非戦闘員、港で爆誕。〜くさやと落とし穴で海賊退治〜
朽ちた桟橋の影から、たすくたちはそっと様子を伺っていた。
「……あいつら、アイスに……!」
沖合では、小舟に乗った海賊たちが、海面に浮かぶ大岩に縛りつけられたアイスに群がっている。
鱗を剥ぎ、船に積み込む作業に夢中だ。
「ぴぃぃぃ……(ひどすぎる……)」
と、次の瞬間――
ひとりの海賊がこちらの気配に気づいた。
「……誰だっ!?そこにいるのは!?」
「ちっ……やべぇ、バレた!」
「安心するポン!非戦闘員は囮が仕事ポン!!」
「お前が言うなァ!!!!」
たすくは、一瞬びくついたが――
ぐっと顔を引き締め、港の柵を乗り越えて前に出る。
「……ふっ」
どこか達観したような顔でにやりと笑い、海賊たちに向かって両手を掲げた。
「おしりペンペ〜ン☆ ベロベロバァァッ!!!」
「「「はァ!?!?!?」」」
海賊たちの動きが止まる。
「な、なんなんだよアイツ……!?」
「いきなり出てきて頭おかしいのか!?」
「よぉ〜〜し、そこのバカどもぉ〜〜〜〜っ!!
おれを捕まえられるかな〜〜〜〜???」
挑発しながら、たすくは港に落ちていた錆びたオールを一本――
海賊の足元に投げつけた。
「うおっ!?こいつ!」
「待ちやがれコラァ!!」
たすくは、そのまま倉庫の裏手へ全力ダッシュ!!
「こっちこっち〜!ついてこれるか〜!?海のゴミたちぃぃ!!(煽りフルスロットル)」
海賊たちは怒号をあげながら、桟橋から港の裏手へと駆けていった。
そして――
たすくは、古びた石倉の裏手に立ち止まり、くるりと振り返る。
「ようこそ……港仕様・たすく式スペシャル落とし穴へ」
「なんだと……?」
「うわっ!?ぎゃああああっ!!」
バッコン!!ズドン!!!
海賊たちが一斉に崩れ落ち、**港の旧・干物用冷却穴(現在空洞)**にドカンと落ちていった。
「うっしゃぁあ!!」
たすくはガッツポーズ。
「ここ、昔干物工場だったときに使ってた“排水穴”があってな!
今は蓋が腐ってボロッボロ!!
ちょいと草と木材乗せときゃ……落ちるってもんよ!!!さっきそこら辺のじぃさんに聞いといてよかったー」
「ぴぃぃぃ!?(地形活用すごすぎ……!!)」
穴の中では、バシャバシャと海水が入ってきて、海賊たちがもがいている。
「うぉっ!?冷てぇぇ!!」
「脱出できねぇっ……!!」
ポンがその様子を見て、めちゃくちゃテンション高く叫んだ。
「たすくぅぅぅ!!やるじゃないポン!!!
お前、ただの非戦闘員じゃないポン……!!
“港の罠師”ポン!!!」
「いや、違うから!元ホームセンター店員だって言ってんだろ!!」
「ぴぃ(前世でも強ぇ……)」
―港の排水穴で、海賊が崩れ落ちた直後。
「ふぅ……一件落着……っと」
たすくが汗をぬぐい、ドヤ顔でポンにウィンクを飛ばしたその時。
「……油断するなよ」
背後から、しゃがれた声が響いた。
「っ……!」
とっさに振り向くたすくの前に現れたのは――
ボロ布をまとった、隠れていた海賊の残党たちだった。
「さっきの騒ぎで仲間がやられた……だがな、俺たちは……」
「くせえもんが大嫌いなんだよ!!!」
「いや、なんの宣言だよ!!」
たすくが一歩下がると、ポンとタローも身構える。
残党は3人。
「ぴぃ(こっちは非戦闘員なんだぞ……!)」
「ポンはもう動けんポン……茶飲み過ぎて腹が重いポン……」
「お前のせいじゃん!!!!」
海賊たちが刃を抜き、じりじりと迫ってくる――その時。
たすくは、サッと背負い袋を漁り、
「……あるんだよな〜〜〜。非常用に、とっておいたものがよぉ……」
取り出したのは――
布でぐるぐる巻きにされた、瓶。
「な、なんだそれ?」
「……くさやだ」
「!?」
そして――
「くらえぇぇぇぇ!!!!!!」
たすく、全力投球!!
くさや瓶、着弾!!!
「ぐわっ!?くっさああああああ!!!!」
「鼻がっ!!鼻がもげるぅ!!」
「目がぁぁあああ!!!!!」
その場にいた全員が鼻を押さえて悶絶する中――
「今だ、タロー!!」
「ぴぃっ!!!」
タロー、疾風のごとく飛び出す!!
回し蹴り――
「がはっ!!」
「ぬあぁっ……!!」
「ぱたり……」
3人、キレイに昇天。
くさや臭と峰打ちの連携プレーが炸裂した。
たすくは鼻をつまみながら、勝利のポーズ。
「やった……!くさや爆弾からのタロー峰打ちコンボ、大成功!!!」
ポンは涙目で鼻を押さえながら、ぐったりと呟く。
「くさやは……兵器ポン……」
「ぴぃ(もう嗅ぎたくない……)」
――こうして、
海賊の突撃隊、港の罠で全滅。
戦えなくても、知識と地形を制す者が勝つ。
ここに、“港町の非戦闘員系主人公たすく”の伝説が、また一ページ――
(次回へ続く)




