テナント募集中!夢と再起の王都モール
次の日ー
「……よし、完璧だな!」
たすくがモールの大屋根を見上げ、腕を組む。
その隣で、ジローがまだ唖然としたまま呟いた。
「……ほんとに、あっという間だったよな……」
「これが精霊式建築の底力ってやつよ!」
火の精霊がドヤ顔でくるくる空中回転していた。
施設は完成した。
けれど――ここに“魂”を入れるのは、人間だ。
「……じゃあ、テナント募集すっか」
たすくがふいに言った。
「え?」
「店を持ってた人たち、いるだろ?
家を失って、仕事も、居場所も、なくなった人たち。
ここで、もう一度――立ち上がってもらう」
たすくの目はまっすぐだった。
「“再出発”のチャンスを、ここに用意する」
風の精霊がパタパタと浮かび、楽しげに言った。
「ほんで、“テナント料”とか取る気ぃ?」
「いらんだろ!最初の1年は無料。それ以降は、店の売上に応じて少しずつ。それが“再建支援”ってもんだ」
ジローが即座に言うと、サクがにこりと笑った。
「そのかわり――“本気”で挑んでもらう。ですね?」
「だな!」
たすくは掲げた看板を見つめる。
《癒しの環モール / テナント募集中》
《条件ーかつて王都で商いをしていた者 / 本気で再出発したい者》
《応募者には面談および再建支援あり。やる気と人柄を重視》
「あとさ……働きたいけど何していいかわからないって人たちには――」
「――職業訓練!」
ユイラが手を挙げて答える。
「ホームセンターの上階に、“王都再建塾”設立完了済みです!」
「たすくさん。ブランド部門もできましたよ」
地の精霊が、なぜか社章っぽいマークを掲げながらキメ顔で歩いてくる。
「“癒しの都ブランド開発本部”! あとは商品企画だけです!」
火の精霊もなぜかキメ顔でウィンクして言った。
「これって……たすくが言ってた、“働いて笑える場所”ってやつだよな?」
「そうだよ」
たすくは微笑んだ。
「王都の再建は、終わったんじゃない。――今、始まったんだ」
冬の空の下。
巨大なモールとホームセンターの前で、
“再出発の狼煙”が、静かに――けれど力強く、上がった。




