いしばっていた。半年に1度の下山は2人にとって地獄であった。町の人達はおばあちゃんを山姥と呼び、バカにしていた。


「婆さん、悪いが薬は今日で最後だ。」


「何かあったのかい?」


「薬を作ってる町があってな、そこが鬼に襲われた。悪いな...」


「そうかい...あんたは悪くないよ、謝らないでおくれ。」


「おい小僧。お前も婆さんも家族は2人だけだ、そばにいてやれよ。この婆さんと自分が胸を張れる生き方をしろ、婆さんを後悔させるな。わかったな。」


2人の表情、医者の悲しそうで力強く、無力な自分を責めるような目で金太郎は察した。


6錠しかない薬を握りしめてゆっくりと帰っていた。一言も発さず、うつむく金太郎。寂しいのか悲しいのか、それとも怒っているのか、何が何だか分からなくなっていた。


「山姥!山へ帰れ!」


小石を投げてくる町の人たちを金太郎はギロッと睨んだ。


「やめろ!」


誰も見た事のない金太郎のキレた姿に、人々は静かになった。その迫力にまわりが押されたのである。

家に着くまでほとんど会話はなかった。くま吉とくま吉の家族も2人の様子から察したのか、頭を低くして様子を伺っている。


「金太郎は優しい子だね〜。熊と仲良くなれる人間なんてそういないよ。私の自慢の息子、血の繋がりなんて関係ない。私の自慢の息子は、人を救うことのできる力を持っているから、あなたは桃太郎のように強く優しい人になれるのよ。」


「おばあちゃん...最後の言葉みたいだよ...」


「そうだね、まだ早かったわ。」


ケラケラと笑う顔は、悲しそうで泣いているようにも見えた。


「おばあちゃんの息子、金太郎は桃太郎のように強くて優しい最強の男になるぞー!」


椅子の上に立って胸を張る金太郎の姿を見て、おばあさんは大粒の涙を流した。


日が沈み、夕食を終えておばあさんは眠りについた。

金太郎は忍足で外へ出て、くま吉の巣へ向かった。


「くま吉、ごめん起こして。おばあちゃんに花をあげたいんだ、どこか綺麗な花が咲いているところ知らない?」


くま吉はあくびをしながら、ノソノソと巣から出てきて、金太郎を案内し始めた。


「ありがとうくま吉!」


くま吉の案内をしてくれた場所は、金太郎もあまり来ない場所だった。

崖になっており、花は見当たらない。


「くま吉、花はどこにあるの?」


目線が崖の下へ向いた。金太郎も下を覗く。崖の途中に月明かりに照らされて綺麗に輝く青い花が1輪咲いていた。

くま吉の「お前ならいけるよな?」と言わんばかりの目線に金太郎は頷いた。


まるで猿のように素早く器用に岩を掴んで、花を取った。


「綺麗...ありがとうくま吉!おばあちゃんも喜ぶよ!」


くま吉から頬を舐められた。

家に戻っていると、無数の明かりがこちらに向かっていた。金太郎は警戒する。


「くま吉、巣に戻るんだ。家族を守って。」


くま吉は走って巣の方向へ向かった。金太郎は明かりの方へゆっくりと進む。その理由は明かりの進む方向におばあさんがいるからであった。


「誰だ!」


「...金太郎か?」


「町のお医者さん?あと町の人たち?おばあちゃんに嫌がらせに来たのか!」


拳を強く握りしめる金太郎に町の人たちは、後ずさりする。


「違うんだ、聞いてくれ!今町が鬼に襲われたんだ。それで俺たちは婆さんたちに知らせないとと思ってこっちに向かってたんだ。」


「え?」


「鬼は2匹、町を破壊して何人も食ってやがった...あいつらが山に向かっていったから、迂回しながら急いで婆さんのとこに行ってるんだ。」


「おばあちゃん!」


金太郎は振り向いて走った。そこまで遠くないはずなのに、今は何時間も走っている気がする。途中で、木に刺したままだった斧を、スピードを落とさず抜き走り抜けた。


「見えた!大丈夫、家は壊れてない!」


突然金太郎の足が止まる。そこには争った跡と、熊の頭部が転がっていた。

体から血の気が引いていくのがわかる、木の隙間から溢れる月明かりが、周りの様子を一気に照らした。


「うわー!!」


そこにはくま吉と家族の腕や足、頭部がそこら中に散らばっていた。


「おばあちゃん!」


金太郎は叫びながら家の扉を開ける。


「ぅぅあああああああ!!!」


右肩から斜めに左の胸下までが無くなったおばあさんの死体がそこにはあった。


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