お前たちの住居作りだー!
――翌朝。村の広場。
朝日がゆっくりと山の稜線を越え、木々の間から差し込む光が、まだ眠る者たちを優しく照らしていた。
昨日のカレー会で絆を深めた護竜の末裔たちは、寝袋に包まれたままごろごろと転がっている。
その上を、モフモフがのそのそと歩いていた。
「……っ、うわっ!? 重い!!」
寝袋の上でうめき声が上がる。
タローはぺたりと少年の顔に乗ったまま、「ぴぃ♪」と上機嫌に鳴いた。
そんなまどろみの中――
「おーい!!みんなぁーーー!!!」
広場に、たすくの元気すぎる声が響き渡った。
「今日から本格的に、お前たちの“住む場所”を作るぞー!!!」
鍬を肩に担いで、たすくが満面の笑みで立っていた。
その姿に、ジローが眉間に皺を寄せてつぶやく。
「おい村長、朝からテンション高ぇな……」
「昨日カレー食いすぎてハイになってんじゃ……」とサクも続けるが、当の本人はまるで聞いちゃいない。
「まずは、山の中腹に一軒家!ドマじぃとお前らの“今の家”だ!」
「そしてその上に――100人住めるように、でっかい“末裔団地”建てる!!」
言い放ちながら、たすくは視線を上へと向けた。
まだ霧の残る山の斜面――その向こうに、これから立ち上がる未来の村の姿が重なるようだった。
「なぁ、ドマじぃ!どんな家がいい!?」
そう言われた老人は、竹の棒を手に取ると、唐突に地面へと向かってずらずらと図を描き始めた。
「ここに囲炉裏、ここに火鉢、ここが儂の研究部屋、ここが夜鳴き専用の……」
「夜鳴きって何用!?」と、たすくの鋭いツッコミが入る。
そのやり取りを合図にしたように、精霊たちもぞろぞろと集まってきた。
「おぉし、基礎は任せろぉぉぉ!!」と地の精霊が豪快にスコップを担ぎ、
「壁暖房いっとく? おかまバー風で」と火の精霊が妖艶にウインクする。
風の精霊は髪をかき上げながら、「住民票と一緒に防音設計も出しとくわな~」とにやり。
臆病な水の精霊は、後ろからひょこっと顔を出して、「……トイレ……増やして……怖い……」とぼそり。
「お茶いれたよー。ほら、設計しながら休み休みね」
ふくが笑いながら湯気の立つ急須を持ってきたその瞬間、広場にはふんわりと香ばしい茶葉の香りが広がった。
そんな中、たすくは鍬をぎゅっと握り直し、全員を見渡して叫んだ。
「“住む場所”を作るってことは――“ここに居ていいよ”って言うことだからな!!」
その言葉に、誰もが思わず顔を上げた。
木の葉が揺れ、朝の風が吹き抜ける。
「家を建てよう!未来を迎える準備だぁぁぁあああ!!!!!」
その声に応えるように、タローが空高く「ぴぃっ!!」と吠えた。
――村には、またひとつ。
未来へと続く、新しい始まりの音が響いていた。
――つづく。




