ふたたび、トマトは流れる
おいタロー!!見てみろ、これ!!
バッキバキに長い竹、発見しちゃったぞ!!
ぴぃぃぃっ!!(テンション最高潮)
村の裏山で、たすくが見つけたのは――
見事なまでにまっすぐで、長くて、ツヤのある一本の竹だった。
その竹を担いで帰る道すがら、
ふいに、地面からほとばしる冷気に気づいた。
「たすく殿……このあたり、**湧き水が出ておるぞよ……」
プルプルと、水の精霊が現れ、指さす足元から、澄んだ水が静かに湧き出していた。
たすくは目を見開き、叫んだ。
「よっしゃぁぁぁあ!!整ったぁぁぁ!!」
「竹も水もそろった……つまり――また、流しトマトやるしかねぇ!!!!」
***
午後、村の広場。
湧き水を引き込み、再び組まれた竹の流し台は――
前回よりも長く、傾斜もなめらかで、なにより水が冷たくて清い。
「これが……進化型流し台!!!」
たすくが指を突き上げて宣言する。
「その名も、“ながトマMk-II”だ!!」
\ぴぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!!(意味はよくわからんがすごい!)/
ふくが目を細めて笑った。
「まぁ……この前のよりもっと立派ねぇ!」
「竹の角度も絶妙じゃ。よくやった」
まごじいが感心したようにうなずき、
「わたしは今回もピザ焼くわよぉ〜〜!」
火の精霊が炎を揺らしながら準備をはじめ、
「うちは今回は紙皿と割り箸係や〜〜」
風の精霊が空から器を配ってまわる。
地の精霊は、小さな冷蔵穴からどら焼きを取り出しながら言った。
「どら焼き冷やしておいたわよ〜! 流す準備万端!!」
水の精霊は湧き水の上でぷかぷか浮かびながら、満足げに呟く。
「水……最高……ぼく、やった……」
村人たちが続々と集まってきた。
「またやるんですか!? 前回のすごく楽しかったです!」
「孫に手紙で話したら羨ましがられましてねぇ……」
「流しトマト、夏の名物になりますよこれは!」
トマトが流れ――
イチゴが流れ――
そして、たすくが竹舟にそっと乗せた冷え冷えのどら焼きが、すうっと滑っていく。
「それは……私が絶対に取る!!!!」
叫んだのは地の精霊。
\ずざぁぁぁあ!!(完璧なスライディングキャッチ)/
笑い声があふれた。
誰一人、眉をひそめる者はいない。
たすくは空を見上げて、くしゃっと笑った。
「なぁ……タロー。この村の夏、最高だよな」
ぴぃぃっ!(さいこー!)
「そのうち、小麦も育ててさ。ほんとの流しそうめん、作ろうぜ」
「そんで、名物にしてさ――この村、外から人が来るくらいの場所にしようぜ!!」
「その夢、応援しちゃるで村長ぉ〜〜〜〜!!!!」
風の精霊が高らかに叫び、
「そうめん流れたら、私ぜっっっっっったい誰にも取らせないから!!!」
地の精霊が闘志を燃やし、
「やぁ〜ねぇ〜名物にするなら、火の演出も考えないと〜」
火の精霊が焚き火を整え、
「ぼ、ぼく……滝もつくれるように、がんばる……」
水の精霊はちょっぴり照れながら、きらきらと光る水面に浮かんだ。
その日、村には――
前よりちょっとだけ長い“笑い声の川”が流れていた。
夢はまだ、始まったばかり。
でも、その笑顔だけは――確かに、本物だった。




