勇者と魔王の最終決戦-魔王を倒すべきか否か
小人的に大好きな勇者と魔王のお話です。短編でサクッと仕上がっているのでお読みイダだけると幸いです
「魔王! 覚悟しろ!」
「ついにここまできたか勇者よ。確かに我は魔王だが、元勇者だ」
「戯言を!」
「まあ話を聞け。戦うのはその後でもよかろう」
「時間稼ぎの策には乗らぬ!」
「やむなしか。聖魔法フリーズ!」
「何故魔王のお前が聖魔法を!」
「元勇者だからな。いずれにせよお主の力なら年老いた我を倒すのは訳ないだろう。残された国民が気がかりではあるが、我にどうこうする力もない故。この魔法も一時的なもの。しかし我はお主に伝えるべきことがある」
「うるさい! こんなまやかしの聖魔法、解いて見せる」
「では話を手短にしよう。まず、勇者が魔王を倒すと、魔王の呪いで死なぬ体となる」
「世界が平和になれば勇者はただの脅威。あらゆる手段をもって力を無力化しようと国は躍起になって自分を排除せんとした」
「だから魔王になったのか」
「いいや。結局この辺境の作物も育たぬ不毛の地に勇者の国を作って収まることにした」
「すると行き場のない魔物が徐々に集まってきてな。いつしか魔物が唯一住める魔物の国となったのだ」
「魔物は悪だ! 人間を襲う!」
「ほう。人間は人間を襲わないというのか?」
「それは一部だけのこと。惑わす気なら乗らんぞ」
「人間を襲う魔物も全てではない。ごく一部だ。そもそも魔物の世界は強さが全て。強きものに従う。強気私は魔物が他国に迷惑をかけぬよう自国に食い止め続けた」
「そしていつしかこの国は周辺国から魔物国と言われるようになった」
「魔王国を滅ぼせというのは王命。例えそれが事実だろうと私はお前を倒す」
「最近不毛だったはずのこの土地から資源がとれることが最近わかってな。大方王の目的はその資源だろう」
「戯言を!」
「まあいい。もう我はこの世界に絶望しておる。今は、あの世に行くだけがたのしみよ。さあこの不死の体を切り裂き、我の呪いの続きを受けるが良い」
「呪いだと!」
勇者のフリーズが解ける。
しかし勇者はこの魔王を切り裂いて良いかわからなくなった。