ミントで入場!?魂のタスフェス開幕!!
ある晴れた昼下がり――
たすくは、村の広場にスコップでステージを作っていた。
「……で、なんでまたやんの?」
ジローがスコップを持つたすくの背中に声をかける。
「ミントがあるからさ」
「ミントって、あの草?」
「ああ。喉にいいんだよ。フェスの参観料にぴったりじゃん?」
言いながら、たすくは一丁前な顔で空を仰いだ。
それがなんとも意識高い顔だった。
「ステージの炎、あたしが担当ね!」
火の精霊が手を上げて宣言する。
「花火じゃないわよ、**魂の炎(リアル火柱)**よ!」
「……あんたの唾、飛びすぎるからな」
風の精霊が呆れたように言う。
「わいが“つば拡散制御”したるわ」
「ステージに地霊文字彫った」
地の精霊は堂々と言った。
「“たすく万歳”って書いといた。間違ってたら許せ」
ステージ脇では、タローが震えていた。
「ぴぃぃぃぃ……(村、焼けないかな……)」
*
【開場!村民たち集合】
「……これがチケット?」
ばあちゃんが、しわしわのミントを差し出す。
受付のジローは無表情でうなずいた。
「うん、入場許可出るわ。つっても草だけどな」
「なんか……意識高いような、ただの変人のような……」
おっちゃんが呟く。
ステージの上。
たすくがマイクもないのに全力で叫ぶ。
「今日はありがとーーーーーーー!!!
集まってくれてうれしいぜ!!
これが“タスフェス”だァァァァァ!!!!!!
俺の歌に力があるっぽいから、みんなにもお裾分けだぜーー!!」
\ チッチ……ぷぴっ……ベフッ……!!!ズビュゥゥ!! /
――唾、大量散布。
「ここで火柱ぉぉぉぉお!!!!!!」
火の精霊の叫びとともに、ステージの後方で爆発が起きる。
木製の背景がちょっと焦げた。
「ほな、唾ブロック!!!!」
風の精霊が全力の風を放つ。
……が、風が唾を全方向に撒き散らしただけだった。
「この前伝承の護竜が現れたからって、調子乗りやがって……!!」
ジローの怒鳴り声が響く。
⸻
【たすくのMC】
「みんな、これが“癒し”だ!!!
魂とミントと、モフと畑と――それが俺のビートだァァァァ!!」
\ ブブッ… ぷぃっ… バブッ… ガッ(スコップぶつけ) /
ステージ脇のモフが耳を塞ぐ。
「ぴぃ……」
観客席では、村民たちが頭を抱えていた。
⸻
【アンコール……?】
「アンコール、いっちゃう!?いっちゃう!?」
静寂。
……と、その時。
「……あの、たすくちゃん」
ばあちゃんが手を挙げて口を開いた。
「おばあちゃん、ちょっと腰が軽くなった気がするよ」
「ミント食べたせいかと思ったけど……
あんたの声、聞いてたら、なんかスカッとしたよ」
すると――
観客の中からも、あちこちで声があがる。
「肩こり……軽くなってる?」
「さっきまで喉イガイガしてたのに……」
「えっ、まさかこれ……治ってる!?」
驚愕する精霊たち。
「……いやいやいやいや」
火の精霊が首をぶんぶん振る。
「ウソでしょ? 歌で治癒??」
風の精霊:「“騒音”で封印から治療まで!?なんでもありやな……」
ジロー:「……なんなんだよ、こいつ……マジで“効く”のかよ……」
タロー:「ぴ……ぃぃ……(なんでやねん……)」
⸻
【ラストナレーション】
――この日、
村は笑いと、ミントと、唾に包まれた。




