命が還る場所
それからが――大変だった。
王も、貴族も、軍もいなくなった。
(サクは生き残ったが…)
でも、それと引き換えに、住む場所も、食べ物も、何もかもが消えていた。
たすくたちは、まず“人を生かす”ことに全力を注いだ。
「やるしかねぇな……!」
ジローがスコップを握り、地を踏みしめる。
その背後では、火の精霊が屋台の設計を始め、地の精霊がおやつを頬張りながら耕作地の土壌調整を行っていた。
王都の端、まだかろうじて地盤の残っている一帯に、
たすくは“巨大マンション”を建てると宣言した。
もちろん、ただの建物ではない。
魔力を利用した「精霊式建築」だ。
温度を一定に保ち、光と風を取り込み、どんな季節でも快適に暮らせる。
燃料は不要。老人から子供でも暮らせる安心設計。
近くには、精霊式グリーンハウスを設置。
食料の供給体制も、スピード重視で整えられていった。
あの“命の浄化”から、まだ数日。
けれど――
王都の端では、少しずつ火が灯っていた。
洗濯物を干す母親の姿。
鍋の中で煮える野菜の匂い。
人々の笑い声が、グリーンハウスの畝を駆けていく。
「ごはん、おいし〜〜!!」
そしてたすく村にも、以前よりたくさんの笑顔が溢れていた。
王都から連れてきた子どもたち。
そこでは何もなかったかのように日常が流れていた。
「……全部、戻ったわけじゃないけどな」
ジローがぽつりと呟いたその隣で、
たすくは空を見上げて笑った。
「いや。――ここから、また作っていけばいいんだよ」
空には、今日も光が差していた。
モフモフのタローが「ぴぃ」と鳴いて、地面にごろりと寝転ぶ。
それを見た子どもたちが笑いながら駆け寄る。
「タローさま、今日ももっふもふ〜!!」
王都は消えた。
でも、ここには――命がある。
笑顔が、ある。
さぁ、ここからが本番だ。




