神託は、二度名を告げる
冬の王国の王太子ユリウスは20歳になる日の朝、
神殿の水壁の前にいた。
遥か昔の神と人の盟約により、
女神と神獣の血を引く王族は、
神が定める花嫁とのみ婚姻が許される。
その花嫁は神託で決まり、
神託は神殿の水壁に文字で浮かび上がる。
運命の時を前にユリウスは目を閉じ、
人生最初で最後の神への願いを唱え、祈った。
神よ、どうかセラ・エルグランを私の花嫁に──
神殿に神官の声が響いた。
「水壁に、名前が現れました」
ユリウスはゆっくり目を開け、その文字を見つめた。
そこにある名は──
神殿の大鐘が城下町に鳴り響く。
神託が下されたことを知らせる鐘の音だった。
その鐘の音を自宅で聞いたセラはギュッと目を閉じた。
──ユリウス、どうかどうか幸せに……
神殿に向かってセラは祈りを捧げるようにそう願った。
同じ時、遠く離れた帝国の大神殿で
皇太子レオニスがユリウスに下された神託を見守っていた。
そして皇太子レオニスはその神託に意義を申し立てたのだった。
「彼女は私の花嫁として一年前にすでに神託で決まっている!」
神託は、二度同じ名を告げた
叶わない恋、揺らぐ友情、抗えない運命
水壁に映る名が、三人の未来を切り裂いていく
※ストーリー完結まで作成済み、ハピエンです。
推敲して公開していきますのでどうぞお付き合い下さい。
神殿の水壁の前にいた。
遥か昔の神と人の盟約により、
女神と神獣の血を引く王族は、
神が定める花嫁とのみ婚姻が許される。
その花嫁は神託で決まり、
神託は神殿の水壁に文字で浮かび上がる。
運命の時を前にユリウスは目を閉じ、
人生最初で最後の神への願いを唱え、祈った。
神よ、どうかセラ・エルグランを私の花嫁に──
神殿に神官の声が響いた。
「水壁に、名前が現れました」
ユリウスはゆっくり目を開け、その文字を見つめた。
そこにある名は──
神殿の大鐘が城下町に鳴り響く。
神託が下されたことを知らせる鐘の音だった。
その鐘の音を自宅で聞いたセラはギュッと目を閉じた。
──ユリウス、どうかどうか幸せに……
神殿に向かってセラは祈りを捧げるようにそう願った。
同じ時、遠く離れた帝国の大神殿で
皇太子レオニスがユリウスに下された神託を見守っていた。
そして皇太子レオニスはその神託に意義を申し立てたのだった。
「彼女は私の花嫁として一年前にすでに神託で決まっている!」
神託は、二度同じ名を告げた
叶わない恋、揺らぐ友情、抗えない運命
水壁に映る名が、三人の未来を切り裂いていく
※ストーリー完結まで作成済み、ハピエンです。
推敲して公開していきますのでどうぞお付き合い下さい。