鍬か足か!?スイカとさつまいもと畑の陣
朝の光が畑を照らす頃。
たすくはスコップを肩にかけ、気合い十分で立っていた。
「よし……! 今日はスイカとサツマイモを植えるぞ!!」
\ぴぃぃぃぃ!!/
(タロー、張り切って準備運動)
「モォ……」
モーさんも陽気に声を上げる。
たすくは膝をつき、畑の土に手を伸ばす。
「よし、スイカは――」
「間隔あけろ! ツルが伸びるからな!!」
バッと声が飛んだ。振り向けば、ジローが手に鍬を構えて立っていた。
「最低でもひと株80センチ! 葉っぱが絡みあったら弱って腐る!!」
「お、おう! じゃあ間をとって――」
「何をぬかすかジロー!! 詰めて植えるんじゃ!!
畝は斜め、南向きが定石じゃろうが!!」
畑の反対側から、まごじいが杖を突きながら登場。
顔を真っ赤にして怒鳴り返す。
「出たな、旧時代の亡霊ォ!!」
ジローが叫ぶ。
「誰が亡霊じゃコラァ!! 土の匂いで天気当てられるワシに、よう口答えできたな!!」
\ぴぃぃぃぃ!?/(タロー、びっくり)
たすくは慌てて立ち上がった。
「ま、待って!! ちょっと落ち着いて――」
「こちとら、最新の育成マニュアルを頭に叩き込んでんだよ!! 農業は理論だ!!」
ジローが怒鳴れば、
「理論理論うるさいわい!! 農業は“勘”じゃ!! 土の声が聞こえんのか!!」
まごじいが真っ向からぶつかる。
「土がしゃべってたら怖いわ!!」
\やぁ〜ねぇ〜また始まったわよ〜/
火の精霊が口に扇子をあてて笑い、
\うち、どっちでもええけど、この喧嘩もはや祭りやん/
風の精霊が風鈴を揺らす。
「ぼ、ぼく……苗に水だけあげてていい……?」
水の精霊は、ぷるぷるしながら端に退避。
「……まぁ、どっちも間違ってはないと思うけどねぇ」
地の精霊は、どら焼きをもぐもぐしながらつぶやいた。
「――いい加減にしろ、あんたら!!」
たすくがスコップを掲げて叫んだ。額に汗をにじませながら。
「ケンカしてる間にスイカの種、ぬるくなるわ!!!」
\ビシィィッ/
「だったらこうだ!! ジロー式とまごじい式――両方で植えてみて、収穫で勝負!!」
\ぴぃぃぃぃぃっっ!!/(タロー、超納得)
「チッ……いいだろ。負けたら次は黙る」
ジローが肩をすくめて言えば、
「ふぉっふぉっふぉ……言うたな? ワシが勝ったら、来年の畝は全部斜めやで」
まごじいが杖で地面をトントンと叩いた。
たすくは、ぐっと拳を握る。
「それでいい。さあ、植えるぞ――
村の夏を、ここから始めるんだ!!」
*
午前中いっぱいかけて、畑には見事なラインができあがった。
斜めに植えられた、サツマイモの苗。
きっちり整列した、ジロー式スイカの畝。
そして――のびのびと自由に配置された、まごじい式スイカ。
火の精霊が腕まくりをして空に叫ぶ。
「夏が足りないでしょ〜! あたしが熱くしてあげるッ!!」
熱が土に広がり、じゅわっと水気が昇る。
スイカの芽が、勢いよく飛び出していった。
「火加減最高! スイカの糖度、期待できるわよ〜」
地の精霊が感心し、
「土……すごくやわらかくて……気持ちいい……」
水の精霊はうっとりと畝に水を撒く。
「風通しもバッチリやな!」
風の精霊は、しゃぼん玉を飛ばしながら、空を舞っていた。
ジローが、ふと作業の手を止めて畑を見渡す。
「……なんか、いい畑になってきたな」
「ふん。たまには、お前の言い分も聞いたろかい」
まごじいがぽつりと漏らす。
「は? 聞いてなかったの!?」
ジローが思わずツッコんだ。
\ぴぃぃぃぃぃぃぃっ!!/
(ケンカしてるけど楽しそう)
そんな声が、夏空の下に響いた。
芽吹いた命と、笑い声と、騒がしさ――
村の夏は、ここから始まった。




